第4話 異世界人への接触

異世界に来てから初めての朝を迎えた。




朝食の準備をしようと思い、

昨日狩ったウサギの残りをアイテムボックスから取り出し火を起こして焼き始めた。

食べた後は今後の事について再び考え始めた。





(前の世界のような失態を起こさないこともそうだが、万が一のために自分が動く時はホムンクルスを使いたいな、この世界の状況をはっきり掴めていない以上は用心にこしたことはない…、しかし問題はホムンクルスはおそらく創造魔法で作成できるが、魂をどうやって移すか、ホムンクルスにどうやって意識を持たせることか、だ)

そんなことをしばらく考えていた。





男はまず付近を散策して地理をの情報を得ようと歩き始めて

しばらくしてからだった。





明らかに人の手によって整備された街道に出た。

(街道を見る限り馬の足跡やタイヤ痕のようなものが残っていることから、

比較的近くに町か何か人の集落があるのだろう)

考えながら地面に顔近づけてさらに情報を得ようと観察しているときであった。





地面がほんの少しだけだが、揺れてることに気が付いた。

(地震か、それとも近くで何かあったか)

そう思い、街道の観察をやめ、顔を上げた瞬間、

目の前には馬車がいた。

(あ、やばい、死ぬ)

馬が「ヒヒーン」と言い前足を高く上げて

男のすぐ目の前に着いた。





男はハッとして止まった馬車を見上げた。

すると御者の男が話しかけてきた。




「兄ちゃん一体何してるんだ?」

御者の男は首を傾げながら言った。





「獣道のような道しかないほどの田舎から来たんで、この街道を観察してたんだ」

(無理がある話だとは思うが、これで通ってくれ…)

「なるほどな、相当辺鄙な場所からきたんだな」

(御者が馬鹿で助かった)




そんな会話をしていると馬車の中から一人の初老の男が降りてきた。





「急に馬車が止まりましたけど何があったんですか?」

「それが旦那…」

それから御者は初老の男に何があったかを説明した。





「なるほど、理解しました。

これも何かの縁でしょう…宜しければエルダンまでご一緒にどうですかな?

失礼ですがまだ右も左もわからないようですし…」

(エルダンが正確には何かわからないが、おそらく地名だろう…断る理由もないし…)

「そちらが宜しいのでしたら、お言葉に甘えさせていただきます」  






初老の男と馬車に乗り込み、数分経って馬車が出発した。

「そういえばまだ自己紹介がまだでしたね、私は商人のロイドと申します」

初老の男が丁寧に挨拶した。

「私はオノダと言います。さっき御者の方から聞いた通り、田舎から出てきた旅人です」

と、偽名を笑顔で吐いた。





それからしばらくは雑談を馬車の中でしていた。

「オノダ様は何を目的に故郷から出てこられたんですか?」

「実は研究者になりたいと思いまして…」

「ほう、研究者ですか…、ちなみに何の研究か聞いても?」

ロイドは身を乗り出して目を輝かせて聞いてきた。

「実はまだ何の研究をするかも決めかねてまして」

男は平気でまた嘘をついた。

「そうですか…」

ロイドが少し残念ような声を出す。

「ちなみに、エルダンとはどういうところなのでしょう?」

「エルダンはこのグルス王国2番目に大きな城塞都市です、この辺りはルルシア帝国の国境付近ですから、多くの騎士などの軍隊が常駐し、冒険者もいっぱいいる都市ですよ」

「冒険者とは?」

「ああ、簡単に言うと便利屋のようなものですね。護衛から魔獣、魔物の盗伐まで、町の掃除など幅広くいろんな仕事をしてくれるんですよ」

「なるほど…」

「話は変わるんですがグルス王国の王都はここからどれくらいなんですか?」

「そうですねぇ…大体この馬車の速さで1週間ほどでしょうかね」





そんな会話をしていると御者の叫び声がした。

「ぎゃぁぁ、風狼だぁ」

オノダは肩のホルスターの拳銃に触れながら走行中の馬車の扉を開けて状況を確認した。

狼と思われる動物が5匹馬車と並ぶくらいのスピードで追いかけてきている。

「ロイドさん、風狼とは?」

「風狼とは読んで字のごとく風属性の魔法を操る狼の魔獣です、魔法を使うといってもそんなに難しい魔法は扱えないので1匹1匹はそこまで脅威ではないのですが5匹同時に追いかけられてるとなると我々流石に危ないですね…」

(急いで処理しないとまずいが、ここで拳銃は使えんしな。一応私は全属性の魔法を使えるらしいが、まだ一回も使ったことないしな…一か八かやってみるか)





オノダは深呼吸をしてから数秒目を閉じながら息をはいた。

そして頭の中で雷を創造して呟いた。

「ライトニング」と

するとオノダの指先から稲妻が走った。

あとで解剖したかったので頭を狙った。

それは一匹の頭部に見事に命中し、その狼は感電死した。

同じように4匹もライトニングを放ち殺した。

「ライトニングライトニングライトニングライトニング」と

ロイドはあっけにとられていたが我に戻って少し頭を抱えていた。 

 




その後馬車を少し戻してもらい、風狼の死体を回収した。





そしてしばらくすると御者の男が話かけてきた

「旦那達、そろそろエルダンに着きますぜ」





そう言われて窓から進行方向を見ると、城塞の一部が見えていた。








































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