第31話 生きていた、生きていてくれた育ての爺様から聞いた言葉は――。
――兵士side――
その頃、地底界では朝と昼に前国王であるエルガー様による放送が行われ、精霊族の避難民の受け入れ態勢を整える事や、王子であるトモカサ様のご生存が発表された。
地底界は王子のご生存に歓喜に沸くと同時に、国民からボランティアとして 「精霊族の世話をしたい」 「整地に携わりたい」 と言う多くの声が寄せられた。
また、エルガー様が書いた手紙は精霊界の反乱軍に届き、そして避難を求める精霊族にも伝わり、大きく動き出していた―――。
地底界を束ねる王の言葉、そして前王からの直々の手紙を受け取った精霊界の反乱軍達は、皆驚いた様子ではあったものの、一時地底界にて避難して体制を整え、それからまた精霊界で平和を取り戻す事を提案する反乱軍達に、様々な仕事を部下に任せた私も参加して説得に加わった。
現王であるヘレガは危険思考の持ち主である事は昔から言われていたが、ここにきて天上界の者と手を組み戦争を仕掛けようとしている事に反発する精霊族はとても多かった。
「地底界を束ねる王であらせられるマダラ様は、この度の事に胸を痛めておられた。地上界に自ら赴き、ラルアガース王の一人息子であらせられるカリン王子を助け、共に旅をしていらっしゃる。 時が来れば次期ラルアガース王であるカリン王子を連れ地底界へと戻ってこられるだろう」
そう私が告げると、ラルアガース王の王子が生きている事に精霊族の皆は安堵した。
しかし―――そこに杖をつきながら一人の老人が現れる。
酷い火傷の痕が残る老人は、共の者に支えられながら私の元へとやってきた。
「地底界の者よ、一つ尋ねたい」
「何でも申せ」
「……そのマダラ王の元に、赤い髪の少年と、緑の髪をした少年はいまいか? いや、赤い髪の子供は見た目は人間だろうが……その子と傍らに精霊族の子がおらぬか?」
そう問い掛けた老人に目を見開くと、私は集まった反乱軍とその家族、そして避難を求める者達を見渡した後、老人に強く頷いた。
「……そうか、あの二人は生きておるか!」
「しかし何故それを?」
「ワシはあの当時、ヘルガの政策について行けず地上界のとある森の中で沢山の精霊族と共に過ごしておった……。あの子らがまだ幼い頃、ワシが育てておったのじゃ。じゃがその場所はヘルガに見つかってしまってな……この有様じゃよ」
そう言って火傷の痕が痛々しい姿を私達に見せた。
「赤い髪の男の子の名はトモカサと言ったな……。ある日森の近くの川に流れついておったのを見つけて保護したのじゃ。そして……その子には何時も一人の精霊族の子が傍に居た………。 あの二人を失っては行かぬ、あの二人は………世界を変える運命を背負っておる」
「………その精霊族の子は一体何者なのだ?」
「………ヘルガに見つかれば命は無かろう……何せあの子は――――」
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