23-セラフィの能力
胸を張っているセラフィを手に載せたまま、表示したステータスを確認していく。
【ペット名:セラフィ 性別:♀
種族:
状態:やる気満々
パラメータ(戦闘ステータスなし)
HP:500 INT:50/100 AGI:67/100
APP:62/100 CH:71/100 LUK:77/100
スキル:魂魄剥離〈一時的に魂を体から切り離す/常人には視認不可〉、浄化
カスタムスキル枠:無し
進化段階:1/2】
セラフィが言っていたのはこのスキルだろうかと思いつつ、内容を確認しながら顎に手を添える。
体はヴィオラと一緒にいればいいと言うのは、今回作戦範囲外からのサポートを目的としている場所に居るだからだろう。
戦闘には参加出来ないが、サポート方面で優秀なスキルが出やすいと言われる意味が何となくわかる。
「…本当にセラフィは、危ない思いをしないのか?」
『ちょっと、パパ!?』
『うん、魂の状態のボクを見つけられる人間はママを除くとそうそう居ない筈。魂に関連する特殊な能力持ちじゃなければまず無理』
俺がセラフィを視認出来るのは主だからこその特権という事を暗に示され、ただの伝令役として傍に居るのであれば危険は無いのかもしれない。
逆に留守番をさせて一人で勝手に行動をされる方が確かにマズイ気がする。
というよりも、こんな能力があるということは隠れて着いてくる事なんて容易いだろう。
「分かった、セラフィもつれて行く。だが…絶対にヴィオラから離れないこと」
『!!…わかった!』
『若、流石に連れていくには幼過ぎるでござるよ!』
「んー、そうなんだが…それを言ったら白銀と黒鉄も初日で戦闘に加わったしな。納得はいかないかもしれないが、逆に置いていく事で知らない所で危険に晒されるよりは一緒に行動していた方がいいと思わないか?」
『ぐぬぅ…確かに…』
『マオ兄様、黒兄様!セラちゃんはわたしがちゃんと見ておりますの!』
『むー、それが一番不安ー』
『ドジっ狐でござるからな…』
『少しは信用して欲しいですの!!
「マオ、黒鉄。ヴィオラは確かに少し抜けている所はあるが、いざと言う時はしっかりやる子だから大丈夫だよ」
ヴィオラの怒った声を聞きながら、不満気なマオと黒鉄の額を軽くつついてから諭すように告げると、渋々という感じで頷くとセラフィの傍に行きやってはならない事を話し始めている。
大人しくしていた白銀が腕に巻き付いてくれば、どうしたと声を掛けると複雑な心境を語ってくる。
『んー、なんや…ちいさな兄さんも黒もセラフィの事となると、なんや激しいなと思ってな』
「そうだな…自分達よりも体が小さいからこそ、守らなきゃと思ってるのかもしれない」
『その気持ちは分からんでもないけど、普段から雑な扱いをされとる姉の身としてはちょっと複雑っちゅうかなんちゅうか…わての事ももうちょい気遣ってくれてもえぇんとちゃうか!?』
『うーん、白姉様は…なんというか、弄りやすいというか…弄らないと負けみたいな気になるというか…複雑な所なんですの』
『何を本能がわてを弄れと言ってくるみたいに言うてんねん!』
「弄りたくなるのは分かる」
『旦那はんがいっちゃんわてを弄っとるもんな!』
憤慨しながら顔を背ける白銀の機嫌を取るように優しく頭を撫でつつ、今日の夕飯はブルルンステーキにすると言えば目を輝かせて俺を見るのでチョロイなと思ってしまう。
時計を見ればいい時間でもあるので夕飯を食べてからヴィオラと一緒に紙の作成作業に入ろうと思いつつ、全員を引き連れて再度庭で調理をしようとベッドから腰を上げ部屋の扉の前まで歩く。
ドアノブに手を掛けた所で外に人の気配がする事に気付き僅かに目を細める。
部屋の前で右往左往している気配に気付かれぬようにゆっくりとドアノブを回すと、一呼吸おいてから勢い良く扉を開ければ何かがぶつかる音と共に何者かが尻餅をついたのが見える。
「誰だっ!」
「いっつつつ…ライアさん酷い…」
「ん?お前は、ジェス?」
「正解っす!市を閉め終えたんで今後の計画に関して少し詰めたいからと団長に呼んでくるよう頼まれたんです」
「そうか。すまない、ずっと外でウロウロしてたから不審者かと思ってな」
「扉越しに俺の気配が分かったんですか!?凄いっすねー!普段から気配を出そうと意識してないと誰にも気付いて貰えないのに」
面白い人を見つけたと言わんばかりに食い気味に話し掛けてくるジェスに俺の方が驚くものの、先程の言葉からやはり彼自身が気配を消す事を得意としているようだ。
意識しないと気付いて貰えないレベルとなると、小さな頃から訓練を受けていた可能性がある。
「あー、呼びに来てくれたのに悪いんだが、これから夕食を作ろうと思っててな。それが済んでからでも構わないか?」
「全然問題ないっすよ!団長に伝えときますね」
「いや、ちょっと待て。お前達はもう食事を摂ったのか?」
「まだですけど、どうしました?」
「ん?料理の腕を上げたくてな。良ければ俺が飯を作ると提案しようかなと」
「速攻伝えてくるんで待っててもらっていいっすか?食材もこっちで用意するんで!!ひゃっほぉぉぉう!」
「そんなに喜ぶことか?」
『旦那はんの飯食うてヤミつきにならん奴はおらんて。最近、猫の遊び場の料理の味思い出せへんもん』
『パパの料理は最高だし当たり前だよねー』
『今日のご飯も楽しみですのー!』
『食材代が浮きもうしたな!』
『ご飯、ご飯っ』
大量の食事を作る事に既に慣れつつあるので料理の熟練度上げに提案すれば、雄叫びを上げながら走っていくジェスの後ろ姿を見送る。
マオ達が俺が作る飯の美味さを頷きながら話しているのを聞きつつ、取り敢えずはいつでも行けるように階下に降りて待つことにするのだった。
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