15「終結」
地上へと返ってきた天地家は、地上ではもう8月終わりになっていた。
夏休みが終わる。
「あー、本読んでない。」
温水が、家に帰ってきた瞬間に、夏休みの宿題が終わっていないのを気づいた。
寒水は、一息吐き「仕方ない」といい、本の読み方を教えた。
すると、早く読めて、ギリギリで読破出来る。
しかし、寒水の元には、二つの光があった。
それはドクとキルだ。
あの時、織田信長の気高さに惹かれて、妖精の世界へ帰るのを止めた。
寒水からドクは、国の維持する方法を教えてもらい、キルは、力の使い方を教わっていた。
寒水の手には、ノートパソコンと包丁があった。
「学んだら、自分の世界に帰れよ。」
寒水は、妖精二人に伝えると。
「ごめんなさい。実は、他の妖精に声を掛けた所、寒水さんに是非とも会いたいといわれて、これから、他の国にある妖精が訪ねて来ると思います。」
「なんだと。」
寒水は、これから大変になる。
総蔵とゆかりはというと、夫婦として、今までと同じ関係を築いている。
ただ、この地上の争いを見ると、やはり、思う所があり、少しだけ争いを止める為に内緒で力を使っている。
温水と寒水が帰ってきたのを、満は知ると、とても嬉しい顔をして、二人を出迎えた。
「おかえり。」
「ただいま。満。」
「ただいま、あれからご両親はどう?」
温水は、あの後の展開が気になっていた。
「社長、すごいね。あの頑固な両親を、言いくるめて、俺を料理の世界に連れて行ってくれたんだ。今は、料理長に鍛えられている。」
「よかった。」
すると、寒水も喜んだ。
「あっ、社長が、温水も引き入れたいらしいよ。」
「やっぱりそうなる?」
「ロッカーも、前世使っていた所にするって。」
「はは、それは嬉しいけど、どうしようかな。料理はもう。」
すると、寒水はキルが現実化した包丁を渡した。
「キルが、お腹空いたって。」
「は?」
「だから、料理、作れよ。」
温水は、寒水と満の目線と、目の前に出された包丁を見ると、諦めた。
「わかった。この生も、料理に打ち込みますか。満、本気で行くから、覚悟しろよ。」
「あっ、そういう。負けないからな。」
二人の競争心があり、駅前のホテルは、とてもレベルが高くなっていった。
周りからは高級な駅前ホテルとして、有名になり、社長はとてもウキウキであった。
高校の間は、二人とも見習いで通い、卒業したら、正式に社員として入るのが決定された。
ガラス張りでの料理パフォーマンスが、二人がする時があり、それが五月五日、子供の日となっていた。
その日は、このホテルに泊まりに来ていない人も、見に来ていた。
他の日は、一人であったり、二人ではない他の料理人だったりした。
寒水は、そんな二人を見ると、自分の思い描いた展開になり、嬉しくなった。
そんな寒水の周りには、光が増えて、今は、ドクとキル合わせて、十二の光がある。
それぞれに名前を付けて、要求されている内容を順番に訊いて、叶えていた。
そんな寒水には、地上で相棒が出来ていた。
渋沢天音である。
天音は、幼稚園の時から、温水と寒水を見て来て、夏休みが終わった時に、温水と話しをした時、違和感があり、色々と誘導尋問をして行くと、全て話しをしていた。
寒水が、妖精の手伝いをしているのを訊くと、天音にも妖精がいると言って、現実化されたのが、サッカーボールであった。
そのボールでサッカーの練習をする度に、妖精の力が増すと言われ、張り切っていた。
だが、スランプになっていたから、寒水に相談をした。
それ以来、天音は寒水の相棒である。
そんな時、ニュースで流れて来た。
「北極と南極に、ウォッチオーバーの打ち上げに成功しました。」
その情報は、天地家が警戒をし、色々と手を加えて、回避しようとしていたが、その話は別である。
終わり
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