第2話

「アイね。わかった。」

「で、ここは新しい店?」

心は頷いた。

「じゃぁ~出るか。」

心の前のテーブルに掛けてあったTシャツを着ながら言った。

心は、六法全集を [パン] と音がする位に、勢い良くたたみ、腰かけて

いたテーブルから立ち上がった。

心の後に鉄が続いて更衣室を出た。

更衣室を出ると暗い店内のラウンジらしい場所を横切って店の外に出た。

「え!?。ここって、どこ? えっと、BUSANだよね。」

入り口を出た心は周囲を確認する様に立ち止まっていたが、鉄はお構い

無しに心を追い抜いて、通りを見渡した。

「緑町跡?」

左右の確認を終え、上を見ていた心は、鉄の問いに顎を引いて

頷く事で問いかけに答えた。。

頷いた心は、鉄を追い越して前に停めてある、ワンボックスカーに

真っ直ぐ向かった。

車の周囲を少し距離を保って、一周して回った。

安全を確認して車のロックを解いた。

そして、リアドアのスライドドアを開けた。

心はそのままリアドアから車内に乗り込んだ。

ワンボックスカーの後ろの席は、運転席の後ろが心の席、ソファー

ベットになる最後部の席が鉄の席だ。

心は、車に乗り込んで自分の席に着きながら運転席の肩の部に有る

ボタンを押して、後部席との仕切りの遮光カーテンを引いた。

鉄は、遮光カーテンを開けて運転席に座る心の3D画像を確認しながら、

熱感知の出来るサングラスを掛けて車の前方を凝視し、違和感が

無い事を確認して後方も確認してから、車に乗り込んだ。

鉄は車に乗り込みながら、心に言った。

「OK」

っと言いながら、後部席に寝そべった。

車は、運転席後ろの席の心がモニターを見ながら操作している。

勿論、運転に合せて3Dの心も動いている。

「っで、今から何処に行くのかな?」

心に言う訳でも無く、寝そべった先に転がっていた、手の平サイズの

モニターを覗き込みながら、サングラスを外した。

「北上するんじゃないんだ。」

そう言った、鉄の手の平のモニター上部に{今から埠頭に向かいます}

と文字が浮かんだ。

「埠頭?」

鉄は寝そべっていた、ソファーベットから体を起こして

「ウルソの収益と緑町跡のこれからの収益だけでもかなりの資金が

集まるんじゃないの?」

鉄はモニターで車を運転している心に向かって、言った。

と言うよりも、心の操作している青白く光るモニターに向かって言った。

そのモニターには、

{今までの事は、組織を維持する為の資金集めです}

{これから行く所は、企画書では分かって貰えないと思ったので、

実際に向かいます}

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