13 暁

第85話 戦後

 三月十六日。


 国際戦争においては異例の、半年にも満たない期間で戦争が終結した。


 めでたく勝利を収めたソルアラはマグナ外交を成立させた。

 多額の賠償金と、王国に有利な条約締結、そして、かの大国に打ち勝った強国の称号を得て、国際社会において地位を確立したのであった。



 裏切り者たちの処遇には悩まされた。


 一番の戦犯であるウェヌムの罪状は大逆が主であるが、本人に事情聴取したところ、余罪としてエンの死に関わっていることが判明した。

 これは一筋縄ではいかない。



 村の復興には、王家は奮って援助をした。


 最も被害が大きかったのは山麓。マグナに攻められた際に焼き尽くされてしまったのが大きい。


 代々育ててきた果樹の無惨な姿に人々は嘆いたが、生き残った木々と王家の援助を心頼みに、時間をかけて復興していく決意をした。



 魔王解放に関連していくらか異変も起こった。


 教会や王城で保管されていた、女神の遺産と呼ばれるものたちが、忽然と姿を消した。

 これにはあらゆる考古学者たちが悲鳴をあげたが、まさか女神が隠してしまったなんて知りもしないだろう。


 いや――真相のほどは誰にもわからない。

 少なくとも、もう女神はこの地に戻ることはできない。その身に女神を宿すことも、聖杯を通じて声を聴くことも。

 その事実すら、人々が知る由もない。



 さて、かれこれ一つと半月が経った。

 戦争の跡は依然色濃いが、ようやく落ち着いてきた頃だった。

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