【初見歓迎】異世界でスローライフしながら定点カメラ配信始めた件【配信開始】〜動物撫でスキルが実はカンストしていた元社畜の俺、モフモフたちが集まる農園で美少女と好きに生きていきます〜
21 初対面でも動物だったらモフれるからヨシ!
21 初対面でも動物だったらモフれるからヨシ!
しばらく翔はキーウィの背中をゆっくりと揉みつつ、だんだんとその手を動物たちを撫でるような手つきに変えていく。ダブルコートの被毛は下に行くほど柔らかく、その手触りを堪能しながら翔はゆっくりと背中の全てを堪能するように撫でていた。
相手が男であることを忘れ、一匹の狐を撫でる。翔の意識はいつの間にかそれに近いものになっており、いつの間にかマッサージはもふもふに変わっていた。
「ああ〜……そこええねぇ……クルルルル」
「あ、ごめん!」
あまりにも良い手触りのそれをずっと触っていたからだろう。キーウィは口から舌をベロンと飛び出させて、目は半開きのまま少し涙を流している。
翔は一瞬、何か危ないものの中毒者のように見えてキーウィの体から手を離した。
「だ、大丈夫……?」
「だ、大丈夫らでな……」
ムトのそれと同じようにとろけた様子のキーウィは、しばらく時間が経つまでその滑舌までもとろけさせたままだった。
「はぁ、はぁ……」
舌をしまい終えても、キーウィの恍惚とした表情は終わらなかった。拭いきれない心地よさの水槽で溺れる酒に酔った猫のように、ぐったりとベッドに体を預けたままだ。
「オタク、商売になるんちゃう? これ」
「ははは、そこまで言ってもらえると嬉しいよ。まあでも、あいにく動物と獣人くらいにしか機能しない能力だけど」
「それでもやがな。ほな、前もやってもらおかな」
ベッドの上に倒れていたキーウィは、力が入らない腕を支えにしながら自重を使って百八十度回転し、ベッドの上に仰向けになった。
「いや、流石にそこまではやらないけど……」
「なんでや! マッサージしてくれるんやないんか!」
クワッ! と擬音が聞こえてきそうなほどに口を開き、キーウィは翔を睨みつける。
「いやいや、タダだし……。それに、基本的にこういうマッサージって背面だけじゃないの?」
「ん、あぁ、そうか。そうやな。うん」
キーウィは何かに気がついたように目を見開くと、そう返した。翔は煮え切らない返答だなと思いながらも、それを口に出すことはなかった。
「じゃ、じゃあ足の方やってもろてもええかいな。馬車乗っとる言うても結構歩くんやこれが」
「んん……」
翔は悩んだふりをした。これほどまでに効くとは思っていなかったが、ここまで効力があるのであればこれは交渉材料になりうると思ったからだ。
本来の目的では次のマッサージを受けたければ、とするはずだったが、翔からしてもレンガは早く欲しい。ならばここで即興ででも交渉を進めるべきだと翔の頭は判断した。
「ん、なんやえらい悩んどる様子やが」
「いや、足の方のマッサージはまだ勉強中でさ、あんまり人にやらせるようなものじゃないんだよね。それに尻尾とか、デリケートなんじゃないの?」
地球の動物は犬猫問わず基本的に尾を触れられるのが苦手な子が多い。だからこそ翔はそこをあえて触りにいくようなことはしたくなかった。
……という方便だ。もちろんそうは考えていたが、意思の通じる相手にそんな心配をする必要もない。嫌ならやめて欲しいと言ってくれる相手だ。
「尻尾は全然かまへんよ。せやからさ、続きやってもらえんかな? ワシこれから明日に向けて二件行かなあかんねや。休ませるおもてさ? これ、サービスなんやろ?」
キーウィは翔に縋るように言う。それはマッサージで疲れを取りたいという欲よりも、あの心地よさをさらに摂取したいという感情に近いものだった。
「いやいや、本当にこれ以上は無理だって。大体初対面の相手ののケツなんか見るつもりもないしさ」
「ケツの一個くらいこっからマッサージやってくなら見ることもぎょーさんあるんやから、い、今のうちに慣れとかんとあかんのやない?」
「そんなことはないと思うんだけど」
しらばっくれる翔に対して、キーウィは焦り始める。こうなれば立場は逆転だ。
「ほ、ほら……その、あるやん。なぁ?」
「ん〜、これ以上は有料ってことの方がこっちとしてもいいかなぁって思ってるんだよねぇ……」
翔の言葉にキーウィがだんだんと追い詰められていく。額にわかりやすいほどの冷や汗をかきながら、キーウィはベッドから起き上がって翔の腕を掴んだ。
「わ、わかった! オタクの提案したレンガ百個とモルタル、ツケで用意したる! もちろん代金は払ってもらうけど、それはそれとして定期的にここでマッサージ受けに来て金も落とすさかい、な?」
「ひひひ。まいどありぃ!」
翔の算段など、キーウィはお見通しではあったのだ。大量のレンガとモルタルを運ぶなんて時間と労働の効率の点から見ても最悪の商品だ。ツケでも問題はないが、面倒臭すぎてやりたくはない仕事だった。
だが、キーウィはその事実と今のこれを天秤にかけ、今をとった。それほどまでに、翔のモフりが心地よいモノだったのだ。
「野郎のケツはマジで見たくないけど、まあレンガのためだししょうがないや。汚かったら触らんからな」
「何言うとるんや。商売人は見た目が命。きったない格好でお客さんの前に出んように浄化魔法をよう
キーウィは黙々とズボンを脱ぐ。そして翔はその足を丁寧にマッサージ、もといモフり続けた。
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