第22話 唯一無二
あれから僕は
ただ、昼間の数時間は
朱雀は今、南方の朱雀殿で眠りについてるらしい。
「リン。
「白虎。これは僕が口出ししてもいいのかな?」
「もちろん。お前と
「そうか、そういうもんなのか。親友がそういうなら、すぐに言うし相談に乗ってもらうよ」
「……親友か」
「そうだよ。白虎は僕の大事な親友だ」
「お前って、ズルいよなあ」
「え~? なんで?」
「そんなこと言われたら俺はお前から離れられねえじゃねえか」
「あのさ、今は確かに白虎に助けられてばかりだけどさ、そのうち僕が白虎を助けるから」
「お前みたいに弱っちいのに俺が助けられるのかぁ?」
「ふふふ。そうだよ。僕は大事な親友のためにひと肌ぬぐのさ」
「ひと肌ぬぐって? どういう意味だ?」
「それはまだまだ先のお話になりそうだよ」
「なんだそれ??」
「ふふふ。楽しみにしておいてね」
「なんだかわんねえがお前が楽しそうならそれでいいや」
「白虎。リンの相手をありがとう。では交代しようか」
「ちぇっ。なんだよ。すぐに追い返さなくってもいいじゃねえか」
白虎が苛ついた声で
「まぁ……そうだね、今日は南方の菓子をもらったから食べて行くがいいよ」
手慣れた仕草で
「美味しいっ。すごい!
「おや、ありがとう。ふふ。さあ、甘味もあるよ。お食べ」
「胡麻だんごだ! 僕、甘いものが好き。白虎も食べようよ」
香ばしい胡麻の香りと中から出てくる餡に思わず口元が緩む。甘いものは脳の働きをよくすると言われてるし、考えるためには食事をとらないとね。あぁ、甘いものって最高だなぁ。
「白虎、イライラするのはお腹が減ってるせいかもよ」
「俺は人と違って腹は減らな……」
言い終わる前に白虎の口に団子を突っ込むとモグモグと黙って食べだした。
「美味しいよね。ふふふ」
僕が笑うと
「リンの笑顔には勝てねえな。美味そうによく食べる」
「そうですね。白虎、さきほどはすみません。いつもリンを守ってくれてありがとう」
今度は
「……べつに。いいけどさ」
白虎も照れくさそうに返事をする。元々この二人仲は良いいんだな。
その後は
南方は熱い国らしい。太陽が降り注ぐ、活気の溢れる国らしい。
「ただ、日照りが目立ってきている。雨を降らした方がいいかもしれない」
「雨って青龍?」
「おや、リンは意外と博識だね? そうだね、水流を自在に操れるのは青龍だね」
「だが、あいつは今使いモノにはならねえだろうから玄武に頼んでみるか?」
「青龍が使いモノにならねえってどういうこと?」
「あ~、リンは皇子が玄武の元に行ったことを知らなかったのか?」
「え? どういうことなのさ?」
「私も詳しい事はよく知らないのだが、今皇子は青龍の手を離れている」
「まあつまり、青龍がまぬけだったということかな?」
「へ? えっと、青龍はフラれたってこと?」
「おそらく……そうなのかな?」
「そこまでは俺もしらねえが……とにかく青龍が落ち込んでる事は確かだ」
「そうか。それでしばらく青龍を見かけなかったんだね」
「ねえ、それって僕がなんか関係している?」
「リンが気に病むことは何もないよ」
「そうだ。お前が気にする事などなにもねえぞ」
「……わかった。二人が言うならそういうことにしておくよ」
「おそらく近いうちにリンは完全に
いや、これこそが
「そうか。お前も霊獣になるのか……」
「そうなのかな? 僕自身はよくわかんないけど」
「ふふ。そこが四神たちのリンと違うところだよ。君は御霊なんだよ」
「やはり
「そうだね。限りなくヒトに近い
「じゃあ、質問を変えるが、もしリンがお前を選ばず、俺を選んでいたら、その、
「いいや、 その時はもう
「…………っ」
「
「さあ、どうだろうね」
「……それだけの覚悟は決めていたってことか」
「
「
白虎が遠くを見つめた。
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