第3話:僕はまぎれもなくドールに恋してる。

ドールがホームステイで最初に僕の家に来た時はお互い遠慮があったから、

僕は普通にドールズベリーちゃんって呼んでた。

で、ドールは僕のことを潤之助じゅんのすけさんって呼んでた。


日にちが経つごとにお互い少しづつ打ち解けて行って僕はすぐにドールちゃん

って呼ぶようになってドールは僕のことを潤ちゃんって呼ぶようになった。


で、最終的に今は僕はドールのことをドールって呼び捨て。

ドールも僕のことを潤之助って呼び捨てにしてる。

ちゃんづけだったのが、なんで呼び捨てになるんだか?

それだけ他の人に対する思いとは違うんだってことなんだろうな。


そもそも呼び捨てって言葉自体よくないよね。

捨てるってのがよくない。


ドールが来た頃は、率先して外に連れ出した。

慣れてもらわないと困るからね、右も左の分かんないんじゃ僕がついて

ないとなんにもできないでしょ。


最初は大型ショピングモール・レオン。

買い物くらいひとりでできないと、と思って・・・。

まあ、ショッピングモールは楽しいから一緒に来てもいいんだけど。


それと女の子には外せない洋菓子屋さん「3時のラグジュアリー」

そのお菓子屋さんで買ったチーズケーキがドールはすごぶるお気に入りになった。

なによりチーズケーキ・・・たかがチーズケーキ、だけど今は一番大切らしい。

ぼくよりもね。

それにチーズケーキを食べると魔法のパワーになるらしい。


あとは、夕日が浜遊園地に・・・。


しろくま動物園。


水の中水族館。


YOHOシネマ・・・ドールは外人らしく日本のアニメが一番好きらしい。


で、温泉リゾート・湯〜りんパーク大里。


あとは一般大衆レストラン・ダスト。

高級レストランは、ここぞと言う時まで取っておく。

たとえばドールの誕生日とか・・・。


他にも商店街とか教えてやって・・・だけどドールは今まで一度もひとりで

外出する気配がない。

僕に依存してるの?ってくらい、結局どこへ行くのも僕がついて行く。


まるで恋人同士のデートみたいだけど、未だにお互いの想いって言うか?

気持ちを確かめたことがないんだ。

めっちゃ微妙。


ドールは今の所、他に彼氏がいるわけじゃなさそうだし。

もし、クラスの中の男子の誰かを好きになって、恋愛に発展してもそれは

ドールの自由。

僕がとやかく言う権利はない。


なんだけど、そんなことになったら僕はジェラシーで狂い死ぬかもしれない。

狂い死にするくらいの嫉妬って、僕はまぎれもなくドールに恋してるって

ことだよね。


ドールは四六時中、僕のそばにいるから僕に想いを寄せてくれてるって

勘違いしたってしかたないよね・・・。

それは、好きかどうかってより僕以外に他に頼れる男がいないからってことだろ?


思い切って自分の気持ちを告白してもいいんだけど・・・。


でも女心は分からない。

魔女の心はって言ったほうがいいかな。

だってドールってめちゃツンデレだし・・・すごく冷たい時があると思ったら、

すごい猫なで声でお願い事をしてくる時もある。

喜怒哀楽?感情の起伏が激しい。


だから気持ちを告白するとしたらタイミングを外すと失敗に終わっちゃう

かもしれない。

もし、そうなったら・・・一緒にいることが居たたまれなくなってくるし・・・。

ぎこちなくなるのは目に見えてる・・・どうしたもんだろう?


「潤之助・・・またボーッとしてる?」

「よく、物思いにふける人ね」


「誰かと違って繊細なんだよ、誰かと違って」


「誰かって誰よ?」


「早乙女家の中でガサツなやつって言ったらひとりしかいないだろ?」


って、そんな皮肉を言うから、冷たくされるんだな、たぶん。


「一時間あまり台所とか冷蔵庫の裏をうろちょろしてたい?」


「一秒でも嫌だ!!」


「私にくだらない魔法使わせないでよ」


「なんかさ・・・僕が喜ぶような魔法使えない?」


「魔法を私利私慾ために使っちいけないっておばあちゃんに言われてるの」


「あ〜そう言えばドールの故郷の話、またちゃんと聞かせてもらってないよな?」


「う〜ん・・・それを話し始めたら、なんで私が潤之助のおうちにホームステイ

しなきゃいけなかったことまで話さなきゃいけなくなるから・・・」


「え?・・・普通に留学じゃなかったの?」


「潤之助にならもう話してもいいかな・・・私のこと」


つづく。







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