第3話:僕はまぎれもなくドールに恋してる。
ドールがホームステイで最初に僕の家に来た時はお互い遠慮があった。
でも日にちが経つごとにお互い少しづつ打ち解けて行って僕はすぐにドール
って呼ぶようになってドールは僕のことを潤之助って呼ぶようになった。
今は他の人に対する思いとは違って来てるってことなんだろうな。
ドールが来た頃、僕は率先して外に連れ出した。
慣れてもらわないと困るからね、右も左の分かんないんじゃ僕がついてないと
なんにもできないでしょ。
買い物くらいひとりでできないと、と思ってショッピングモールにも連れて行った。
それと女の子には外せない洋菓子屋さん「3時のラグジュアリー」
そのお菓子屋さんで買ったチーズケーキがドールはすごぶるお気に入りになった。
なによりチーズケーキ・・・たかがチーズケーキ、だけど今は一番大切らしい。
そうそうチーズケーキを食べると魔法のパワーになるらしい。
あとは、夕日が浜遊園地に・・・。
しろくま動物園。
夢の中水族館。
あとは一般大衆レストラン等々・・・高級レストランは、ここぞと言う時まで
取っておく。
たとえばドールの誕生日とか・・・。
だけどいつも僕と一緒だからドールは今まで一度もひとりで外出する気配がない。
僕に依存してるの?ってくらい結局どこへ行くのも僕がついて行く。
まるで恋人同士のデートみたいだけど、未だにお互いの想いって言うか?
気持ちを確かめたことがないんだ・・・微妙な関係なふたり。
もし、クラスの中の男子の誰かを好きになって恋愛に発展してもそれはドールの
自由。
僕がとやかく言う権利は今のところない。
なんだけど、そんなことになったら僕はジェラシーで狂い死ぬかもしれない。
狂い死にするくらいの嫉妬って僕はまぎれもなくドールに恋してるってことだよね。
思い切って自分の気持ちを告白してもいいんだけど・・・。
でも女心は分からない。
魔女の心はって言ったほうがいいかな。
だってドールってめちゃツンデレだし・・・すごく冷たい時があると思ったら、
すごい猫なで声でお願い事をしてくる時もある。
だから気持ちを告白するとしたらタイミングを外すと失敗に終わっちゃうかも
しれない。
もし、そうなったら・・・一緒にいることが居たたまれなくなってくるし・・・。
ぎこちなくなるのは目に見えてる・・・それは僕としては望まないこと。
「潤之助・・・またボーッとしてる?」
「よく、物思いに
「誰かと違って繊細なんだよ、誰かと違って」
「誰かって誰よ?」
「早乙女家の中でガサツなやつって言ったらひとりしかいないだろ?」
って、そんな皮肉を言うから、冷たくされるんだな、たぶん。
「一時間あまり台所とか冷蔵庫の裏をうろちょろしてたい?」
「ゴキブリなんて一秒でも嫌だよ!!」
「私にくだらない魔法使わせないでよ」
「なんかさ・・・僕が喜ぶような魔法使えない?」
「魔法を私利私慾ために使っちいけないっておばあちゃんに言われてるの」
「あ〜そう言えばドールの故郷の話、またちゃんと聞かせてもらってないよな?」
「う〜ん・・・それを話し始めたら、なんで私が潤之助のおうちにホームステイ
しなきゃいけなかったことまで話さなきゃいけなくなるから・・・」
「え?・・・普通に留学じゃなかったの?」
「潤之助にならもう話してもいいかな・・・私のこと」
つづく。
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