第15話 青少年のエロスと反発心
射撃場にて、俺は的に狙って三発射撃した。
リコイルの反動で、拳銃を落としてしまった。
「やっぱり手首怪我していると、拳銃が使えないなあ」
分かっていたことなのにな。
強情ね。後ろからそう言われた。俺は振り向こうとしたとき、背筋に異物が当たっているのを感じた。「これなんだと思う?」
俺は苦笑しながら、「まさか、拳銃とか?」と言うと、撫で声で「ピンポーン。あんたのあそこに入れてあげようか」
首だけ動かすと、白髪のTIの制服を着た豊満な少女がにやにやと笑っている。俺に銃口を向けながら。
「胸でかいっすね」
「触ってみたい?」
「え?」
「君はスケベそうだからなあ。まあ、君みたいなイケメンなら触ってもよし」
彼女は手を広げ、胸をだらんとして見せる。
「えっ、本当に触っていいの?」
少女はこくりと頷いた。俺は手を伸ばそうとすると銃声が轟いた。
その音の方を見やると、加奈が立っていた。
「不純異性交遊は、やめてもらえるかしら」
「どうしてえ? この子、イケメンだし、こういう施設だし溜まってるんじゃないかと思ってねえ」
「だから、やめてって!」加奈は必死に乞うている。
俺は気分が萎えて、白髪少女に「どいて」と言い、去っていこうとした。
そこで、扉付近で俯いている加奈の肩を触ろうとした、瞬間、避けられた。
「ごめん」
そう言うしかなかった。
部屋に戻ると、誠二がどこからくすねてきたのか、エロ漫画を読んでいた。
「何そんなもん読んでんだよ」
「いやあ、死ぬまでに童貞は捨てておきてえなあ、とか思ったり、こんなネットが栄えてる時代に、紙の本で女性の裸体が描かれてるって、いうことも貴重だったり」
俺は溜息をついた。「で、結局お前は何が言いたいわけ?」
「俺ら男の青春って、エロスと親の反発じゃねえかよ。どうしようもない自堕落なオナニー。好きな女の子を想いながら告白すらできなくて、もどかしい奴もいたり、セックスまで行けてたりする奴もいる。
親が鬱陶しくて、くすねた煙草と兄貴の原付乗って風感じたり。なんか、そういうのって無駄だけど楽しいだろ?」
俺は腕を組んで、だよなあ、と相槌打ってみた。
そして互いに笑ってみる。
それから、なぜか俺は一筋の涙がこぼれた。
「なんで泣いてんだよ」
「いや、俺は恋愛も出来ずに死ぬのかなって」
そう思って、涙を流したんだと、思う……。
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