第26話 大きなテントを買う目標と、〆られるクリーム。

――トモカサside――



「だから、私はともっちゃんと居ると精神的に凄く落ち着く。手に触れる、腕に抱き着く……ともっちゃんに……撫でて貰える……私はそれだけで、ううん、私にはこの為に生きてるんだって思える」

「カリン……」

「私の事……嫌いになった……?」



そう俯いて小さく震える声で呟いたカリンに、僕は頭を何度も撫でた。

「そんな事で嫌いになんてならないよ。それよりも!」

「!?」



そう言うとカリンの両頬を両手で掴むと、ジッと見つめた後ニッコリと笑った。



「カリン?」

「?」

「僕と一つ約束して」

「何を?」

「………何時かは、この戦争が終わったら……ラルアガース王国に戻る事」

「!?」



この言葉にカリンは目を見開いたけれど、それでも僕は優しく微笑みながら口にする。



「戻るだけでいい、その後どうするかはカリンが決めなよ。国を出るのも、旅をするのもカリンの自由」

「じゃあ私ともっちゃんと一緒に居る!!」

「カリン……。じゃあ僕がその時今のまま皆で旅をしていたら良いよ」

「うん!!」



そう言うとカリンは目を輝かせて僕に抱き着ついた。



「よし! 今日はもう寝よう! クリームはカリンのテントで寝て貰ってさ!」

「じゃあこれから毎日」

「ちょっと待った―――――!!」

「ッチ」



と、行き成りスライディングしながら入ってきたのはクリームだった。



「あれ? クリーム……もしかして立ち聞き~?」

「ははは、悪いねトモカサ。私が提案したんだよ」

「マー君が!?」

「わりぃ……俺も聞いちゃってさ」

「リオまでも………もう三人共!?」

「「「ごめんなさい」」」



そう言うと僕は具現化でピコピコハンマーを作ると三人の頭を叩いた。

が――――。



バシッ

バコッ

ドガッ



……カリンはハリセンのあらゆる場所で三人の頭をそれぞれ叩いた。

「ははは、叩かれてしまった」

「つ――……」

「信じられねぇ……カリンお前な!! 取っ手の部分で殴るか普通!!」

「うるさい家政夫。 家政夫の分際で私に楯突こうなど百年早い」

「何を――!!!」

「まぁまぁ、クリームもカリンもトモカサと一緒に寝たいかぁ……リオはどうだい?」

「俺? 俺はまぁ……一人で寝るのに慣れちまってるからなぁ。でも、一度は誰かと寝てみたいよな!」

「ふんふん、私もトモカサと一緒に寝たいね。ここはどうだい? 今度街か村に着いたら大きな皆で寝れるようなテントを買うとか。そしたら皆平等だ」

「あ、それ良いかも!」

「なら頑張ってお金稼ぎしないとね」

「うんうん、皆で頑張って敵を倒そう」

「うっう……二人きりでイチャイチャが出来なくなるじゃないの……」

「イチャイチャしてるっけ?」

「そりゃ―――トモカサが寝てる間に―――……」



そうクリームが頬を染めて自慢げに答えようとした瞬間、クリームは大量の汗をかきながら固まった。

………何となく、後ろから凄いオーラを感じるけれど振り返るのは止めておこう。



「う――ん……クリーム、ちょっと来なさい」

「私も家政夫とは一度じっくりとお話ししてみたいな」



そう言うとカリンとマー君は輝くような笑顔でクリームを引き摺りながらテントの外へと行ったけど、僕とリオは顔を見合わせて首を傾げた。

遠くで何か酷い音が聞こえるけど………戻ってきたマー君はハンカチで顔についた赤いナニカを拭き、カリンはスッキリした表情で帰ってきた。



「あれ? クリームは?」

「ああ、今日は夜空の下で寝たいそうだ。うーん……風流だねぇ。流石精霊族、うんうん」

「ともっちゃん、一緒に寝よ」

「そうだね、クリーム風邪引かないと良いけど」



そんな事を笑いながらその日はカリンと一緒にテントで眠った。

クリーム以外の人と寝るのは初めてだったけれど、カリンは寝相も良いし身体も小さいし、僕としてもいつも以上にグッスリ寝る事が出来た。

そして翌朝――。



「ぶえっくしょ―――い!!」



大きなくしゃみをしながら口にマスクを装着させて、辛そうに朝食を作っているクリームがいたけれど、僕とリオは顔を見合わせカリンとマー君を見た。



「「クリーム、大丈夫?」」

「リオとトモカサが起きて来るまでお花畑を走ってたよ……ちくしょう!!」



そう言いながらタタタタタと素早い包丁さばきで果物や野菜を切って行くクリームが居たのは……ちょっと不思議に思ったとある日の出来事。




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