第三章 ~『証拠集めと閃き』~
待合室の外に
「冤罪を晴らすためにも調査を開始しないとね……ただ
「
「根拠もあるんだよね?」
「実は……」
「どうして
「誘いを断った報復にしては過激ですからね」
「オパールを盗み出すことが主目的で、罠に嵌めたのは副次的な理由だとしたらどうかしら?」
「それについても疑問が残りますね……なにせ、
「たしかにね……」
三人は互いに顔を見合わせるが答えには辿り着かない。だが沈黙を続けても問題は解決しないため、
「過去に確執はなかったのかな?」
「
「でも逆恨みならどうだろう?」
「それは……」
「特に
「その発想はありませんでしたが、一理ありますね……」
眩しい輝きはその裏に影を作り出すように、
「
「なら私は人事情報を調べてみるわ」
「お願いします」
文書管理課で働く
残された
「僕らは目撃証言を集めよう。宝物殿に侵入する瞬間を誰かが見ていたら、密室の謎を解くヒントになるかもしれないからね」
「昨夜、宝物殿の近くで不審な動きをする者はいなかったかい?」
天界で暮らす仙郎のように美しい彼の質問に、宮女たちは一様に目を輝かせて快く答えてくれる。だが役立つ情報は得られなかった。
一方、
「不審者ではなく、物音や話し声などは聞こえませんでしたか?」
「それなら……水に何かが落ちる音が……」
「それはいつですか?」
「夕方頃だったような……」
記憶が曖昧なのか、はっきりとしない答えを返す宮女に対し、もう一人が補足する。
「もしかしたら
「他に気になる点はありましたか?」
「特には……」
宮女たちは首を横に振る。深堀りしてみるも、密室の謎を解くような具体的な証言には繋がらなかった。
時間は刻々と過ぎていき、夕日がゆっくりと地平線に沈んでいく。空は暗くなり、星の輝きが石畳を照らしていく。
(今夜はもう手がかりを得られないかもしれませんね)
諦めようとした時、
水槽を綺麗にしようと井戸から水を汲み上げていた
「
声をかけられた
「
「こ、これは……水槽の水が汚れたから綺麗にしに来ただけですわ。何か問題でもありますの?」
「
「ただの日課ですわ……」
「汚れた水を毎日交換するのは大変ですし、立派だと思いますよ」
水槽を一瞥すると、水は白く濁っていた。微細な浮遊物により色が変化した水の中を鮮やかな魚が優雅に泳いでいる。
(何か違和感が……)
宮女からの証言で、
だが
(私が宝物殿に案内されたのは昼頃で、
だがこれには疑問が残る。
(水を透明に保つ必要があったとしたら……)
「そんなことより、どうして
「
「大人しく捕まっていればいいものを……」
「私が解放されて、残念なようですね」
「当然ですわ。私、あなたが嫌いですもの」
(あのとき、水槽の中にオパールを確認できませんでした……ただ……)
もし水が濁っていたら、
「あなたと話していると不快になりますし、用がないなら帰らせてもらいますわ!」
「密室の謎が解けたかもしれません」
「本当かい!」
「ですが、もう一つ。どうしても必要な情報があります。無理なお願いにはなりますが、外出許可をいただくことはできないでしょうか?」
「君の無実を証明するためだ。必ず、申請を通してみせるよ」
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