ちょっと怖い話「護摩焚き」
轟 朝陽
第1話
先日、友人のおばあちゃんが亡くなった。
愛犬と一緒に居なくなり、近所のみんなが総出で探したところ、川の中で発見された。
その後、友人の家では良くない事が起きているようであった。
余りにもヤバそうだということで、お祓いをすることになった。
そのお祓いというものが、いわゆる「護摩焚き」だった。
お寺で護摩壇を設け、護摩木を焚いているのをテレビで見たことがある人もいると思うが、まさにアレである。
仏壇の前に護摩壇を設け、護摩木を焚いて災難を除くというのだ。
このお祓いは、よっぽどヤバい時にしか行わないらしい。
僕は、なぜかそのお祓いに立ち会うことになったのだ。
そして、お祓いが始まった。
護摩木が積み上がっていくたびに炎が高く舞い上がり、天井まで届きそうな勢いだった。
「息が苦しくなったら、畳に顔を近づけて息をしてください。酸素は下の方に溜まりますから・・・」
お坊さんはそう言って護摩を焚き続けた。
どれぐらい経っただろうか?部屋の中が煙たくなり、僕は畳に顔を近づけて酸素を体内に取り込もうとした。
するとどうした事だろうか、やけに眠たくなって来たのである。
「なんでこんなに眠いんだ!」
と思いつつ、何となくこのまま眠ってしまったらヤバい気がして、必死に睡魔に抗った。
意識を持っていかれないように、ゆっくりと呼吸を繰り返し、頭の中のモヤを消そうと必死だった。
どれぐらい経っただろうか、さっきまでの眠気が嘘のように消えてしまったのだ。
それからしばらくして、無事に護摩焚きが終了した。
護摩を焚いている間に睡魔に襲われたのは僕だけだったのだろうか?
結局、この事について誰にも聞くことはなかった。
もし、あの時、睡魔に抗えずに眠ってしまっていたなら、映画「エクソシスト」のように体を悪霊に乗っ取られていたのではないか。
そう考えると、僕の体に悪寒が走った。
ちょっと怖い話「護摩焚き」 轟 朝陽 @oasi-ikawodak
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