第7話 初実験
ロイドからもらった金で宿を取った翌日、私は冒険者ギルドに向かった。
理由は簡単、ロイドから貰った金はまだあるが3日ほどで切れるため、その後の資金を稼ごうと思ったのだ。
ある程度の事はギルドIDを登録した時に聞いていたため、私は早速自分が受ける依頼を選ぶべく、依頼の紙が貼ってあるボードに向かった。
(この世界で私がどの程度の戦闘力を持っているかわからないしゴブリンで実験でもしてみるか…何なら解剖したいな…人型魔物の臓器など研究者として見過ごすわけにはいかない)
ゴブリン討伐は常時以来の為、私は依頼の紙を受付に持っていくことなく、冒険者ギルドを後にした。
まだこの町に来てから一日しか経っていない為、観光がてらゆっくり歩いて城門を目指した。
(昼間も結構栄えているんだな…スラム街の方に拠点を作りたいからそのうちそっちも見に行きたいが…この実験の結果次第では行っても大丈夫かもしれないしな)
私はそんなことを考えながら歩いていた。
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城門を出るときは門にいる衛兵にギルドIDを提示するだけで簡単に出れた。
(当たり前だが、やはり馬車から見る景色と徒歩で見る景色は違うな。空気が気持ちい)
自身の研究によって数十種類の動植物を絶滅させている人間とは思えない心境だった。
「グガッ」
歩いていると茂みの方から声がするので近づいてみると目的のゴブリンが3匹いた。
(お、見つけた見つけた。私の大事な研究相手と解剖動物と金だ)
そんな良く丸出しの状態だったが、オノダは冷静にゴブリンのいる方に手をかざした。
その瞬間オノダの手に赤い魔法陣が描かれ、火の玉が出た。
(正直一番自分が信用している拳銃を使いたいが、もしも見られたとき色々と厄介だ。)
命中するとゴブリンの一体が黒焦げになった。
(ふむ…ゴブリン相手には強力な魔法だったのかな?てか討伐証明部位もやしちゃった…)
そう思い、少し込める力を緩めると先ほどよりは燃える部分は抑えられた。
(せっかくだ、他の魔法も試そう)
そう思い、最後の急に仲間がやられて混乱しているゴブリンに雷魔法を浴びせた。
雷魔法は感電死なので外傷が少なくなる、つまり討伐証明部位を破壊しずらい。
だからこの魔法を使った。
私は1時間ほど掛けて最後に殺したゴブリンを解体した。
討伐証明部位は勿論、腹を掻っ捌いてアルコール瓶に臓器を移した。
その後も午前中はひたすらゴブリンを追っかけ回し、気づいたら50匹ほど討伐証明部位があった。
ロイドに教えてもらったことだが、この世界には鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、星貨の5つの貨幣を使うらしい。日本円で表すと、鉄貨は100円玉、銅貨は1000円玉、銀貨は1万円玉、金貨は10万円玉、そして最上級の硬貨である星貨は100万円に相当するらしい。
ゴブリンは常時発動以来だがその分貰える報酬も少ない。
一体に付き、銅貨2枚だ。
つまり、銅貨約100枚、つまり10万円だ。
恰好はこの白衣を着ていたいので、服を狩ったりしなくていいから、とりあえずこれでしばらくは持つだろう。
宿代と食費さえあればとりあえずはいい。ここから数日間は研究の拠点の確保と研究用のフラスコや機械などを創造魔法で生成しよう。魔力は相当失われるだろうが、設備がないことにはそもそも研究自体が難しくなってしまう。
そしてまず最初の研究はゴブリンの内臓だ。
そう思い、オノダはアイテムボックスを開いてゴブリンのアルコール漬けの内臓を取り出した。
結局その日は午後は午前中に狩ったゴブリンの内臓や皮膚成分の実験、研究、検査で時間を使い切ってしまい、新たな実験にオノダは寝るのも忘れて幸せな気持ちで研究を続けた。
(今揃えられる実験材料だと、この程度が限界か。そもそも素材もゴブリンとは…
冒険者ギルドの中でも常時依頼の魔物の研究など正直たかが知れている)
「専属の冒険者を雇うか、大きな後ろ盾が必要ですね。これは…」
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