【KAC20244】ささくれのような。
マクスウェルの仔猫
第1話 ささくれのような。
「佐久間、おっはよー!」
「はよ」
「おお、今日もイケボだねえ!」
「知らんわ」
頬杖を外して、わざとらしく肩を竦めてみる。
「ねえねえ! 課題、今日もばっちり?」
「お前、
「いいじゃんいいじゃん! 持つべきは友達!」
「……」
いいだろうが。
そこまで言い切る事ができなかった。
まただ。
冷たい目。
一瞬だけ。
で、すぐに目をそらすのもいつも通り。
どうして。
どうして、
●
始業式から一か月。
理由をいくら考えても、見当がつかない。
小、中学は違う学区の斎賀との接点がまず思いつかないし、今年同クラになったってだけだ。
去年あいつと同クラだったヤツや仲良さげな女子達に聞いたら驚かれた。
『そんな斎賀を見たことがない』と。
確かに俺以外の誰かといる時は楽しそうにしてるし、そんな時の斎賀は表情豊かで楽しそうだ。
学年で
とはいえ、一番の問題は、だ。
最後列、窓際に席がある事だ。
くじ運の強い自分を、今回ばかりは恨んでいる。教室に入ってくる人間を、見渡せる位置。
毎日、どこかのタイミングで。
斎賀のあの目を、見る事になる。
言い合いをする訳じゃない。
ケンカになる訳でも、ない。
けれど、これが一年続くのかと思うと……さすがにキツイ。
奥歯にモノが挟まってるような。何とかしないと、チクチクと痛み続けるささくれのような。
そんな毎日。
うーむ……どうしたものか。
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