67-ヘルシー料理
宿屋の主人と交渉し調理場の使用許可を得たライアはインベントリから洗う必要がある野菜を取り出し、ついでに使用する予定の肉などをすぐに出せるように整理しておく。
調理場にある油などは自由に使って良いとも言って貰えたので、どうせなら現実では油の処理など面倒で中々作れない揚げ物関連にしようと思ったがライアは手を止める。
「揚げ物は美味いが…白銀が太り気味なんだよな…。美味そうに食べるから食わせ過ぎた俺も悪いんだけど…」
暫し考え込むと手持ちにある食材を全部再確認しては、トゥルという白い四角い食材を取り出し端を少し崩して味を確認する。
現実の豆腐と同じ味である事が分かれば二丁分の水を切り、ボウルを取り出すとその中に入れて手で崩しながらペースト状にしていく。
「肉より豆腐多めにしたいからこれぐらいか?玉ねぎに似てるのは…えっと、タマオンだっけ?変な名前だよな…。と言うか、もうなんか名前ごっちゃになるから普通に玉ねぎとかでいいか」
一旦手を洗ってからフライパンを火に掛けつつインベントリから玉ねぎを取り出し茶色い部分の皮を剥き、棚からまな板と包丁を取り出しては頭と根の部分を切り落としてから平らな部分から半分に切る。
切った面を下にして細かく切り離さないように包丁を縦に入れ、しっかりと切り離されてるのを確認してから今度は横から包丁を入れる。
玉ねぎのせいで目から涙が出そうになるが一個分のみじん切りが完成すると、フライパンに油を少量入れ中へ投入する。
炒めている間にこの後も使うので包丁を洗うことも忘れない。
「取り敢えず飴色になるまで炒めて…。あ、パン粉…おろし金あるか…?」
棚からヘラを取り出しタマオンを炒めながら棚の引き出しを確認しおろし金がある事に安堵しては、インベントリから棒状のパンを取り出し豆腐の入ったボウルの上で削っていく。
繋ぎになるので少し多めに削り軽く混ぜてから玉ねぎが飴色になっているのを確認すると火を止める。
少し冷ましてからボウルの中に入れるとインベントリからコッコという鳥のひき肉を取りだしボウルの中に入れる。
「調味料関連何も買ってなかったな…。塩胡椒で良いか…。今度ちゃんと用意しておこう」
塩と胡椒でかなりシンプルになってしまうがしっかりと混ぜ合わせて種を作る。
自分の分とマオ達の分、そしてこれから生まれるタマゴの分で5等分に分けると小判型に成形していく。
軽く空気を抜くように真ん中を凹ませてからまな板の上に並べて一息つく。
「……この街、米みたいな食材は貴重なんだよな。丸パンを半分に切ってハンバーガーっぽくすればいいか」
最近パンばかりで米を食べていないなと思いつつ、フライパンに再度火を入れては油を少量入れてから種を中火くらいの火の強さで焼いていく。
その間に洗っておいたトマトをスライスし、レタスの葉を数枚千切る。
この後また使うので再度包丁を洗いつつ、ハンバーグが焼き上がるまで手持ち無沙汰なので小麦粉とバターと砂糖を取り出すと、小さめのボウルに合わせ入れ、手の温度でバターを溶かしながらクッキーの生地を作る。
「………食べさせても3枚くらいだな。ほぼバターだし」
簡単にクッキー生地を作れるのだがそれなりにカロリーは高いのであげ過ぎ厳禁だなと思いつつ、生地が完成しては一旦避けておき膨らんできたハンバーグを引っくり返す。
狐色に焼きあがっている事を確認してから裏面は弱火でゆっくりと火を入れていく。
その間にめん棒を取りだしてクッキー生地を5mm程度に薄く伸ばしては、型抜きがないか探すもそう都合よく入ってはいなかった。
暫し考えた後に竹串ならばあるかと再度棚の中を探せば1本だけあったのでそれを使わせてもらう。
「………なんか、縁日のカタヌキ思い出すな」
星や桜のような形のクッキーを幾つか作ると後は生地をもう一度捏ね、めん棒で四角形になるように伸ばしたあと均等な大きさになるように包丁を入れていく。
最初から四角のみにすればよかったのではと思いつつ、ハンバーグの方が焼き上がれば再度手を洗ってからインベントリから丸パンを取り出す。
棚を確認しパン切り用の刃がギザギザになっている物を見つけ、お借りしますと呟いてから5個分パンズの形になるように横から半分に切る。
「よし、えーっと?トゥルバーガーの完成か?」
野菜を下に敷いてからハンバーグを熱い内に挟みインベントリにしまってから、オーブンの鉄板を取りだしてから予熱を入れる為に操作する。
剥がしやすいように鉄板に薄くバターを塗ってからクッキー生地を敷いて入れるだけにすると洗い物を先に片付ける。
濡れたままで片すのは錆などにも繋がるので水切りをした後に未使用のタオルで拭き上げ元の場所へと戻す。
「ん、このぐらい予熱が入れば大丈夫だろう。後は焦がさないようにするだけだな」
鉄板をオーブンに入れ焼ける様子を見つつ、ふとバーガーにしたはいいがマオ達が持てる大きさではない事に気付きインベントリの中を確認する。
爪楊枝すら見当たらないのでクッキーが焼けたら道具屋に買いに行く事にしつつ、甘い香りがしてくればオーブンの窓越しにいい色に焼きあがってきていた。
「一応火は入ってるから問題ないんだろうが…取り出すタイミングがイマイチ分からん」
頬を掻きつつ呟いては一度オーブンを開け、クッキーを一枚取り出せば熱さに眉間に皺が寄るものの、持った際に崩れたりはしていないので火は通っていると見ていいだろう。
念の為、もう少しだけ放置してから鉄板を取り出し冷ます。
「今の内に買ってきちゃうか…。走ればすぐだろ」
冷ます工程なのでこのまま放置しても人が来ない限りは減ることも無いと判断し、宿屋の主人に声を掛けてから器具関連を扱う道具屋へと走る。
ついでだからと自分が使う調理器具一式と、お弁当用の洗えば再度使えるピックを購入し再び宿屋の調理場に戻る。
そんなに時間を掛けたつもりはないがクッキーが丁度いい温度に冷めているのを確認し、一枚味見をすれば甘過ぎない丁度いいぐらいの甘みが口に広がる。
「クッキーを袋に詰めてインベントリにしまって…。マオ達用にバーガーを小さくしないとな」
宿屋の主人への差し入れ分に数枚分けて袋に詰めては、インベントリからトゥルバーガーを四個取り出し、買ってきた包丁を使って6等分にすると一つ一つ食べさせやすい様にピックを刺してから再度インベントリにしまう。
使い終えた場所を綺麗に掃除してからカウンターの方に向かって歩く。
宿帳を書いている主人に声を掛け焼き立てのクッキーを差し入れると礼を述べてからマオ達の居る部屋へと戻るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます