第63話 田舎王子 許嫁と二人きりの観覧車
軽く昼食を取り(VIPパスは昼食も無料でした)彩羽もなんとか落ち着いたので昼からは4人でパークを回る事になった。
只、乗り物やアトラクションは揉めるので、パーク内の展示物を見て回り皆で写真と撮ったり、体を動かす遊びで楽しんだ
「へぇ、彩羽さんダンスお上手ですやん」
「まぁね、これでもプロだからね仕事の関係でレッスンは欠かしてないわよ、それより空、あんたこそ凄いじゃない私でも付いてくのがやっとなのに」
「なぁ彩羽、今度はアタイとやろうぜ!」
「ええ、いいわよ掛かってきなさい!」
ここはパーク内の【ジェリーマウスと一緒に踊ろう】の施設だ、中には大型のモニターに自身が映し出されて映し出された映像にはネズミの耳としっぽとヒゲが付けたされている
遊び方は、中央で踊るジェリーマウスに合わせて、自分も踊るという単純なルールだが難易度が設定できるようで、やさしいでは幼稚園児から小学生くらい迄を対象とした可愛らしさを強調したダンスで
普通は中学生から高校生を対象とした、少し本格的なテンポなダンスになっている
しかし、今彼女らが挑戦してるのは裏メニュー的な難易度ハードでプロ並みのテンポにアクションの織り交ざった派手なダンスに挑んでいた。
俺も最初に挑戦したが・・
「フフフ、雅さんにも苦手な事あるんですなぁ」
空はそう笑い、かいながら俺の横に座る
「あははは、お恥ずかしい 村でダンス教室していた先生に教わったんですがね、先生曰く僕にはリズム感が無いらしいです^_^;」
少し自虐的に笑いながら、楽しいそうに踊る彩羽と静流を見る
「でも、どこか雅さんの踊り方六橋舞踊に通じる感じがしましたけどなぁ」
「ええ?、そうですか?僕も頑張って覚えれば空さのように上手くなれますかね?」
空の方を見て、期待を込めて見つめると
「ええ、それはもう!、うちが手取り足取り付きっ切りで教えますさかいぃなぁ」
悪戯っぽく笑い、俺の鼻先をチョンチョンと突っついた
「「あああ!空!なにしてんの!(だ!)」」
二人はダンスに夢中になってたのか、俺と空が座って密着してるのを見て怒っていた。
空は俺の手を引き立たせると
「ほらぁ雅さん、うちが簡単なダンスから教えますさかいぃ行きましょうー」
やわらかい笑顔の空を見ると、田舎でダンスを教えてくれた海ばあちゃんと重なってみてた。
それから、俺は許嫁達に【やさしい】の難易度ダンスを沢山手ほどきしてもらったが、回りのスタッフの失笑が止む事はなかった・・・・
それからも、いろんな施設を見て回って気が付けば辺りは薄暗くなりパーク内はイルミネーションが灯っていた。
「ではぁ雅さん、うちと観覧車にのりましょうぅ」
「はぁ!ちょっとまて!旦那さんと乗るのはアタイだ!」
「わ、わたしも、雅と一緒に乗りたい・・かなー」
3人とも譲りそうもないので
「で、では皆で乗りましょうか!」
みんなが俺の方を見たが、その眼は「なにいってんだコイツ」と半ば呆れていた。
【観覧車後、30分で終了ですーー、ご利用の方はお急ぎください!】
4人は顔を見合わせて、黙って頷いた
「あ、あの!僕たち4人乗りまーーす」
「申訳ございません、この観覧車は2人乗りですので2名づつに分かれて御乗り下さい」
「ここはぁ、公平にジャンケンで勝負といきまひょ」
「ああ、誰が勝っても文句は無しだ!」
「まぁ結局こうなるわけね!」
「「「最初ーは!グー ジャン・ ケン・ ポン!!」」」
「ねぇ雅さん、見てください!入口のイルミネーションが凄く綺麗ですぅ」
「空、ちょっと危ないですよ」
結局ジャンケンには空が勝利し、彩羽と静流はグヌヌヌヌとアニメや、漫画でしか聞いたことにない呻き声で悔しがっていた。
「あの二人には申訳ありまへんけどぉ、こうして雅さんと二人で思い出が作れてぇうちほんま幸せやわぁ」
座席に膝をついて乗っかって子供の様にはしゃいでる
そんな楽しそうな空の横顔をみると何故か自分まで幸せな気持ちになってくる
(そういえば、ダンスを教えてくれた海ばあちゃんもこういう子供ぽい所あったな・・・なかなかダンスが上手くならなくて、上手な海ばあちゃんの事、スーパーヒーローみたいで大好きだったな・・・)
そんな思い出に浸ってると
【ガゴン】
急に観覧車が一番天辺で停止した
『お客様にお知らせいたします、ただいま強風による揺れを検出して設備の安全装置が作動しております』
『万が一の事が無い様にするための安全装置ですので、お客様への危険は御座いません点検が終わり次第再度動きますので、今の時点で体調のすぐれないお客さまがいらっしゃいましたら緊急ボタンにてお知らせください』
俺は空をみるとそこまで不安に思ってないのか、苦笑いをしていた、空の席の奥に彩羽と静流の乗るゴンドラが見えるが、ここからじゃ中まで見えない
「向こうは様子わかりませんね」そう微笑みながら空をみると、空のほうは真剣な表情でこちらを見つめていた。
「雅さん、今ここには、うちと雅さんしかいまへんよぉ」
「そ、そうですね」
空は俺に抱き着くと
「だったら、他の女の事考えたら嫌・・・」
「え、そ、そら?」
「うち、家の事とか関係無く雅さんの事が、めっちゃ好きやねん」
空は俺の胸にうずめた顔を上げて上目遣いで訴える、その黒く大きな瞳が少し潤んで暗闇の中でひと際輝いて見えた
暫くその姿勢で見つめ合う、その時間は数分が数十分にも感じて俺も空から目を離せずにいると、頬を赤らめた空がそっと瞳を閉じて唇をつぐみ俺に向けてきた
その魅力的な表情と甘い空から漂う香りは狭いゴンドラの中で充満し、俺の頭をクラクラさせる
そして俺は引き寄せられるように空の唇にそっと・・
【ガコッ!】『えーー、大変お待たせしました、機器の点検が完了しましたので再開いたします、ご乗車のお客様におかれましてはご不便をおかけしました事心よりお詫び申し上げます』
俺と空はお互い至近距離で目があって二人とも驚いた表情になった。
「プッ、フフフ、」
「あ、あは、あはっは」
どちらからとも無く照れ笑いをして、さっきの空気を吹き飛ばそうとしていたが
【チュ】
不意に頬に空がキスをしてきた
「えっ!空!?」
そらは再び俺の胸に抱き着き
「さっきは、ほんまぁおしい事しましたぁ、でも今日はこれで我慢しますぅ」
そして、下に付きゴンドラの扉を開けた係りの人が
「あらw可愛いのねぇ」「うわー青春だねぇ可愛い彼女大事にな!」と盛大に煽られた
ゴンドラから先に降りて中の空さんに手引いて降ろそうとすると
そのまま俺の胸に飛び込んできて「次は、期待してもええよねぇ」と自分の唇に指を添えて悪戯っぽく笑った。
------------------------------------
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます