第7話 私に手紙が来た。
アウラ帝国。アウラ帝国もラウルたちは人間の作った国だと認識していた。しかしながら、帝都アウラのミッドガル城の玉座にはラウルと同じプラチナの髪、ロングストレートで腰まである長い髪。ラウルと同じ全体的に赤い目。肌は黒く、赤いイブニングドレスを着ている。背中には黒いマントを羽織るは、女神アウラその人である。金のティアラを侍従から受け取り、身につける。
「
「それはそうだけど・・・国作りそのものは反対じゃ無いし。そうねぇ、でも、兄さまの妻とは何か、勝負してみたいよねぇ。ねえ、ニル。
私?私はマリー・アカノイア。もう聞き飽きたかも知れないけど、今日も聞いてね。お願い。アウラ帝国から旦那様宛に白い鳩と一緒に手紙が来たの。(ラウルは白い鳩が手紙そのものだって、分からない事を言っていたけど)差出人はラウルの妹さんたち。皇帝をやっているのが、アウラさん本人だったみたいで。それとニルヴァーナさんも帝国で暮らしているみたいなの。手紙にはラウルの国作りは手伝うし、すでに何ヶ所か、霊子によって作り変えているって書いてあった。で、問題なのは、私、マリーと戦いたいって書いてあるの。
後日、決戦の場所を示された手紙が来る。やっぱり鳩の姿をして。場所はキリサル平原。アウラ帝国の帝都へ通じる玄関口のような場所だ。帝国民を集めて、観戦させると書いてある。決戦の日取りは三週間後。私は模擬戦を繰り返していく。ラウルとの模擬戦はラウルが勝たせてくれるので、私は今、一番成長しているカーラを呼び出した。覚えていないかもしれないが、赤髪のカーラだ。しかし、今は金に輝く髪をしている。カーラも光と時の大精霊・・・つまり、アウラ様を信仰する事で(話を聞くと直接会ったそうだ)覚醒したと言うか、目覚めてしまったようだ。マーメイドドレスは以前と同じ赤い色のものを着ている。カーラは何気に私よりも背丈が高い。ヒルズの北門の前で、私たちは向き合って、剣を構えている。カーラの瞳は黄土色のままだ。先手はカーラ。地面を液状化させて、私を動けないようにする気だ。私は目を閉じて、赤黒い片手剣を柄より下は右手で持ち、剣先を左手で支えて、肩よりも上にあげる。カーラは地面を固めて来た。さらに時間停止。斬りかかって来る。左上段からの振り下ろし。袈裟斬りだ。時魔法はすでに発動している。私自身も。身代わりの魔術式。カーラとの組手ではよく使っている手だ。土で固められた属性を利用して、全身を土人形にしてしまう。本体は別に移動させる。例えばカーラの後ろ側とか。きっとカーラはそこまで読んでいる。ほら、袈裟斬りと見せかけた回転斬り。ほらね、さすがカーラだわ。でもね、それは私も読んでいるの。だから屈んで、前へ出る。私の片手剣をカーラの腹部で寸止めする。「初手は私の勝ちね」と、私はカーラを見る。「まだまだー」と、カーラは後ろへ飛び去り、土の弾丸を飛ばして来る。カーラが右へ来る。うん?まだカーラは動いていない。土の弾丸は目眩しのつもりなのかも。風。水の防護膜を体に薄く張り、風を使用する。音速を超えて、カーラの後ろへ回る。土の弾丸はちゃんと私の後ろへ追尾されている。右へのアクションと殺意が偽物で、こっちが本命???後ろへ回ったはずなのに。カーラはさらに土の弾丸、ストーンバレットを放って来る。前と後ろから。挟撃???どう言うこと???前後からもろに直撃を喰らう。「ふふん。油断したわね、マリー」と、カーラは言う。私は折れた肋骨、腕、足などがラウルの支配の力で回復するのを待つ。「ええ、そうね。本命を読み間違えたみたい。次は私が貰うわよ」と、私は姿を消す。
カーラは私を探している。気配を消しているのだから、ホントに消えたように見えるだろう。「全方位ストーンバレット!」と、カーラは手当たり次第攻撃して来た。たくさんのストーンバレット。土の弾丸。これだけの数だ。どれか当たるはずだ。または空間に歪みが見えるはずだ。気配に変化が起きるはずだ。きっとカーラはそう思っている。氣を使い出してから出来るようになった。姿を消すというよりは、”溶ける”そう表現した方がいいかもしれない。空気、大地、風、森、炎なら炎。それ、そのものになる。溶け込む。四賢者の時よりもさらに進化したように思える。
「ひっ。ど、どこにいるのよ!出て来なさいよぉ」カーラは頭を抱える。しゃがみ込んで泣き始める。そんなカーラの首筋にそっと赤黒い片手剣を当てる。”私”が現れる。「きゃっ。」と、カーラは尻もちをつく。「ふふ、ごめんね、カーラ。この技は使わないでおくから」と、私はカーラの頭を撫でる。肩まである金に輝く髪、黄土色の瞳で睨んでくる。頬を膨らませ、ご機嫌斜めだ。
「もう。約束だからね」と、カーラは目を瞑り、顔を背ける。
「うん。約束」私たちはそれから二度、三度と繰り返し戦い、大地に寝転がった。
「ねえ、カーラ。大陸の統一を賭けて戦うところまで来たよ」
「そうねぇ。マリーならできるんじゃない。それよりもラーメン食べたーい」
「あはは、カーラらしいね。うん、食べに行こ」と、私たちは大地に寝転がったまま笑いあった。それから起き上がり、北門に向かって歩き出す。
三週間はあっと言う間に経った。私はキリサル平原に立っている。星々の輝くマーメイドドレスを着て、金に輝く髪は後ろでくくっている。私の後ろにはみんながいる。カーラにラウルに、ガーゴイルのズルバンさんたちも。目を瞑って、戦いの合図である太鼓が鳴るのを待っている。
初戦は私対、アウラ様たちの育てた精鋭戦士百名。
遠距離魔法、リヴァイアサンの召喚禁止。何気に禁止事項増えてますけど。
まあ、それぐらいのハンデはいいよね。太鼓が鳴る。さあ、始めましょ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます