第13話 私を倒しても、第二、第三の魔王が…。 3

 立花銀治は占いを別に信じない。朝のニュース番組の占いコーナーを見ることはあるが、別に真剣に占いの内容を信じ、ラッキーアイテムを実践なんてしたことがない。

 たまたま今日は自分の星座が最下位で、ラッキーアイテムがタピオカミルクティーとか、なんというか反応に困るアイテムを言っていたが、当然本日は飲んだりとかしていない。

 …別に飲んでも、変わらなかったと思う。でも、別に信じていなかったが、のんどきゃよかった。そう思って頭を抱えた。

 なんでって。

 それは、たまたま今日の合コン相手に、例の電波女、森川夕がいたからです。

 「いやー、今後の人間関係のために数合わせで参加したんですが、やはり運命ですね! 神様がくっつけコンチクショーとか言ってますね!」

 にこやかな笑顔を向けてくる電波女ー森川夕から視線をずらし、後ろに立っているバンドメンバーの鳴海奏に向ける。奏はというと表情と夕のセリフから察したのか、呆れ気味の視線を向けている。

 そして、瞬間、アイコンタクト。視線で意思疎通して会話。内容は以下の通り。


 計ったのか?(銀治)


 いや、偶然。まじで運命じゃね?(奏)


 認めねぇー。お前が生暖かい目でたまに観たくなるのこいつだろ!?(銀治)


 裁判長、黙秘権を行使します(奏)


 とりあえず、巨乳の子いねーな。あの子、パッドだわ(一樹)


 「アイコンタクトの会話にナチュラルに混じるんじゃねーよ。一樹」


 場所は渋谷駅のセンター街方面。全国的に有名な、酔っ払って乗ったら、近所の交番の警察官から、スピーカーで降りろと怒られるハチ公前。

 そこで、合コンの待ち合わせをしていた銀治たちは予定通りの時間にきた奏たち、他大学の女子大生たちと落ち合ったところだった。

 そしたら、初対面で告白してきた電波女、森川夕が偶然合コン相手の中にいやがりました。何この嫌な偶然…。

 銀治は頭を軽く抑え、天を仰いだ。そんな銀治を面白そうにニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら、一樹が手を合わせ、ぱん、っと音を出し注目を集め、こう切り出した。

 「とりあえず、言いたいことお互いの側にありそうだけど、積もる話は飲みながらにしよう。予約してる居酒屋に行こう」

 サンセー、と相手側の女の子の一部が声をあげる。そして、センター街の方にみんな歩き出す。

 「長い夜になりそうですね」

 「帰りてぇー」

 そう言いながら、夕と銀治も歩き出した。

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君の顔が好きだ。 ミッシェル(野郎) @takahiro_gallagher

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