第3話 ステータスに感動す
ゴクッゴクッゴクッ
ぷはっ
「おぇ~、マッズ!」
「タケル様、お店の方の前でそんな言葉言ってはいけませんよ。」
「あっ……」
僕はケイにそう言われ店主の方にゆっくりと顔を向けると、店主は顔をしかめて僕の方を真っ直ぐ見て来た。
と思ったら、いきなり大声をあげてワハハと笑い始めた。
その光景に困惑していると、店主は笑いつかれたのか1つ大きく深呼吸をしてから口を開いた。
「おめぇ、面白れぇやつだな」
「へ?」
「店に飛び込んできて開口一番、解毒ポーション頂戴!出世払いで!って」
「すみません。お金は本当にお支払するので……」
「代金は要らねぇよ。久しぶりに面白れぇ奴と出会えたからな。俺はエンニオ・ミドル。ここの店主をやってる。ミドルと呼んでくれ」
「は、原田健です」
「タケルかー。これからよろしくな」
「は、はい。よろしくお願いします。お金本当にいいんですか?」
「いいってことよ」
「ありがとうございます。それじゃあ僕はこれで」
そう言って僕は店を後にしようとしたとき、ケイが話しかけて来た。
「タケル様、どこに帰るおつもりですか?タケル様は今、家も一文も無しですよ」
「あ…………そうだった」
「どった?タケル。帰らねぇのか?」
僕が店を出ることなく立ち止まっていることに気付き、ミドルが声を掛けて来た。
「あ、えぇーと。ポーションついでにもう1つお願いしてもよろしいでしょうか」
「もちろん。どうした?」
「あの~僕、帰る家がなくてですね。……一日だけ泊まらせてもらえないかな~と」
僕がそう言うと、ミドルはまた大きな口を開けてガハハハと笑い、「泊まってけ」と快く了承してくれた。
本当にミドル様様だなと思った。
♦♦♦♦♦
翌日。
「ミドルさん、優しい方でよかったですね」
「うん。ベッドも寝心地良かったし、それに朝ご飯まで頂いちゃったね。いつかこの恩を返さないとな~」
「そうですね。タケル様、今日は朝から外に来ましたが何をするんでしょう」
「とりあえず、町散策を兼ねてお金の稼ぎ方と価値を知ろうと思ってね」
「稼ぎ方と価値、ですか」
「昨日お金の大切さは痛いほど感じたからね。ミドルにもお金は返したいし」
「流石タケル様です」
でも本当に親には感謝しなきゃいけないな。
これまでお金なんて全く気にしたことなかったし、母さんも父さんも頑張ってくれていたんだな。
親孝行全くできなかったのが後悔だ。
「では、冒険者ギルドに行くことをお勧めしますよ」
「冒険者ギルドか。昨日言ってた冒険者になって稼ぐ奴か」
「はい」
「でも、僕は冒険者なんかになれるポテンシャルなんかあるのかな……」
「冒険者は誰でもなれますよ。それにタケル様のステータスを見ると、冒険者向きのようですし」
「すてーたす?」
「そう言えば、タケル様はまだご自身で確認していませんでしたね。ステータスと念じていただくと目の前に自分のステータスが表示されますよ」
「そうなの!?何その異世界っぽいやつ。早く教えてよ!」
ケイにそう言われ僕はワクワクでステータスと念じてみると、目の前にデジタルチックな表示で自分のステータスが表示された。
――――――――――
ハラダ・タケル
17歳 男
攻撃力 0182
防御力 0135
魔力 0007
知能 0190
敏捷 0199
スキル (上級鑑定(ケイ))
――――――――――
「すっげ~」
こんなものが前の世界に有ったらもっと有意義になったかもしれないな。
そんなことを思いながら1つ1つ表示された自分のステータスを確認する。
攻撃力に防御力、知能に敏捷は数値を見た感じ大体平均値と言ったところだろう。
「魔力、なな!?」
元々魔法は使わない生活を送っていたとはいえ、7て。
本田○佑さんもビックリだ。
これじゃなんも出来んじゃないか。
「ステータスってあげられるのか?」
「はい。魔物を討伐することにより上げられますよ。心配しなくてもタケル様は魔法は使えるようになります」
「ほんとか?!夢だったんだよ魔法使うの。ていうか、ケイって上級鑑定って書いてあるけどそうなのか?」
「そうですね。一応鑑定が主な仕事ですね。()で囲まれているのは他人からは見られないようにするためですね」
「へ〜。」
さっきまでステータスに夢中になっていて気づかなかったけど、僕のそばを通る人がこっちを変な人を見る目で見てきていた。
「てか、なんか人の目が凄い気になるんだけど」
「そりゃあ、一人でブツブツと話している人が居たら誰でも変な目で見ますよ。私の声はタケル様にしか聞こえないんですし。それが嫌でしたら、口に出さずとも頭の中だけで会話できますよ」
「そういう事は早く言え!」
僕は少しこの通りにはいたたまれなくなったため、足早に違う通りに向かった。
※ここから先は脳内会話は()で表します
(それで、冒険者ギルドはどこにあるんだ?)
(右手に見えてますよ)
そう言われ右を見るとそこには、横に長い二階建ての建物があった。
その幅はいい例えが出てこないがちょっと都会かなって言う駅の横幅くらいだ。多分。
田舎人が初めて都会に来た時のような反応をしながら僕は冒険者ギルドの扉を開いた。
「でっけ〜し、ひろーい」
道を作るように並べられたテーブルには何人もの冒険者らしき人達が賑やかに会話している。
その先には受付らしき場所がズラっと並んで壁には何枚もの張り紙がされている。
そんなふうに呆気に取られ、さらに高揚してきた僕はテーブルに陣取る者たちがの視線が僕の方にチラチラと向いてきていることに気が付かなかった。
(よし、記念すべき冒険者への第1歩だ)
そう思って僕は右足をギルド内へと踏み出そうとした――その時
「邪魔だ」
「うわっ」
背後からの野太い声と衝撃に僕の冒険者への1歩目は顔面になってしまった。
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読んでいだだきありがとうございます!
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