二人だけで旅をしていた、その内仲間も増えた。だが僕達は狙われている。
udonlevel2
第1話 旅する不思議な二人と、出会ってしまった少年と。
ここはアレルダの南西にある町―リンガルド―
リンガルドは他の国々とはかけ離れた文明を持ち、また自然も少ない。
空は灰色に染まり、沢山の煙突から煙が吐き出される街。
街の至る所に見た事も無い機械が放置されており、街の中はお世辞にも綺麗とは言えなかった。
そんな街に、二人の少年が立ち寄った。
◆
「うへぇ……汚ねぇ街、空気が淀んでるぜ」
そう言って、手のひらで口元を仰ぐ俺の名前は【クリーム】年は十五歳だ。
特殊な耳を覆い隠す様にターバンを巻き、服は自分で繕った露出の激しいく、そして特徴的な模様をあしらった服を着ている。
相方の【トモカサ】曰く、服装が特殊過ぎて、普通の人間達とは掛け離れているから恥ずかしいらし。
そんな事なんて何のその、ターバンでは隠しきれない緑色の短い髪に、瞳の色は【人間】には珍しい金色をしている。
「しょうがないよクリーム、ここは鉄鋼産業発展の土地、あちらこちらから煙が出てるって事は、発展してる証拠さ」
「それでも、ここの空気を綺麗にする為に木々や植物を植えろうとは思わんものかね、全く……最近の人間と来たら碌な事考えねぇな」
「まぁ……確かにこの空気は身体に悪そうだよね……」
そう言う相方の少年は、一瞬女の子かと思わせる可愛さがあり、俺より一歳しか年が違わないのに幼く見える。
その事について本人は気にしているので口が裂けても言えないが、鮮やかなまでの赤い髪に同じく赤い瞳。
服装も俺の独断と偏見により赤で統一されていているが、下半身の部分は黒のスパッツを穿いている。
まぁ、俺と同様に少々普通とは掛け離れた服装だ。
―――普通一般の旅人……としては異色ではあったものの、そんな事気にする事も無く俺たちは門を潜り街の中を探索していた。
……それにしてもこの工場から排出される臭いが堪らなく俺には辛い。
腰に巻いていたオレンジの布を取り、口元をそれで覆い街の中を歩いていると、街角で行き成りトモカサが誰かとぶつかり尻餅をついた。
「大丈夫かトモカサ!」
「あ、うん平気」
「………」
ぶつかった相手は何も口にせず、ジッと俺達を見つめていた。
光の反射で顔はよく見えないが、俺と同じ位の少年である事は分かった。
長い銀髪を後ろでポニーテールの様に結い、額には白い鉢巻のようなモノをしている。
しかし……。
「お前な~……ぶつかっておいて謝りもしねぇってのはどうかと思うぜ……って……お前っ」
「かっ 褐色の肌……」
この言葉にビクッと反応した少年は、舌打ちをすると俺達を睨み付けてきた。
咄嗟にトモカサを庇う様に前に出ると、街の人々も小さな悲鳴の様な声を出し、女子供は家々に逃げ込んだ。
―――暫く沈黙が続き、俺としてもどうするか悩んだ……。
ここは街中だ。 街の外の様にモンスターを倒すのとは訳が違う。
だがしかし、少年は踵を返すと無言でその場を走り去っていった。
後に残ったのは静寂……。
「行ったか……?」
そう聞こえた方向を向くと、一人の老人が家の中から現れ俺達へ手招きし、家の中へと招いた。
「すまんな君達。【アレ】はあの通り地底界の民と同じ見た目をしておるので、街の人々からも忌み嫌われておるのじゃよ」
「だよなぁ……俺も一瞬驚いたし」
老人は俺達に温かい飲み物を出すと、ポツリポツリと話し始めた。
彼の両親は「人間」だが、母親は長い間子供が出来ず、この街から離れたフォルナスの泉で入水自殺を謀ったが死にきれず、街に戻って直ぐに妊娠している事が判明。
しかし、彼を産んだ直後に【突然死】したと言う。
父親は酒に溺れ、後に噴水の中で死んでいるのが見つかったそうだ。
不幸に不幸が重なり、彼は心を閉ざした……。
だがそれだけでなく、彼は旅人を襲っては金品を奪い、今ではその悪行は街の人々で知らぬ者は居ない程までになっていると言う。
「お前さん達も気をつけんとな……アレは旅人を必ず襲う」
「……お爺さん、彼は何処へ向かったの?」
「おいトモカサ! まさかさっきの奴に会いに行くなんて言い出すんじゃ無いだろうな?」
「うん、会ってくる。あ、クリーム着いてこなくていいよ」
「馬鹿!!! 絶対ダメ!! 俺ついてく! てか絶対着いてく!!!」
「だって、クリーム来たら纏まる話も纏まらないじゃん」
「待ちたまえ君達。悪い事は言わん、アレは人を不幸にする存在ぞ? 襲われたらどうする!」
「そうかな? 僕はそうは思わなかった」
「トモカサ!!」
「僕探しに行ってくるよ」
そう言うと、トモカサは老人にお礼を言うなり外へと飛び出してしまう。
重い溜息を吐くと、老人もまた溜息を吐いて俺をジッと見つめてきた。
「ん?」
「いや、お前さんもアレと同じように珍しい見た目をしておると思うてな……」
「………服装が?」
そう言って服の端を持ちニヤリと笑うと、老人は笑っていたが俺としてもこれ以上ココに居るのは危険かもしれないと思い、お礼を言って外へと出た。
俺自身も珍しい見た目をしているのは間違いない事だし、その為にもこんな派手な服装をしている。
自分の趣味も加わっているものの、俺を見て 「珍しい」 と口にする者には、この服装で誤魔化すのが一番手っ取り早かった。
「さてと、うちの子猫ちゃんは何処に行ったかね」
相変わらず身体に悪そうな外の空気に眉を顰め、オレンジの布を口に当てると、風が教えてくれる相方の元へと走り出した。
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【★完結★】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい
【★完結★】召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。
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