第4話 悩み
そしてその翌日、事件は起こった。
登校するといつもよりなんだか教室が騒がしい。
黒板に目をやると、そこにはデカデカと
『
と書かれていた。
耳を澄ましてみると、みんなが話しているのはそのことだった。
やれ、最低だの。最悪だの、友達辞めるだの。
そんな言葉が口々に紡がれているのを耳にして俺は咄嗟に声が出る。
「あいつは、、
俺がそう言うが、
「お前が言っても誰が信じるか。」
「最低同士お似合いだ。」
と、誰も俺の言葉を信じてくれなかった。
そんな時、
彼女にクラス全員が目を向ける。
彼女も黒板の文字を読み状況を理解したのか踵を返し、教室を出て行った。
彼女を追ったが見つけることは出来なかった。
そして、この事件の原因であろう一人の女を屋上に呼び出した。
「少し考えさせてくれと言ったはずだが?」
「何のことかしら。」
俺が問い詰めると、
「あんただろ。あの情報流したの。」
「どうしてあたしなのよ。証拠はあるの?」
「こんなことするのはお前しかいないだろ。」
「それじゃあ、証拠にはならないわね。話はそれだけ?」
何を言っても、自分ではないととぼける彼女にだんだん腹が立ってきた俺は右の手の拳に力を込めて、彼女に向けて放とうとする。
その刹那屋上の扉が開かれる。
「暴力しちゃダメ!」
その声の主は
彼女の姿を見た
「お前、どこ行ってたんだよ。探したんだぞ。」
「ごめんごめん。でも、殴っちゃダメだよ。次は退学なんでしょ。」
「ああ、ありがとな。」
「感謝するのは私の方だよ。」
彼女はそう言って俺の方に近づき、優しく抱きしめる。
「私はね、学校には大学に行くための勉強をしに来てるだけなの。でも、私は要領が悪くて勉強もできない。学校に行く意味がないと悩んでいた時にこれだよ。せめて友達とは仲良くしようと思って常に笑顔でいるように心がけてるんだけどね。私はホント、何にもできないね。こんな私のために怒ってくれてありがとね。私は、もう大丈夫だから。」
頭を撫でられながらそう言われる。
彼女は俺に悩みを打ち明けてくれた。
その言葉は、少し震えているように感じたが、顔は見えなかったので、分からなかった。俺は何とかしてやりたいと思った。
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