第27話 すべて計算通り
銃声が轟いた。女性のかな切り声が響く。
敦子が出血している大腿を押さえてひざまついている。
複眼の男、大和田はリボルバーを装填しながら「まさかお前が加奈と繋がってるだなんてな。あの世で兄貴を恨め」と言った。
「何の話?」
もう片方の足を大和田は撃った。また敦子の絶叫が響いた。
「今度はその不細工な面を撃つからな。覚悟しておけよ」
敦子はすると大笑いした。「私を殺したら、加奈さんの場所は教えないよ」
葉巻を踏みつぶし、敦子の顔面を蹴った。
「知ってる、彩羽ちゃんから教えてもらった。加奈さんのマイクロチップの中に、この日本が隠している核弾頭の機密発射コード。それが欲しいんでしょう。首相権限しか知らないそれを、テロ組織に渡すのを世間には隠したくて、人の体内に隠し、時限爆弾を設定した! そうでしょう」
「本当に殺さないといけないみたいだな。残念だよ」
「お前ら政府はテロ組織の家畜だ! それで恥ずかしくないのか! 外国政権からいいようにこき使われて、今回の青少年蜂起も仕組まれたことでしょう!」
大和田は葉巻に再び火をつけてそれを敦子の出血した大腿にこすり付けた。この世のものとは思えない絶叫。
「ああ。そうだよ。加奈がいなくなってから青森蜂起を仕組んだ。そこで大量虐殺し、生き残ったTI兵士にこの青森蜂起を仕組んだのは肇前首相だと。元から決まっていたことだと話したら蜂起もしたし、逃亡していた加奈を殺そうともしたな。まあ、奴らは加奈は恐ろしくて殺せなかったみたいだが。まあ、それも計算通りだ」
「そんなっ。他人事のように言わないで。全部、あんたのせいじゃない」
「政府は喫煙者だ。お前らからもらっている税金で得たもので、煙草という軍事力を作る。でも感謝してくれよ。政府は害を得てして、お前らを守っているんだから」
大和田はけらけらと笑う。それから突然、栓が抜けたように無表情になり敦子を発砲して殺した。
「久しぶりにおしゃべりになったよ。肇」
葉巻を吸った。それでも高揚感は落ち着かなかった。
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