第3話 新しい案と発見
それから何日か経ち尾行を再開したが、何も出てこず辞めようと思っていた時、
再びカーストトップの
「どうだ?何か
「いや、まだ。一回バレかけて尾行辞めてたから何も掴めてない。」
「そんなことだろうと思った。そんなお前にいい話がある。」
「いい話?」
「あいつのデマ情報を持ってきた。こいつを流せば10万やるよ。
これであいつも退学確定だろうな。」
そう言って彼女が渡してきた紙に書かれていたのはとんでもないことだった。
『
「どうだ?」
そう聞かれたとき俺は
困った人を助ける彼女、本を読んで微笑む彼女。
「……すこし、考えさせてくれ。」
そう言って俺はその場を後にした。
部屋を出ると、背後から声を掛けられる。
「いいよ、そのデマ。流しても。」
振り返るとそこには
「お前、聞いてたのか。」
「うん、たまたま通りかかったら私の名前が聞こえてきてね。」
「流していいって、お前退学になるぞ。いいのかよ。」
「いいのよ。私は別に行きたくて学校に通っているわけではないから。誰かが私の退学を望むならそうするよ。こんなことも慣れてるし。」
彼女はまた作りもののような笑顔をして帰って行った。
♦♦♦♦♦
あんなことがあったにもかかわらず翌日、彼女は学校へ来たが机に開いた教科書を睨んで少し悩んでいる様子だった。覗き込んでみるとそれは数学の問題だった。
「そこはこの公式を使うんだよ。」
俺が後ろからそう声を掛けると、彼女は僕の方を向いて
「ありがとう。君、賢いんだね。いろんな噂聞くから、馬鹿なのかと思った。」
「ひどいな。学生の本分は勉強だろ。」
「そうだね。」
彼女はまたいつもの笑顔で笑った。
「ついでにここも分からないんだけど教えてくれない?」
そう言われて俺は彼女の隣に自分の椅子を持っていき勉強を教えた。
「勉強する君、なんかかっこよく見えるね。」
「え?」
彼女がそんなことを言って来て彼女の方に顔を向けると、思ったよりも彼女との距離が近かったのか、しばらく目が合い見つめあう。
俺は恥ずかしくて咄嗟に目をそらした。
何度か深呼吸をし、心を落ち着かせてもう一度彼女の方に目を向けると彼女は何事もなかったかのようにさっき教えた問題を解いていた。
恥ずかしがった俺がバカみたいじゃないか。
その時、授業開始の鐘が鳴り響き俺は椅子を戻し席に戻った。
その光景を遠目から見ていた
それからは何事もなく1日が過ぎた。
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