第2話 さっすが、私のヒーロー!


「あ、あれ? 佐久間? 怒った?」

「…………あ、いや、ごめん。怒ってないよ」

「よかったぁ! さっすが私のヒーロー! それにアフターケアも大事だよ? という訳で今日もノートを寄っこせー!」


 何だよヒーローって。

 もう忘れてくれ。


 恥ずかしいんだよ。

 と、いうか。


「待て、城田。落ち着け。……豊丘とよおか、彼氏がお前の隣でしょんぼりしてるから、そっちのアフターケアを優先してくれ。ほら、ノート」

「「わーい! ありがとー!」」

「お前ら! 毎日毎日茶番すんな!」


 苦笑いで両手を合わせる城田に、ダッシュで席についた豊丘。お前ら……本当にお似合いだよ全く。


 ゾクリ。


 また、斎賀と目が合った。

 底冷えしそうなくらいの、冷たい目。


 ……いい加減、ダメ元で話かけてみるか。あいつだってこんな毎日、嫌だろうし。でも、俺が近くに行くとそそくさと教室から出ていったりするからな。


 どうしたものか。

 誰か経由で話す場を作るとか……あ。


 豊丘、伝言引き受けてくれないかな。


 何か誤解があるなら、解いておきたい。申し訳ない事をしていたなら、謝っておきたい


 理由があるなら。

 例えば単純に俺が嫌いなら。


 それでもいい。


 ただ、理由が知りたいんだ。

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