①-6 幸せになった人のケース
〜Hさんの話〜
「Hさんは、Xさんと同じで農家だったよ。彼は家族もいて友人もいたかな。彼女は、悩みを多く抱えていて、それがパンクして自責病のようなつらい精神状態になっていた。“人を幸せにする魔法”を施行した際は、いつも無反応に近い状態だったんだがすぐに元気になったんだよ。彼女は、私たちにこう言ったんだ“これで家族のために頑張れる”と」
「なんとも良い話ですね。彼女は、魔法を受ける前はどう言う状況だったんですか?気持ちの昂りとかは...?」
「ああ、ごく一般的な自責病だったよ。気持ちの昂りも高く、XさんやYさんよりも重症っていうイメージだったかな。」
「そうだったんですね」
「Hさんは今も元気に働いているよ。いや、魔法の前よりもかなり変わってね。人が変わったと言えるぐらいには。ただ、別人になったとかそういう話ではないかな。回復したというのが1番適切な表現かもしれないな」
そう、シェーマンさんは言った。私はそこで最初のHさんの情報から一つ疑問に思ったことがある。
「これで質問を最後にします。Hさんの話を聞いて疑問に思いました。XさんとYさんの2人は魔法を受ける前に幸せっていうことについての詳しい質問はしましたか?したなら、その内容と答えを知りたいです」
シェーマンさんは少し沈黙になったが、顔がぱっと明るくなり、話し続けた。
「もう気づいているのだろう?XさんとYさんに、どちらも幸せについての質問をした。質問内容は、“何において心が落ち着くか、幸せを感じることがあるか?”だ。彼らの答えは、同じで“死ぬこと”と答えた」
「そうですか、確かに予想通りです。じゃあ、今回の“人を幸せにする魔法”の効果がわかった気がします」
シェーマンさんはふむふむと口ずさみながら、かなり笑っていた。
「じゃあ、当たってるかだな。Zさんのケースの話をした後に答え合わせでもしよう。まあ、答えと言ってもあくまでこれらは推測でしかないがな。国家の方針でこの魔法についての研究と使用は禁忌とされているからね。あくまで、そう、仮説だよ」
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