第2話 名もなき少年は獲物を狙う。

――???side――



……久々に街に戻った。

久々に街に戻ったけれど、相も変わらず街の奴らは俺が居るだけで逃げ散らかすばかり。

だが、収穫もあった。

旅人にしては若過ぎるとは思うが、丸腰の少年二人が居た事は俺にとっては良い収穫だ。

今までの旅人は、皆武器を持っていて金品を奪うのは骨が折れた。 だがあの二人なら――……そう思うだけで笑みが零れた。


街から出て、誰とも会う事も無くひっそりと生きるには丁度良いフォルナスの泉にテントを構えて生活する俺は、夜が来るのを待った。

夜になれば、宿屋にコッソリ侵入してあの二人を襲おうと思っていたからだ。

だがその時――外から人の足音と話し声が聞こえた。

こんな場所に来る奴なんて街の人間では無いだろう。 俺はテントから出ると木々に身を隠し近づいてくる音に集中した。

すると――。



「おいトモカサ、いい加減にしないと俺も怒るぜ?」

「怒ってどうすんの?」

「あのな? 俺の愛しのトモカサくんが、」

「今直ぐ死ぬ?」

「うん、言い換えると、トモカサが危険な目に遭うんじゃないかって心配なの!! 解るでしょ?」

「ん――……取りあえず彼に会わないと何とも言えないな~」

「あのね~? トモカサくーん」



――どうやら、声の主は今日出くわした旅人の少年達の様だ。

これ以上都合がいい事はない。俺は身を隠し少年たちが泉に近づくのを待った。

幸い今日は月明かりが眩しい……工場から排出される煙にも負けずに輝いているのも俺にとっては好都合だった。

そして――二人が泉の前まで来た所で、俺は姿を見せた。



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