明日を飛ばして明後日にしたい

神永 遙麦

明日を飛ばして明後日にしたい

 嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ。

 明日なんて来るな、明日なんて来るな、明日なんて来るな。いっそ明日を飛ばしちまえ、明日を飛ばしちまえ。

 明日、シフトが入ってるからじゃない。明日シフトが入ってるからじゃない。そうだ、明日シフトが入ってるからじゃない。ただ明日が来てほしくないだけだ。

 さっさと、明日やることやったことにして明後日になってくれ。

 なんで、こんなに怖いんだ。なんでこんなに嫌なんだ。何をこんなに恐れてるんだ。何に躊躇してるんだ。やりゃいいんだ。言えばいいんだ。さっさと。

 ああ、でも怖い。

 ただ一言、「学業に専念したいので、バイトを辞めます」と言うことが。

 なんでこんなに怖いのか、なんでこんなに躊躇われるのか、なんでこんなに分からないんだろう?

 あぁ、感じたままに言うことが難しいのは知ってる。だけど必要なことを言うのは怖いし、別な意味で難しい。

 時計を見ればチクタクと秒針が進んでゆく。布団の中をゴロゴロしていると分針が進んでゆく。現実逃避に動画を見ていると時針が進んでゆく。

 早く、明後日になれ。明日1日、気絶して無意識のうちにいい感じに行動していて欲しい。

 怖い、怖い、怖い、怖い。

 

 あぁ、だけどバイトを辞めないと、僕の心は壊れちまう。

 嫌なんだ。

 今までは家にいることが日常だった。だけど、最近はシフトが入っている日が日常で、家にいる日が非日常だ。この、日常と非日常がすり替わっていることに気づいた瞬間が1番怖い。

 ああ、出来ることなら、出来ることなら。明日をいい感じに進めた上で、2ヶ月後になっていればいいのに。そうすれば僕は日常を取り戻せる。

 ああ、だけど明日を上手くやること前提だ。なら、なら、すごく怖いけれど明日を上手く進めなければ。

 神よ、僕に力を。僕に知恵を。

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