第17話 歳月は夜を夢に変えるみたいだから 1

 涅槃さん。


 宮古がそう言っていた高校の軽音部の先輩に、日曜日の昼下がり、喫煙所前を通りかかった時に会った。

 

 会ってしまった。


 喫煙所で、休日出勤の不満解消に喫煙してるサラリーマンに混じって一服してる先輩に。 


 いや、高校の先輩だから涅槃さんは高校生なわけで。


 つまり、タバコは法律的にメッ! なわけで。


 目があった涅槃さんは、にこやかな笑顔で俺、藤原京を手招きした。


 そのにこやかな笑顔に無言のプレッシャーが込められており、自分でも最近気づいたがチキンな俺は恐る恐る近づいた。


 おずおずと眼前に俺が立つのを確認すると、涅槃先輩は、にこやかに灰皿にタバコを押し付けて消した後、いきなり俺の胸ぐらを掴み、にこやかにこう言った。


 「バラしたら、殺す…」


 「ですよねー」


 そんな感じで、俺と涅槃さん、幸村葉月(ユキムラハヅキ)先輩の縁は本格的に結ばれた…。

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