第24話 玄武の番契約
「何を言ってる?玄武、悪い冗談はよせ」
白虎が玄武に対してぐるると
「冗談ではありませんよ。皇子は
青龍は唖然としたまま顔面蒼白になった。
「う、嘘だろ?何かの冗談では……?」
力なく青龍が呟いた。僕もそう思ったよ。玄武って何考えてるかわかんないところがあるもの。
「皇子はそれでいいのか?」
「はい。おれは居場所を探していたのです。前を向いて生きていける場所を」
あ。以前と違う。皇子から迷いや恐れがなくなっている?前から綺麗な人だとは思っていたが
「その場所が玄武の元であったというのか?」
眉間に皺を寄せた
「私は最初から
あちやー。玄武、今のは青龍にはそれらがなかったって聞こえるよ。
「ありがとう玄武」
皇子が苦笑してみせた。やはり、この人も選ばれたリンだったんだ。僕とは違う空気感がある。
「……無理やりではないのだな?」
青龍がいまだに信じられないといった風に玄武を睨みつける。
「青龍っ。それは聞き捨てなりませんね。この私が四神の
部屋の温度が一気に下がった。玄武から冷気が発せられている。いつもの張り付いたような笑顔じゃない。本気で怒っているのか?玄武らしくない。
「それは違うよ。青龍はおれを心配してくれてるんだね。その気持ちは感謝している。だけど合意の上なんだ。無理やりではないよ」
皇子がまっすぐに青龍を見つめて答えた。
「ほんとう……なんだな?」
「ああ。青龍にはいろいろ世話になったのに報告が遅れてすまなかった」
「そうか……ならばもう何も言うまい」
青龍が目を伏せた。皇子の手が震えている。その手を玄武が掴む。
「……
「大丈夫だ。玄武」
「気になるだろうが、
白虎が話を変えてくれてよかった。
「僕、皇子と向こうでお茶を飲んでるよ。五神でしか話せない事もあるでしょう?」
何か言いたそうな青龍たちをよそに僕は部屋の隅に椅子を動かし皇子と共に座った。ここなら彼らから姿は見えるし大声を出さない限りは話声も気にならない。今は大丈夫だが、仮にも
◇◆◇
「さて、そろそろ僕には本当のことを言ってくれるかな?」
小声で皇子に話しかける。
「やはり貴方には気づかれてましたか」
「うん。なんとなく。だって玄武を愛してるって言うんじゃないんでしょ?」
「そうですね。おれ達は利害関係が一致してるんです。だから番契約をした」
「契約?なあにそれ?」
「ええ。
「でも貴方は青龍にも
「……ええ。惹かれていました。手放されたらどうしようと思うぐらいに。だけど、彼はおれ自身を見てくれようとはしなかった。彼にとってはおれは
そうか。青龍がしたことは全部裏目にでていたのか。青龍が守ろうとするほどに皇子は不安になり
「ねえ、
「玄武は最初からおれを
「玄武が?寂しがり屋さんなの?」
「しぃっ。内緒ですよ」
微笑む皇子をみて。この人は吹っ切れたんだなって思った。この短期間に何があったのかはわからない。だけど、
「玄武からは無理に自分を愛さなくてもいいと言われました。ただずっと側にいてくれればいいのだと。たとえ青龍の事を気にしていたとしてもそういうおれ事すべてを包み込んで護ってやると。まったくもってズルい奴ですよ」
本当にそうだ。僕もそんなふうにいわれたらぐらっとくるかもしれない。
「玄武は長寿の象徴だけど朱雀のように不死でないらしいです。
「そうだったのか」
いやあ、それだけじゃないだろう。皇子は騙されてないのかな?玄武ってそんなに弱いようには見えないけどな。皇子の前では違うのか?傍から見たら青龍の手元にある
「ぷっ。はは。
「え?そ、そう?」
「おれが玄武に騙されてるって顔になってますよ」
「違うの?」
「あはは。少しは当たってるかもね。くくく。でも、それでもいいかと思ったのさ」
皇子の口調が砕けた。そのほうが話しやすいからいいな。
「わかってて
「まあね」
え~?ぜんぜんわかんない。なんで?
「ふふ。大人の駆け引きってやつだよ。
なんだか僕とは違う。ああ、そうかこの感じ……。
「……皇子……ううん。
「
「うん。笑顔がなんか大人びてると言うか
「あはははっ」
凛が笑い転げた。
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