第30話 やられ役の魔王、師弟百合を眺める





 俺はアルシオンとめちゃくちゃエッチした。


 あのボクっ娘ロリ爆乳おっぱいドラゴン、ムチムチで抱き心地が半端なかった。


 身体が小さいから征服欲も満たせる上、高レベルなためにスタミナが尋常ではなく、いつまでも抱いていられる。


 一言で言うなら、最高でした。ハイ。



「まったく、儂の魔法をこんなくだらんことに使うとはのぅ」


「ふふっ、師匠のお陰で王国の人間に絶望を与えられました。唯一の救いが潰える彼らの顔をこの目で見られないのが残念です」



 そして、俺とアルシオンのエッチはナリアの魔法で生中継されていた。


 どうやら王国全土で放送されたらしい。


 全てエルシアの発案であり、俺がアルシオンとエッチしている姿を見て閃いたそうだ。



「それはさておき」



 俺はエルシアの一言で背筋が凍った。


 心なしか周囲の気温が数度下がったような気がしてしまう。



「聖竜との戦いで怪我をしていないか追いかけてきたら、またエッチしてるなんて。いい加減、愛してる人が目の前で他の女の子とラブラブエッチしてる様を見る私の気持ちも分かって欲しいですっ」


「は、ははは、本当にすまん。節操の無い男で」


「……まあ、別に。後で私も可愛がってくれるなら文句はないですし、最近はそういうのにも興奮するから良いですけど」



 エルシアが頬を膨らませて言う。


 すると、ツンツンしてるエルシアを見たナリアがフッと鼻で笑った。



「すっかり変態になりおって。儂に弟子入りした時は男の『お』の字も知らなかった田舎娘だったのにのぅ」


「む。師匠ってば、そんなこと言って良いんですか? 今の師匠はディアブロ様のペット、つまりは私のペットでもあるんですよ?」


「ほう? この儂をどうする気じゃ?」


「ふふっ、こうします!!」



 エルシアは不敵に笑い、血液を操作する。


 彼女が血液で象り作ったのは俺の魔剣と瓜二つの魔剣だった。


 見た目、太さ、長さ、質感まで再現している。



「な、なんじゃ、それは?」


「ディアブロ様の『あれ』です!!」


「んなもん見りゃ分かるのじゃ!! それをどうする気なのじゃ!?」


「これをこうして装備すれば……」


「お、お主、まさか」



 エルシアが魔剣を装備し、それをナリアの前に堂々と掲げる。


 そして、ぺろりと舌なめずりした。



「これで師匠を可愛がってあげますね?」


「ま、待つのじゃ、エルシア。儂が悪かったのじゃ。ご主人様ならともかく、弟子にされるのは流石にプライドが傷つくのじゃ!!」


「これはペット躾けですから、師匠に拒否権はないですよ。ほら、早くこっちに来てください」



 すぐ隣でエルシアがナリアとイチャイチャエッチし始める。


 お、おお、師弟で百合が咲き乱れているぞ。










 時刻は夜。


 エルシア軍はアルヴェラ王国の王都前まで到着していた。



「ようやく王都、ですね」



 つい数刻前までナリアを「んほお゛っ♡」と鳴かせまくっていたエルシアが、真剣な面持ちで王都を見据えて言う。


 ここは王都から少し離れた平原。


 エルシア軍の兵士たちが明日の総攻撃に備え、鋭気を養っている。


 具体的に言うと、道中で捕まえた人間を頭からバリバリ食べてたりする。

 ちょっと絵面が最悪なので見ないようにしているが、そこかしこから生々しい人の悲鳴が聞こえてくる程だ。


 マナは出張医院を開き、ナリアはエルシアとの百合エッチで気絶中、リュクシュとミーシャは軍への指示出しで、アルシオンはお昼寝中である。


 まあ、つまりこの場には俺とエルシアしかいないってわけだな。



「ディアブロ様。今回は戦いを見守っていてくれませんか?」



 アルヴェラ王国の王都を真っ直ぐ見据えながら、エルシアが言った。


 俺は思わず首を傾げる。



「む。何故だ? ここまで来たんだ、最後まで付き合うぞ」


「ここには私に石を投げた民衆だけでなく、私を裏切った人たちがいます。きっと私は、今まで以上に残酷なことをするでしょう。その、ディアブロ様に見られたくないことも」


「……ふむ」



 たしかにエルシアの言動にビビる時はあるが、それがどうしたと言うのか。



「その程度で俺のエルシアへの愛が揺らぐと思われているなら、それは心外だ」


「ディアブロ様……。もう、恥ずかしいです」



 俺の正面からの言葉にエルシアが頬を赤くしてしまう。

 ベッドの上ではエロいけど、こういう時は可愛いのって反則だよな。


 エルシアはくすっと笑い、こちらに振り向いた。


 ちょうど月明かりがエルシアの純白の髪を照らして美しく輝いている。



「だったら、今から少し悪戯してこようと思うのですが、付き合ってくれますか?」


「分かった」



 というわけで、俺とエルシアは二人で王都へ向かった。


 王都を囲む防壁は頑丈だが、俺の魔法で簡単には壊せるだろう。

 エルシアでも防壁そのものは無理だろうが、出入口の門は破壊できるはず。


 俺の予想通りにエルシアは門を魔法で破壊し、中に侵入する。


 兵士たちが慌てて飛び出して来るが、雑兵ではエルシアの相手にならず、その場でアンデッドの仲間入りを果たした。


 エルシアは襲い来る兵士たちを次々と始末しながら進み、やがて大きな広場に出る。


 その中央にエルシアが立った。



「王都の皆さん、こんばんわ。魔女と呼びたい方もいるかも知れませんが、今は魔王妃を名乗らせていただきます。エルシアです」



 風の魔法で声が遠くまで届くようにしながら、エルシアが王都の民に話しかける。


 とても優しい声音だった。



「皆さんに嬉しいお知らせです。私が今から名前を言う人物を連れてきたら、皆さんは特別に生かして差し上げます」



 そう言ってエルシアは、攻略対象や恨みがあるであろう人物たちの名前を出した。


 門を破壊した際の音で王都の民は目を覚ましていたらしく、あちこちでエルシアの声に聞き耳を立てているようだった。


 エルシアが中々えぐい。


 アヴァンの街がたった一日で陥落したり、希望だったアルシオンが寝返ったりして、民衆は極度のストレスを抱えているはず。


 そこに突け込み、王都の民を利用して憎い相手を捕らえようとしているのだろう。


 平時なら広場にいるエルシアに石でも投げるだろうが、王国軍が壊滅して自分たちを守る者がいないと分かっている民衆はそうしない。


 自分たちが生き残る可能性に賭け、全力でエルシアが口にした人物たちを捕まえるはずだ。



「タイムリミットは明日の正午となります。それまでに捕まえられなかった場合、皆さんも苦しめて殺します。誤って殺した場合も殺します」



 そう言ってエルシアは来た道を戻り、王都から出て行った。


 俺はエルシアに話しかける。



「本当に民衆は殺さないのか?」


「ふふっ、まさか。全員、生きたまま魔族の皆さんのご飯になってもらいますよ?」


「そ、そうか」



 笑って言うエルシアが怖い。


 しかし、ここまで残酷なエルシアを見ていると、やはり彼女が魔王に相応しいように思えてくる。


 最初はどうにかしてエルシアを攻略対象たちの元に返して俺を倒してもらい、やられたフリをして一般魔族になって生きていくつもりだった。


 その次の計画ではエルシアに魔王の座を押し付けて一般魔族になる予定だったが……。


 近頃、ふと思う。


 俺がハーレムを作って許されているのは、魔王だからだ。

 では俺が魔王の座を捨てたら、果たして新たな魔王となったエルシアは俺をどうするだろうか。


 いや、エルシアだけでなく、マナやリュクシュたちは俺のことをどう思うのか気が気ではないのが本音だった。


 捨てられることはないと思うが、やはり失望されるかも知れない。


 最近になって気付いたが、魔王という地位は価値が伴い、それによって俺が受けている恩恵は意外と多い。


 このまま魔王でいる方が楽なのでは?


 最近はそう思う。

 でも元々一般人だった俺には重大な責任が伴う王様は無理だ。


 何かこう、魔王の座を捨てられなくなるイベントでも起こったら良いのに……。

 


「ディアブロ様? どうかなさいました?」


「……いや、少し考え事をな」


「ひゃっ♡ も、もう、いきなりおっぱいを揉まないでください!!」



 面倒なことは後回し!! 俺の土下座に次ぐ必殺技である。


 俺は明日の総攻撃に備え、エルシアとめちゃくちゃエッチした。






―――――――――――――――――――――

あとがき

どうでもいい小話

エルシアが血で作った魔剣モドキに対抗し、サキュバスたちは持てる技術を全て用いて魔王の魔剣を開発。現在魔王城の売店で発売したものの、一部女性魔族からのお買い求めが殺到し、再販を検討中。



「師弟百合のところ詳しく」「エルシアがえぐい」「あとがき本当にどうでも良くて草」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。

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