命の、幕切に。かつて祈った稲荷神社の神眷属の粋な計らい。花嫁御寮の手を取り闇夜の中を粛々と進む彼の魂。千両役者の花道をゆくが如く、狐火と万雷の拍手によって天へと昇ってゆく。野辺送り、狐の嫁入り、闇の中に彼岸花の燃ゆる赫。感動的で叙情的な風景が目に浮かぶ。涙は必至の怪異譚。
ホラーと言うより、ファンタジー。怪異は描かれますが、怪異発生には実は秘密があって……その理由を知ったとき、あたたかな気持ちになりました。いい意味で、予想を裏切ってくれるお話です!