第30話 元地底王のエルガー様と、保護した精霊族たち。
――部下side――
地底界では慌ただしく私の部下が走り回り、精霊界の難民の受け入れ地域を確保したり伝達の者を選んで精霊界へと送り出す用意を進めていた。
それと同時に国民に対しての放送の準備を整えていると、一人の老人が部屋に入ってくる。
「おやおや、随分と慌ただしく動き出したね」
「エルガー様!」
エルガー様のご登場により、皆が敬礼すると「あー気にしない気にしない」と笑顔で答えられる。
「詳しい状況を私にも報告してくれないかな? 出来る限りの事は息子の代わりにしよう」
そう呼びかけられ、私が立ちあがり先程地上界に赴き王から話された内容を説明すると、エルガー様は「うんうん、なるほどね」と口になさいます。
「その様子だと戦争は回避出来ないようだね。やれやれ、私の旧友達はどうなってしまったのやら……胸が痛むよ」
そう語るエルガー様は、地底界を束ねる王であるマダラ様のお父様でもあり、天上界のロニエム王と精霊王のヘレガ王のご友人でもあらせられた……。
その旧友二人が牙を剥いたのだから……エルガー様の心の痛みは計り知れない。
「まぁ、昔からヘレガは危険思考の持ち主ではあったがね。それより、国民への会見の場には私が出席しよう。君は忙しいだろうからね」
「恐れ入ります」
「それでつかぬ事を聞きたいんだが」
「はい」
「孫のトモカサは居たかね?」
そう問い掛けられるエルガー様に、私は強く頷き王子であらせられるトモカサ様のご様子を語った。
この言葉に周りの部下達も声を上げ歓喜に沸いたが、エルガー様はそれ以上に喜びを露わになされた。
「そうかね!? 孫はいたかね!!」
「はい、少々ご年齢の割にはお若くみえますが」
「うんうん、それでも成長期だ! いやはや……これは一度コッソリと孫の顔を見に地上界に行かねばならんなぁ」
そう言うと満面の笑みを浮かべられるエルガー様は、胸のポケットから一枚の写真を取り出されました。
「……この写真でしか孫の顔を拝むことが出来ない日々がもどかしかったよ。 うんうん、無事生きていて大きく成長しているか」
そう言って嬉しそうに微笑まれるエルガー様の手にある写真は、エルガー様とトモカサ様が御写りになった古い写真……。
「よしよし、では早々に国民への放送を行おう。ラジオでの放送も忘れないでくれ。それと………王子が無事である放送もしなくてはならない」
「はい! それと、王はまだ自分が父親である事を伏せておられるようです。名前も明かさず一緒に旅をしておられるようで」
「おやおや、息子にお父さんと呼ばれたいだろうに……まぁ、周りの仲間の子達の環境を考えると言うに言えないか」
「はい……」
「うんうん、息子としても切ないだろうが仕方ないな。 朝の会見と昼の会見の用意を急いでくれたまえ。 それと精霊界への手紙は私が書こう、準備を急ぎ行いなさい」
「かしこまりました」
そう言うと私は部下に的確に指示を出しバタバタと忙しく動いていたが、エルガー様は窓の外を見つめ佇んでおられた。
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