第27話 滅多にお目に掛れないモンスターに苦戦する!

――リオside――



今までは俺とカリンとマー君は一人用のテントで眠り、クリームとトモカサは一緒のテントで寝ていたけれど、マー君の提案により皆でモンスターを倒し大きなテントを買おうと言う事になった。

無論、大きなテントが張れる場所は限られているらしいけれど、俺としても他の人と寝るなんて体験は初めてな事だし、ちょっとワクワクしている。


モンスターを倒すとお金とか街や村に着いた時に売れる素材が手に入る事は、以前トモカサとクリームから聞いたが、今回の目的は【大きなテントを買うお金稼ぎ】と言う事もあり、皆気合が入っていた。



「素材は出来るだけ良いモノが欲しいよな~」

「換金する時高く売れるしね」

「適当に倒して良いの?」

「売り物にする為には綺麗な素材が良いから、考えながらがベストかな?」



そんな会話をする皆の横で、俺は銃を具現化すると皆でその辺の手ごろな敵を探していた。

草食系のモンスターが多いこの近辺は、空には鳥が飛んでるし大きなトカゲの様な敵も居れば羊みたいなモンスターも居る。



「トカゲ系は皮が結構高く売れるんだよね~」

「それなりに強度があるからな~」

「羊系のモンスターはどうなの?」

「羊系は毛皮をゲットしたらクリームが綺麗にしてくれるよ。魔法を使ってなめし革にしてくれるんだ」

「ほほう………トモカサとクリームはそうやってお金も稼いでいたのかい?」

「うん! でも僕は魔法を使って~なんて繊細な事出来ないから、基本素材収集だったよ」



そう語りながら歩く俺達は、適当にその辺のモンスターを倒す事になったが、マー君は大きな鎌を鞄から取り出すとサクサクと倒してしまう。

その強さに皆が「おお」と驚いた声を上げたけれど……本当、マー君ってどんな経歴がるのかと思ってしまう。

俺も試しに空を飛んでいる鳥に銃を発砲してみたが、掠っただけで怒らせてしまった。

そこをトモカサが鞭を手にすると地面に叩き落とし、カリンがトドメを刺す。

クリームはと言うと、魔法で敵を眠らせたりしながら 「次コレ~」 とか言いながら黙々と作業をこなしていくけれど――……。



「なんか、義務的な戦いで面白味が無いよね」

「だな」

「この辺りの敵が弱いのかな?」

「もっとさ~……こう手ごたえのある敵ってこの辺いないのかな」

「ははは、そんな事言ってたらレアな巨大モンスターが現れるかも知れないぞ」



と、マー君がにこやかに語った所で……背後から気味の悪い空気を感じた。

それは皆も感じ取った様で、戦闘態勢のまま後ろを振り返ると地面がブクブクと泡を出しながら黒くなっていく……。



「おい……あそこさっき通った所……だよな?」

「そうだね、ああ言う事がある場合はね~……」

「「?」」

「まぁ早い話が、レアなモンスターがご登場なさる場合だな」



そうクリームが腰から布を引き抜くと同時に現れたのは――とんでもなくデカイ草食系であろうモンスターだった。



「「………デカッ」」

「強さ的に言うと……計り知れない強さですね!」

「まぁレアなモンスターってのはそんなモンだよな~」



そう呑気に口にしながらクリームが現れたレアなモンスターに何かの魔法を唱えると、冷静な声で口にする。



「ん――……リオにはちと辛いかもな~」

「え!?」

「カリンにもちと辛いかもな~」

「私を誰だと思ってるの家政夫」

「だったら突撃してみろよ」



そうクリームがニヤリとした笑みを浮かべてカリンに告げると、カリンは大剣を手にモンスターの身体に斬りかかった。

しかし―――深手を負わせる事は出来ずモンスターは巨大な足を上げてカリンを踏みつけようとしたが、カリンは咄嗟に横に回避して難を逃れる。



「ちょっと家政夫!! 何このモンスター!! 凄く硬いんだけど!!」

「だから言ったろ? ちと辛いってさ」

「うーん……気を抜くとこんなレアなモンスターが現れるんだねぇ。ははは、中々面白いもんだ、うんうん」

「でも、レアなモンスターってかな―――り良い素材落としたりくれるからね。旅人の間では旅人同士が手を組んで倒して、手に入れたアイテムを分配する事もあるんだよ」

「へ~……」

「ではでは皆さん、レッツ☆ショータイム!! 思い切りガンガンやっちゃって~」

「家政夫も戦えよ」

「俺は魔法援護の方が向いてるの! 前衛は戦え戦え!!」

「ムカツク、マジでムカツク……後でブッコロ」



そう言いながらカリンが隣で凄いオーラを出したのが分かったが、俺はクリームの所まで下がると銃を発砲して援護する。

が―――やはり硬い。

殆どの弾が弾かれてる気がして何となく凹む……。

そんな俺を余所にトモカサはナックル装備でレアモンを殴ってるし、カリンも踏まれないようにと横から攻撃してる。



「なぁクリーム」

「ん?」

「女の子二人に戦わせてる気にならねぇ?」

「………戦う女性って素敵!!」

「お前もうちょっと考えろよ!! 男としてダメだろ!! 何だよその瞳を輝かせて興奮する姿は!!」

「はいはい、二人とも真面目に戦わないとダメだよ。 リオは弾がちゃんと当たってないねぇ……。 そうだな、追尾する様なイメージを頭で浮かべて撃ってみたらどうだい?」

「追尾?」

「魔法にも追尾魔法があるんだよ。見ててごらん」



そう言うとマー君は俺の隣で魔法を唱えると、指先をパチンと鳴らして黒い球体が宙を舞いモンスターに入って行く……。

その途端、黒い無数の手がレアモンの身体から飛び出し、モンスターの身体を締め上げていく。



「おおおっ スッゲー!! 暗黒魔法じゃん!」

「宙を舞わせてみたけれど、魔法も具現化も多分似たようなところがあるんじゃないかな?」

「なるほど」

そう言うと俺は頭の中でイメージをすると、具現化の銃が黒い光に包まれ自分でも驚いた。

「おお」

「そのまんまのイメージで撃ち込んでみろよ!」

「結構集中力いるんだって! 待てよ!」

「待ってられない!! 早くして、寧ろ早くヤレ」



と……殺気立った瞳で俺を睨み付けてくるカリンにビクッとしたものの、一度深呼吸して再度頭の中でイメージを施す。

暗黒魔法……さっきのマー君の魔法が手では無く体の中から突き破る様な魔法だったら?

そんな事をイメージしていくと、銃を持つ手が漆黒の靄に包まれ、蠢く様に膨張していく。



「ダメ元で行け――――!!!」



そう言って発砲すると、余りの反動で後ろに吹き飛んだが漆黒の弾は大きなレアモンの眉間に当たると同時に黒い靄が眉間の中に入って行く。



「―――カリン離れて!!」

「!?」



その掛け声と同時にトモカサとカリンが咄嗟にモンスターから離れると、黒くて太い無数の棘がモンスターの身体の中から飛び出し、レアモンは大きな雄叫びを上げてゆっくりと倒れた。

吹き飛んだ拍子に地面に倒れてた俺だが起き上がると皆でレアモンに駆け寄った。



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【★完結★】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

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