『創作』のささくれ
シンシア
こじつけた愚痴と私とあなた
ささくれ。
見つけてしまうと、何かに取り憑かれたみたいに気になってしまいます。
わかるのです。
これ以上剥いてしまうと血が出てしまうと。
それでも止められないのです。
爪と指の間。
今までささくれがあった場所は、赤く滲んでいて少しスースーとする。
空気に触れるとピリつく感じ。
後悔しかないです。
剥かなければこんな思いはしないのに、何故やめられないのでしょうね。
ささくれを剥くという行為をこれ以上進むとその後に後悔してしまうと理解しているけれど、やめられないことと仮定する。
これ以上読むとその後に後悔してしまうと理解しているけれどやめられないこと。
それは創作論を読むことです。
『創作』のささくれと表現しましょう。
タイトルにすると、とても仰仰しくて恐いです。
気になってしまうのですね。
気づいたら私のカクヨムの注目作品の欄は創作論でいっぱいになっていました。
それだけ読んでいるということです。
読んだって作品ができるわけではないです。
分かっているのです。
どんな小説の書き方もどんな投稿、宣伝の仕方も書き手の腕が伴ってこそです。
それに人の正解が自分の正解だとも限りません。
成功してこその創作論ですから。
昨日に第9回カクヨムコンの中間選考結果が公開されましたね。
これを読んでいるあなたの作品は読者選考を突破できましたか。
私は無理でした。
そうなるとささくれを弄らずにはいられないわけですね。
手っ取り早く、より良いものを作ろうと余計にささくれに目がつくのです。
ですが、結果は公開される前からわかっていたことです。
全くと言ったら読んで頂いた方に失礼ですが、とても選考を突破できると思えるほどは読まれていませんでしたから、分かっていたことです。
ただ、どうしてあんなに自分の作品を、名前を探すことはワクワクするのでしょうか。
選考を突破した作品がある人には通知がくるはずですよね。
実際は分かりませんが。
もうない事は明らかなのですが、隅から隅まで探しました。
とても楽しかったのです。
ないのですよ。
絶対無いのですが、高鳴る心臓を抱えて探すのです。
この体験だけでも参加して良かったと強がるべきでしょうね。
何故か楽しみだったのです。
選考条件がブラックボックスですから、発表を心待ちにしていました。
もしかしたら、自分の作品が選ばれているかもしれないと、そんなわけは無いのですが3月に入ってからはずっとソワソワとした毎日でした。
人それぞれ嬉しさは違います。
1PVが増えるだけでも踊るように嬉しい私もいれば、何百何千PV、星がいくつ貰えてこそ嬉しいと思う人もいます。
そこに思う所はありません。これは創作に限った話ではありませんよね。
それぞれ幸せのハードルが違うという話です。
選考を突破することが嬉しい人もいれば、中間選考を突破することなどは確定事項であり、そんなことで感情は動きようがないという人もいます。
これは仕方がないですよね。私はその人にはなれませんから。
分かっているのですよ。
ですが、どうしても羨ましく思ってしまいます。
「長編はダメでしたが短編はいけました。ハードルが低いのでしょうね」
こんなことを言えてしまう側に早く回りたいと、私のささくれは訴えてきます。
私の本心はそうではないと信じたい。
突破した作品よりも、読者選考を突破出来なかった作品の方が圧倒的に多いのです。
自分が飛べたハードルに引っかかった人間を、無自覚に否定する人間にはなりたくない。
いくら飛ぶのが当たり前、選考を突破することが当たり前でも、その嬉しさ、尊さ、難しさを忘れてしまうような創作者にはなりたくないです。
話が逸れましたが、創作論を読むことはささくれを剥くことと似ているという話。
沢山読まれる作品が素晴らしい作品ではないという人もいます。
沢山読まれていないけれど、素晴らしい作品にはどこにも欠点が無いのでしょうか。
違うと思います。
素晴らしい作品が読まれるに決まっている。
そう思わないとやっていられません。
ここではダメだったけどあのサイトでは成功した。
私は場所を疑うよりも自分の作品を疑いたい。
本当にこの作品に欠点はなく、運がないから読まれないだけなのか。
いやいや、そんなこと胸を張って主張できません。
そう考えると頑張れる気がします。
まだまだスタートラインにすら立てていないです。
大好きな作品たちと肩を並べられるようなものを創れてはいません。
創作論が特効薬になる次元の話ではないです。
今の私には、誰かが歩いた成功を元にして書かれた創作論を読む時間よりも、自分の生み出した作品と向き合っている時間の方が有意義だと思います。
さぁ、ささくれから指を離して作品を創ろうと思います。
もう既に血塗れですが。
シンシア
『創作』のささくれ シンシア @syndy_ataru
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