第33話 クリームとカリンは水と油。
――クリームside――
「クリーム」
「ん?」
「………君には感謝してもし切れないよ。息子をずっと守ってくれていたんだからね」
「なーに言ってんだかぁ~」
そう言って隣に座りとニカッと笑って前を見つめる。
「俺だってトモカサに守って貰ってこうして生きてるんだぜ? それに、俺がこうして何時も笑っていられるのはトモカサのおかげだし、アイツが居ると毎日が楽しいんだよな」
そう言うと遠くから俺達に手を振りながら素材集めを終えた三人が見えてくる。
「でさ、マー君」
「ん? 何だい?」
「義父さんって呼んでいい??」
「ん、非生産的なのは頂けないなぁ。出来ればトモカサには女の子をお嫁さんに貰って欲しいし」
「あーあ……何で父ちゃんと母ちゃんは俺を女の子に産まなかったのかが問題だなぁ。 俺生まれ変わってまたトモカサと会うならオカマでも良いから女になりたい……」
「はははは、それだけは避けて貰う様に神に祈るよ」
「神ぃ?」
「ああ、余り知られていないが、ナサ=ラルアガースも神の一人何だよ? 英雄達は皆、神様だったのさ」
「へ~~」
そう驚いていると、トモカサが返り血いっぱい浴びた状態プラス天使の様な笑顔駆け寄り俺の手を引っ張った。
「クリーム!! いっぱい素材集めて来たから綺麗にしてね!!」
「うんうん、分った。その前に三人共まずは服を自分で洗う事と水浴びな」
「了解」
「そうね、確かにこんな状態じゃ、ともっちゃんに嫌われちゃうわ」
「カリンって女言葉使うの上手くなったよな」
「うんうん、上手くなった。それと仕草も実に女の子らしいね」
「三人で水浴びしよ――――!!」
そう言うと三人はそのままの格好で川に入って行ったが……リオは「寒い!!」と雄叫びを上げ、カリンは「ともっちゃん寒いわ!」とドサクサに紛れて抱き着いている。
思わずイラッとした。
「くそ――……俺もカリン位の美少女に産まれたかった!!」
「まぁカリンは戸籍上男の子なんだが」
「俺は神を恨む!!!」
そう言うと立ち上がり山盛りも素材の前に座ると黙々と魔法を使って綺麗にして行った訳だが、マー君は俺の後ろに来て小声でこんな事を口にする。
「部下が来た時、クリームとも話をして今後を決めたいんだが、どうかな?」
「?」
「クリームの話は役に立つからね」
そう言うと俺はチラリと遠くで水浴びをする三人を見つめた。
確かに今後の事を考えれば、トモカサだけでなくカリンやリオにも危険が及ぶだろう。
「………分かった」
「すまないねぇ……」
「気にすんなよ、コソコソと世界情勢やら重要な話をされるよりはマシだ。その代り一つ頼みたいんだけど」
「ん?」
「今度マー君の部下が来たらさ、俺とトモカサ育ててくれた爺ちゃんに伝言頼みたいんだよな」
「何て頼みたいんだい?」
「俺達が来るまでくたばんな、元気でいろ! ってな」
そう言って笑うとマー君は笑って頷いたが、あの爺ちゃんが生きてたんだ……一言二言くらい言いたいじゃないか。
「トモカサ達には時を見て私から話をしよう」
「ああ、それが良いな。 だが時間は有限だぜマー君」
「そうだな、しかも時限爆弾付きだ」
そこまで話した所でトモカサ達が水浴びから戻ってきた為話は違う話題に変えたが、内心、俺の血の繋がった祖父とトモカサの祖父がタッグを組んで戦争をしようとしているなんて普通なら考えられないだろうと思うと小さな溜息が出た。
俺は兎も角、こんな可愛いトモカサみたいな孫をな~……マジで俺がブッコロとか思った。
「あれ~? クリーム全然進んでないじゃない」
「マー君と話し込んでたからさ、サッサと終わらせて飯にすっからお前等適当に遊んでろよ」
「あ、ならマー君俺に魔法教えてくれないか?」
「良いとも」
「助かるぜ!!」
―――と、その後は俺が素材を綺麗にする間、リオはマー君に付きっきりで魔法の出し方を教えて貰い、トモカサは綺麗にした素材を鞄に詰める作業を、カリンは黙々と進む作業をジッと見ていた午後……。
「ねぇ家政夫」
「あー?」
「お腹空いたんだけど、今日の夜のデザート何?」
「はいはい、プリンですよプリンプリン」
「やった―――!!」
「股間についてるのは【モンブランブラン】だけどな!」
そう言った瞬間、トモカサの強烈な踵落としが俺の頭上に命中………地面に顔がめり込んだ。
「もう家政夫の所為でモンブラン食べれないじゃない!!」
「クリーム最低だよソレ」
「いっ――――………」
「女の子が居る前でそんな事言うなんて本当信じられないっ」
「誰が女の子だ!! お前男だろうが!!」
「ともっちゃんと旅をしている間は女の子で通すって決めたの」
そう言ってバラが咲き誇る笑顔で口にしてトモカサに抱き着いたカリンに、脳内血管がビキビキいってるのが分かった……。
「ほう……女で通すんだな?」
「何よ」
「んじゃお前、街着いて風呂入る時絶対女湯行けよな!!!」
「ちょっとクリーム!」
「馬鹿じゃないの? それじゃともっちゃんとお風呂入れないじゃない」
「女の子は男湯に入らねぇんだよ!! 女湯行け女湯!!」
「何押し付けてくる訳? 私の中には私のルールがあるの。刃向うつもり?」
「刃向ってやる――――!!!」
そう大声で叫ぶと、遠くで魔法の練習をしていたリオとマー君が駆けつけ、リオは俺とカリンを見て溜息を吐いた。
「オイオイどうしたんだ? 今度は何が原因だ~?」
「またカリンとクリームは喧嘩してるのかい? 仲が良いねぇ……うんうん」
「「違うし!!」」
「あはははは」
―――その夜、夕飯も終わり食後のデザートの時に俺は皆にはプリンを出したが、カリンにだけモンブランを出し、その後カリンと取っ組み合いの大ゲンカになったのは言うまでもなく、ヘンドリムへ向かう道中はそうやって進むのだった。
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文字数との関係で、第一章までです!
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【★完結★】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい
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モグリでバグ持ちお人よし人形師は、古代人形の陰に隠れる
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