第三章 ~『保釈金と条件』~
《
オパール盗難事件の翌日、
牢獄の正門に到着した
湿った空気に満ちた牢獄の内部では、時折、囚人たちの呻き声や鎖の音が聞こえてくる。
看守に先導され、
「あなたが
「俺はたしかに
掠れた声は話すことが久方ぶりであると物語っていた。
「私は
「……後宮の人間が俺に何の用だ?」
「そう警戒しないでくださいまし。私はあなたの味方ですわ」
「……どういう意味だ?」
「ここから出して差し上げますわ」
「保釈金を払ってくれるという理解でいいよな?」
「看守から金額は事前に聞いていますわ。あなたが私に協力するなら、今すぐにでも牢屋の外に出られますわよ」
「…………」
「……やばいことでもやらせるつもりか?」
恐る恐る問いかけると、
「これからする話はここだけの秘密ですわ。約束できますわね?」
「口は固い方だ。任せておけ」
「では……」
「
「ほ、本気か……」
「こんな冗談を口にはしませんわ。やってくれますわね?」
「それは……」
「あなたも
「俺は
危ない橋を渡るのだから納得感は重要だ。
「
「その秘密の内容は……」
「……知りたいんですの?」
「いや、止めておく」
どのような秘密かと
「保釈金以外にも、成功報酬を別途お支払いしますわ。さらに私の仲間の商人に、隣国への国外逃亡を手助けさせます。もちろん移住先の住居や仕事も保証しましょう。この条件なら如何です?」
現在の暗い牢獄生活から抜け出し、希望に満ちた未来を掴める提案は魅力的に映った。
だがリスクもある。もし失敗すれば、
「悩むなら他の者に頼みますわ。このまま牢屋の中で暮らすか復讐を果たすか。好きな方を今すぐ選んでくださいまし」
「俺の座右の銘は『太く、短く』だ。
「契約成立ですわね」
「それで決行はいつになる?」
「
「任せておけ。必ずやり遂げてやる」
「期待していますわ」
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