23-通知チェック
昨日の夜はミランダが居なかったからかラルクは意外にも大人しくアランと楽しそうに会話をしていた。
ミュラも最初はラルクを警戒していたがマオも傍に居たからかあまり緊張せずに食事を楽しめていたと思う。
宿屋でログアウトしてから色々な事があったなと思いつつ現実の事も疎かにする訳にはいかないので雷亜は家事をしていた。
まだ確認していない事と言えばアルマの店で届いた通知なのだが怖くて見たくない気もする。
しかし、最近ステータスの方も見ていないのでそろそろチェックはしておかないといけない。
「今日は宿屋に居る間に通知の内容とステータスをチェックしておくか…。ミュラが出掛けるようなら時間を合わせて動けるように手早くやらないとな」
朝食に作った焼いた骨取り塩サバのおろし添えとほうれん草のおひたし、あおさの味噌汁と白米をテーブルの上に並べて席に着く。
酒場でこってりものばかり食べていたからか最近は朝は和食が美味しく感じるようになってしまった。
いつもの日課のようにテレビを付けてArcaの情報番組を映す。
『おはようございまーす!今日も一日皆さん頑張りましょーう!』
『それでは、今日の最新情報からお伝えしますよー!昨日のワールドアナウンスを聞いた皆様は気になって仕方ないと思います!伝承クエストに関する情報です!』
『今までに見つかっていた高ランクのクエストは確か英雄クエストだったよね?』
『その通り!英雄クエストは大規模なレイドに近いパーティー必須の内容が多いと攻略班の皆さんが掲示板で情報を流しています!』
『確か、クリア済みでも未プレイの人と組めば再びそのクエストを受けることが出来るらしくて金策にはオススメらしいよね!』
『うんうん!その上を行く伝承クエストを初めて見付けた【匿名】さんが気になるよねぇ』
前回見たコスプレ衣装を着たアナウンサー達が伝える情報を聴きながら雷亜は食事を摂り終えるとテレビを消す。
その匿名がペットの機能も解放しましたと情報が出てこなかった事に安堵しながらも食器を流しに持っていき手早く洗う。
最近、ログアウトするとふと思ってしまう。
現実がArcaの世界であればいいのにと。
文明が発展する事により街並みは自然と縁遠くなり建物と舗装されたアスファルト、電柱などが視界に入ると息苦しさを覚えるようになった気がする。
「現実に戻るのが嫌と思う日が来るとはなぁ…」
比べることが悪いことではないのだろうがなんとなく胸にこびりつくこの思いが頭から離れない。
気持ちを切り替えるように雷亜は頬を叩くと残った家事を全て終わらせてからカプセルの中に入りArcaを起動する。
いつもの宿屋の天井を見つめていたが今日は顔の上に重みと毛の柔らかさを感じる。
視線を下にやれば丁度口の部分を塞ぐように白い毛玉がある。
鼻呼吸が出来ているからまだマシな様なものだが息苦しさを覚え起こさぬ様に毛玉を手に乗せ直してからベッドから身体を起こす。
「昨日は枕の横で寝てたはずなのにわざわざ俺の顔の上に登ったのか…」
規則正しい寝息を立てるマオを暫し見てからベッドの上で胡座をかくと起こさぬように太ももの上に乗せてからステータス画面を開く。
【搭乗者名:ライア 性別:男 Lv.8
※年齢:28 種族:精霊龍と人のハーフ(封印状態)
戦闘パラメータ
HP:900(+400)
MP:50(+?) AP:50(+?) ATK:43(+?)
DEF:21:(+?) INT:45(+?) AGI:17 APP:100(+35)/100 CH100(+50)/100
KRM:0 LUK:61
残自由振り分けステータス:11
()内は種族によるボーナス値となります
封印状態のステータスは初期値が表示されます
※の内容は非公開設定されている為、NPC以外の他者には見えません】
最初に見た時はレベルの表記がなかったがスロム狩りをした事で上昇したからか記載が増えている。
ステータスの方も訓練クエスト報酬の値も加算されて装備無しにしてはそこそこ見れるものになったような気がする。
ついでにリストバンドの通知の内容を確認する為にタップすれば称号取得のメッセージが届いていた。
〈宝石獣を初めてタマゴから孵化させた為、
称号:宝石獣の親 獲得
効果:INT+10、宝石獣のステータス確認機能解放、サポートスキルスロット解放〉
「マオの成長を確認できるようになったのか…。サポートスキルは分からないから…アルマに聞いた方が良さそうだな」
称号の効果の中にステータス加算の内容があり感嘆の息を漏らすもその他に記載された内容にライアはメッセージウィンドウを見ながら僅かに目を細める。
サポートスキルという事は冒険に役立つような内容だろうし称号によって手に入るという事はレアな能力ということだろう。
それにマオのステータスが確認出来るともなれば今後の育成に大いに役立つのは間違いない。
もう一つ通知があったので確認するとアランと会ったことがない人物からフレンド申請が届いていた。
絡んだ事があるアランは別として見知らぬ人間からのフレンド申請は許可すべきでは無いのが分かるので拒否する。
もしも、用があれば必ず接触してくるだろうと思いウィンドウを閉じるとマオが起きたのか大きな伸びをしてから身体を起こす。
『おはよー、パパー』
「おはよう、マオ。よく眠れたか?」
指を差し出せば匂いを嗅いでから指に抱き着くマオの姿が愛らしく手の平の上に乗せてはその顔を埋め癒しのひと時をライアは過ごした。
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