第4.5話 後日談

 プラチナに輝く髪、全体的に赤い目、茶色のローブを着て、ヒルズの街の領主の館にラウルは来ていた。玄関から入る。「ま、魔王」と、いきなり斬りかかってくる傭兵たち。右からの剣戟を右手で破壊し、左からの剣戟は左手で壊す。剣を折られた傭兵二人は唖然としている。ところに、鳩尾みぞおちのボディブロー。体をくの字に曲げて床に転がる二人の傭兵。ラウルは興味も無さげに奥へ進む。今歩いているのは狭い通路だ。後ろと前から二人ずつ傭兵が現れる。現れた瞬間に傭兵は石となって、砂になって行く。傭兵たちの足元にオボロへの転移魔法陣が起動する。「心配せずともあっちで治してやるよ」と、ラウルは狭い通路を歩く。「探知」と、短く呟く。残った傭兵、転がった傭兵と近衛兵を樹木属性で動きを縛る。「転移」それだけでオボロへの転移魔法陣は発動する。傭兵たちは光の粒となって、消えていった。

「ズルバン、いるか」「はい、魔王様」と、クチバシのあるガーゴイルはラウルの後ろに現れる。「今日からお前がここの領主をやれ。嫌かもしれねぇが、人化の仮面を貸してやる。王国へ報告しろ。ここヒルズは変わらず王国の土地だと」「お安い御用です。魔王様に助けていただいた恩に比べれば何とやらです」と、ズルバンは頭を下げる。「すまないな、護衛にはあの三人組でも付けてやる。そこそこ強くなったんだろ?王国の兵、または賢者相手なら余裕だよな」「ええ、そりゃもちろん。お任せ下せえ。しかし、魔王様。相手も馬鹿じゃありやせん。バレた時はどうすれば?」

ラウルは顎に手を当てて、天井を見上げる。「そん時はマリーとオレがここに戻る。そうだな、四賢者が全員で攻めてくるような事があるならな」「わかりやした。万事筒がなく。領主をさせていただきやす。」「食料の配布と教育機関をまず作れ」「へい、そうですねぇ。ここは滅び行く街でしたからねぇ。えーっと足りない資材はそっちに連絡しても?」「あーめんどくせえけど、食料と資材はある程度置いて行ってやる。それを住民たちと一緒に組み立てろ、いいな」「わかりやした。ではそのように。お任せくだせえ」「ああ、任せる」と、ラウルはそれだけ言うと転移魔法陣でオボロへ帰還した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る