17-賑やかな食事

多少腕は痛くなったが全員分のペペロンチーノを皿へと盛れば、自分の分だけ一旦インベントリにしまうとテーブルの上に配膳する。

ニンニクの香りに神威とポスカが喉を鳴らしているのを見て、冷める前に先に食べるよう促しつつマオ達にも同じように言う。


「おかわりもあるから言ってくれ」


「「『『『『『はーい』』』』』」」


「なんか、子供たちを世話してる気分になるな」


おかわり用に避けておいた分のペペロンチーノを大きめのボウルに入れてから直ぐにインベントリにしまい、油物の後に口の中がサッパリするように青じそドレッシングで美味しくいただけるように海藻サラダを用意する。

ふと食べている様子を確認すれば、マオがお兄ちゃんらしさを見せるというようにフォークに少しずつ巻き取りながらペペロンチーノをセラフィの口元に差し出し、白銀と黒鉄は折角出来た歯でよく噛んで食べている。

ヴィオラは上品に食べようと心掛けているが口の周りを油でベタベタにしていた。


「うまっ…」


「はぁぁ、やっぱりライアさんのご飯は美味しい…」


「はい、こっちは青じそドレッシングを掛けた海藻入りサラダな。多分口の中がサッパリするはずだ」


『旦那はん!これ美味い!』


『ママ、美味しい』


『パパの作る料理なんでも美味しいねー!』


『ゔぃお、口の周りについてるでござるよ』


『これでも上品に食べようと思ったつもりなんですの!とと様の料理は美味しいからつい夢中になってしまいますの…』


全員分の海藻サラダを配膳してからコンソメスープの出来を確認すると、ベーコンから出た塩味と野菜の自然な甘さが良く染み出ているいい味になっているので一旦火を止める。

全員の腹が満たされていなければ最後の〆にスープを出そうと思いつつ、冷める工程で更に味が染みていく筈なのでしばらく放置しておいて問題ないなと思いテーブルの方へ合流する。

待ってましたと言わんばかりに神威とポスカが空になった皿をアピールしてくるのでボウルを取り出し、ペペロンチーノを盛れば嬉しそうにまた食べ始める。


「一応、スープも用意したから食べ終わったら言ってくれ」


「スープ!早くパスタ食べちゃいますね」


「オレもすぐ食べるわ」


「いや、ゆっくり食え。スープは逃げないから…」


『旦那はーん!スープちょうだーい!』


『某も欲しいでござる』


『黒兄様と白姉様速いですの…』


『セラはゆっくり食べるんだよー?お腹びっくりするからねー?』


『ん…マオ兄ちゃんの言う通りにゆっくり食べる』


スープを所望する白銀と黒鉄を見てヴィオラがボソリと呟くも、セラフィとマオはゆっくりと食事を摂っている。

ポスカと神威は張り合うようにペペロンチーノを頬張っており、噎せそうな勢いなので飲み水をコップに入れて用意してやりながら席を立ってスープをよそいに行く。

鍋の蓋を開ければ湯気と共に香るスープの匂いに目を細めつつ、二つの深皿に中身をよそうと再度蓋を閉めてから白銀と黒鉄の前に配膳すると目を輝かせて食べ始める。

ふと思い出したようにインベントリから黒胡椒の入ったミルを取り出すと、二人が食べていない間に掛けておく。


「スープもいい匂い…」


「早く飲みたい…」


「食べ終わってからしかよそわないからな?いやしかし、作る量が毎回多いからか料理の熟練度が上がりやすくて有難いよ…」


「え、今レベルいくつ?」


「えーっと、料理はレベル7だな」


「は?」


「作るのと食べて貰えた量で熟練度が上がるみたいで気付いたらかなり上がってた」


「……スキルレベル…生産系で一つに搾って励んでる人でもまだ5だって話が出てるけど…。ライアが初じゃない?」


「………ほら、俺の所には大飯喰らいが居るから」


『旦那はーん!ペペなんとかとスープおかわりー!』


「……なるほど」


後で運動するように言い含めながら白銀の前にペペロンチーノのおかわりを置いてから、スープをよそいに席を立とうとすると何やら熱い視線を感じては、ポスカと神威も空になった皿を見せてくるので二人の分のスープも用意する。

今度は予め黒胡椒を掛けてからテーブルに戻り、白銀、神威、ポスカの前に配膳するとスプーンに持ち替え口に入れると小さく息を吐き出す。

暖かいスープを飲むとホッとするよなと思いつつ、いざ座ろうと椅子に腰掛けようとした所で脇腹をつつかれそちらを見ると、ペペロンチーノを食べ終わったマオとセラフィにヴィオラが見上げてくる。


「お前たちの分も持ってくるな」


『パパ、ありがとー!』


『スープ、楽しみ…』


『まだまだお腹に入りますのー!』


「ヴィオラも白銀に似て食いっぷりが良くなってきたな…。二人でダイエットコースもいずれはあるかも?」


中々落ち着いて自分の分を食べれない事に苦笑を浮かべつつ、美味しそうに食べる面々を見ればそれはそれでいいかと思う。

全員に配り終わりやっと落ち着いて食べられる頃には、作ったペペロンチーノが伸びており味は良いのだが食べる量が増えていたので消化するのが大変になるのだった。

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