第3話 メイキングダンジョン!
拡張した空間、そこに元々あった物質はどうなったのか。
結論から言おう、俺が保存している。
コアの権能で拡張した空間に元々あった土や石などの物体は、コアに備わっていた『亜空間』なるスキルによって別の次元へと放り出されている。取り出そうと思えば取り出せるし、なんなら形を指定してから取り出すこともできる。
やろうと思えば全て土で作られた家なんかも作れるよ。
そんなこんなで結構深くまで掘り進めてしまった。来た道はちゃんと舗装しているし家まで帰ろうと思えば帰れるのだが、如何せん歩くのがだるい。
「そんなあなたに!!」
てってれー!俺は自分で作ったダンジョン内であればどこだろうと瞬間移動できる能力を得たのだ。
「と言うか、この体高性能だな」
作ったダンジョンであれば千里眼のようにどこだろうと視ることができる権能。
ダンジョン内であればどこだろうと瞬間移動できる権能。
ダンジョンに入ってきた生命体を感知できる権能。
本来、コアは自力で動くことができないため二つ目の権能はあり得ないはずなのだが、恐らく俺と言う人間と一体化してしまったがために起きたイレギュラーか、もしくは全く別種の生命体へと変化してしまったのかもしれない。
ちなみに、ぶっ通しで作業をしていたためダンジョン内には既にマナが充満してきており俺も晴れて『レベル』に覚醒した。
最近では高校生の内に『レベル』への覚醒が推奨されているようだが、それが施行されたのは五年前だ。ギリギリ高校卒業している。
まあ、レベルはあるのだがステータスという概念がないのが残念なところか。
レベルは現時点でどの程度の実力があるのかの一種の指標である。
「なにはともあれ、ダンジョン内であればいくら暗かろうが目が見えるっていうのも便利な機能だな」
そうだな。作るとしたら最下層を定めてから上に向かって作成するのが良いだろうか。でも、せっかく作るのだからこんなド田舎ではなくてもっと人が多い場所がいいんだけど。どうせなら攻略してほしいし。
とりあえず、本拠地は俺の家の庭でいいか。
「ここからどんどん拡張してやるぜ!」
夜通し作業して、結局かなり下まで掘ってしまった。
権能のおかげで俺が今どの辺にいるのかがなんとなく分かるが、他のダンジョンだと冥界とか言われている最高難度の深度辺りだ。
深くまで来すぎた。
まあいいや。ここを本拠地として、クモの巣みたいに複雑に迷宮を広めることにしよう。なんとこれまでの作業により俺はまたもや技能を獲得したのだ。
それは、別に俺自身が赴かなくてもダンジョンを自由に拡張することができるという能力。
というか、普通こっちの方がメジャーなんだよね。コアって本来動けないんだから最深部に鎮座しながらダンジョンを拡張させているはずだ。
つまりはまあ、俺が先入観にとらわれていたということだ。
ダンジョン内であればどこであろうと視ることができるし、その能力を駆使すれば俺は自宅で寛ぎながらダンジョンを拡張させることだって可能なのだ。
なんという親切設計。これなら暇つぶしに困らないね。
そろそろいい時間だし、一旦ここらへんで撤退しよう。あとは家でもダンジョンを拡張できるし。
とりあえず、俺の家の庭にダンジョンへの入り口があることがバレると不都合なので帰ったら塞いでおこう。
「瞬間移動!」
能力を発動すると突然視界が最初に掘った穴付近へと変化した。
マジで瞬間移動できじゃんか!これはテンションが上がりますな!
と言うことで、一旦家に入った俺は、風呂を済ませてリラックスしていた。
今後のダンジョン展開だが、まずは俺がダンジョンコアであるとバレることは避けねばならない。
俺の家の地下は絶賛ダンジョン建設中であり、危険だ。もしバレようものならここからの退去命令が下りかねない。まあ別に良いのだが、引っ越しは面倒なのだ。
と言うことで、冥界だけを残してあとは埋めなおすことにした。
冥界さえ残っていればそこからいくらでも拡張することが可能だ。
それに、普通のコレクターは冥界なんかには行けない。零等級の最上位勢が徒党を組んで何とかたどり着くのが冥界なのだ。
あとはまあ、拡張したダンジョンから冥界を隔離してしまえばよいのだ。折角初めて作ったダンジョンなのだから、俺の家の地下にある冥界くらいは残しておきたい。
記念ダンジョンである。
まあ、目標としては日本全土に広がる超特大級のダンジョンを作ることかな。
ニュースになったりするのだろうか。それともお祭り騒ぎとか?
少なくともスレッドは大盛況となるだろう。
なんだか、将来設計をしているだけで楽しくなってくる。
色々とやりたいこともあるし、人生これからが本番ってことだな。
俺の今後は如何に。もしかしたらコレクターになるかもしれないけれど、コレクターになるには勉強する必要があるしまだ先だろう。
友人が現在絶賛コレクターとして活動しているし、彼の伝手を頼って勉強を教えて貰うのも悪くはないかもしれない。
まあ、その時が来るのはまだ先だろう。とりあえず、俺がやることはダンジョンの作成である。
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