第13話 昔はよかったなんて言わないで 3

 朝学校に登校すると、相互監視対象のクラスメイト、有村蓮香が興奮して俺、藤原京のことを待っていた。

 

 何故に?

 

 監視のために、登校時、クラス内でコンタクトをとってくることは珍しくないのだが、普段は興奮など全くしていなかった。

 

 一応、同じ部活に所属しているということで誤魔化してしるが、非リア充のクラスメイトにリア充のクラスメイトが話しかけているので、普段クラス内でつるんでいる同じリア充のクラスメイトたちが訝しげに俺と有村を見ている。

 

 なんというか、こいつ、自分でバレやすい行動取ってないか? 隠す気ないんだろうか?

 

 「藤原くん! 観させてもらいましたよ! SNSの画像!」

 

 そう言われた瞬間、一瞬で俺は把握して、自分自身の迂闊さを恥じた。

 

 相互に監視するために、俺と有村は互いのSNSのアカウントをフォローしあっていた。それはつまり、俺の投稿を、俺がブロックしてなかったので彼女が見放題ってわけで。

 

 「は〜い。ちょっと、廊下行こうね〜」

 

 思わず、俺は有村を廊下に連れ出した。訝しげなクラスメイトたちが余計訝しげな顔をしている。

 

 ため息をつきたい気分だ。頭痛い…。

 

 「お前、俺の投稿いいね! してないよな? お前がいいね! したら、お前の知り合いに俺の投稿表示されるだろ…」

 

 「もちろん、してませんよ! いいね! したら藤原君の趣味バレますからね」

 

 とりあえず、俺は一安心したが、何やらめちゃくちゃ有村に不安になってきた。こいつ原因でバレないか、俺のオタク趣味…。

 

 「いいか、俺のSNSの投稿、絶対に周りにバレないようにしてくれよ!」

 

 そうため息をつきながら、俺は有村に強く強く、念を押しておいた。何故か…?

 

 それは俺はSNSの自分のアカウントで、一人V系ファッションショーの投稿をしていたからだ。

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