第11話 リオの得意科目がみつかる!!

―ートモカサside――


リオに算数のドリルを作った二日後。

驚く事に、全ての問題をクリアしていて、俺が次のドリルを作り終えると同時の事だった。

採点付けをする俺の横に座りニコニコ笑顔で結果が出るのを待っている。

そして、全ての問題は正解で……リオの底知れぬナニカを見た瞬間だった。

ソワソワして落ち着かないリオは、クリームの横で点数の結果を待ちかねている。



「…………」

「……どう?」

「どうだ? 俺的には結構簡単だった気がするんだけどさ」



そう口にしたリオに対して、クリームは算数のドリルをリオに無言で手渡すと、リオは一瞬ドキッとした表情をしたものの一ページ一ページ開いて行く。



「どうなのクリーム」

「リオの底力発揮だな、全問正解」

「よっしゃぁぁぁぁあああああ!!!」



そう雄叫びを上げたリオは地面に座った体制のまま後ろに倒れ込み、喜びを噛み締めていた。



「しかし凄いな、算数ってお前初めてだろ? 読み書きより早かったな」

「だろ!? 何か分かんねーんだけど、算数はスラスラ頭に入ってきてさ!」

「じゃあ一人で買い物も出来るね!!」

「だな!! あ、次のドリルってもう出来てる?」

「ほらよっ」



そう言うとクリームは次のドリルをリオに投げ渡すと、リオは見事にキャッチしてにこやかな笑顔だった。



「なになに……理科?」

「植物の事やら何やらだ。 フォルナスの森が焼かれた時に俺がアレコレ喋ったのは、理科や生物の知識があったから」

「なるほどなぁ……」

「理科や生物って、動植物の事もそうだけど、結構奥深くて面白い分野なんだよ」

「ほ~…」

「銃器関係諸々も必要なら化学の知識とかも必要になるだろうけど……俺は化学は苦手分野なんだよな~」

「だったら、尚更教材買わないとだね」

「だな~……ついでに今の世界情勢も新聞買って読みたいし」

「セカイジョウセイ?」

「地上界の動きが書かれてる記事の事だよ。街や村に行くと必ず買うんだ」

「なるほどねぇ」

「でもさクリーム、クリームの魔法使えば世界情勢くらい見れるんじゃないの?」



そう僕が問い掛けると、クリームはキョトンとした表情をした後、隠していない耳をカリカリ掻いた。



「何だよ、クリームそんな魔法使えんの!?」

「まぁ使えない事は無いが、それは緊急時に使うって決めてるからなぁ」

「何で?」

「リオは知らないだろうが、一般的に魔法を使える人間ってのは珍しいんだよ。パカパカ使っていいモンじゃないってのは分かるか?」

「え? そうなの?」



驚くリオに対してクリームは「やっぱ知らんか」と苦笑いしたけれど、確かに地上界では魔法を使う事は珍しいと言われている。

一部の王国の王は代々魔法を使えると言われているけれど、他だと使えても本当に弱い魔法だけだと言われている。

そもそも、魔法を使える人間はとてもレアで、魔法を使えると言うだけで地位や名誉を貰える事だってある程、希少価値な存在だ。

その事をリオに教えると、リオは首を傾げながら僕とクリームを見つめてきた。



「……でも、お前等魔法使うよな? クリームは飯作る時に魔法で火を起こすし」

「つまり、地上界では俺とトモカサはその希少価値な存在に分類されんの。それに俺精霊族だし?」

「リオは魔法の使い方分からないし、今の所教えても無いから……リオが魔法使えるかどうかは未知数なんだよね」

「ふーん……」

「しょうがない。今回の算数のドリル全問正解かつ短期間で終わらせたご褒美で教えるか」

「え? 魔法使える様になんの俺!?」

「ちが――――う!! 魔法とは何ぞや~ってのを教えるだけ!」



そう言うとリオの頭を叩き怒るクリームだったけれど、クリームはリオと向かい合い、戦闘における魔法や呪術を教え始めた。





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