第5話:死神。

「禁じられた魔法?って・・・・なに?」


「それは・・・それは死神を呼び出せるんだ」


「死神?・・・死神って魂を持っていくって怖い悪魔?のことだよな」


「そうだ、一度死神に魅入られたものはどんな強者でも魂を奪われることは

避けられない」

「だから、禁じられてるんだ」

「言い伝えではドールズベリーのご先祖が生前、死神と魔の契約を結ぶことに

よって死神を召喚できるようになったんだそうだ」


「なにそれ?魔の契約って・・・」


「人間だったドールズベリーのご先祖が魔法使いになりたかったんだろ?」


「でも、契約を結ぶってってそれ取引だよね」


「そうだ、取引だな」


「ドールのご先祖は死神とどんな約束を結んだんだろう?」


「そこまでは俺も知らない」

「ただ・・・ドールズベリーが生まれるまで死神を呼び出した魔法使いは

まだ、誰一人いないって話だ・・・」


「もしかしたら、最初に死神を呼び出した魔法使いの魂を死神が持っていく

って、その代わり魔法使いにしてもらう・・・そう言う取引だったかもしれない」


「なんせ魔法使いの魂は不老不死の効果をもたらすって話だからな」

「特にウィッチクラフト「魔女」の魂は最高級って話だ」

「そうなったら怖いものなしだろ?世界だって征服できるからな」


「そんなのダメだよ・・・もしそれが本当ならドールにその魔法を使わせ

ないようにしないと・・・」

「相手も死神に魂を持って行かれるかもしれないけどドールだって死神に

魂を持って行かれたら本末転倒じゃないか?」


「だから、潤乃助が頑張るしかないな」


「それは頑張るけど・・・え?なにトラッシュは手伝ってくれないのか?」


「俺は魔法使いじゃないからな・・・妖精だから、特技は瞬間移動できるだけ」

「ってことで俺は帰るから・・・忠告したぞ」

「ま、せいぜい頑張りな、ドールズベリーの運命はおまえにかかってるぞ」

「好きなんだろ、ドールベリーのこと」


「彼女くらい守れないじゃ魔女の彼氏になんかなれないぞ」


「じゃ〜な、あばよ」


そう言うとトラッシュは消えた。


そうか・・・なんとしてもドールを守らなきゃ。

とりあえず、このことはドールの耳にも入れておこう・・・心の準備が

必要だからな。


死神の話を除いてトラッシュとのやりとりについてドールに話しておいた。

僕がドールを守るからってところを特に強調して。


それから丁度、一週間経った真夜中・・・やつらが闇に紛れてやってきた。

その気配は魔女であるドールが察知した。


「潤之助・・・・起きて・・・なんだか・・・来たきたい」


「え?なにが?・・・生理?」


「バーカ・・・ブリング・デスのやつら・・・来たみたい・・・気配感じるもん」


「そうか、とうとう来たか・・・わざわざ来なくていいのに」


僕とドルは暗闇を手探りで部屋を出た。

家の中でバトルはしたくないからね・・・家の中がちゃぐちゃになったら

後片付けが大変だし・・・


「ウィル・オー・ウィスプ」


僕は呪文を唱えた。

そしたら僕の手が光りだした。


「こりゃいいや、懐中電灯いらないや」


それで僕は廊下を照らした。


「潤之助・・・油断しないで・・・」

「勝手グチから表にでるからね・・・ついてきて」


「ついてきてって。ドールは灯りがなくても見えるのか?」

「うん、たぶん紫外線感知システムいりよく見えてるね」


「人間ってことごとく不便な生き物だな・・・ドールを見てるとつくづく

そう思うよ」


「それは時と場合によりけりだよ」


「いい?表に出るから・・・」


つづく。


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