第62話 田舎王子 二人?とジェットコースターに乗る

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その後、何とか二人をなだめてパーク内の乗り物やアトラクションを楽しめた(楽しめた?)しかし

「もう、二人とも座席が2つしかないのはお二人で仲良く乗って下さいよ・・」

今から乗る屋内の3Dジェットコースターは座席が2人ずつだったのでどっちが俺の横に乗るかでアトラクションの添乗員を困らせていた

俺は無理やり空と静流を同じ座席に押し込んで座らせ、俺はその前の席に座る事にした。


「あ、相席すいません、失礼します」


そう言って、緑のパーカーのフードを被ってる人に断りを入れてから横に座らせてもらった


「ちょっと!静流がゆずらんからぁ!」

「はぁ?!お前こそアタイに譲れよ!」


俺は後ろを振り向き


「お二人とも、他のお客様のご迷惑になりますからその辺で・・」


【ジリリリリ】と警告音と共に添乗員さんの確認の上で肩に安全バーが下りてきた、すべての座席の安全を確認した添乗員さんが合図をすると


【それでは、剣と魔法のファンタジーの世界にどうぞ!行ってらっしゃーい!!】とアナウンスが流れてきて乗り物が動き出した。


屋内のいたるところに、仕掛けがされており飛び出して見える映像や効果音と相まってまるで自分が魔法の絨毯にのってるかのような感覚になる、後ろの様子も気になるが安全バーによって振り返る事も出来ない

アトラクションも佳境に入ったところで空を飛ぶドラゴンが炎を吹きながらこちらに向かってくる、こころなしか顔にも熱さを感じる凄い演出だ


【ギャオオオオオオオ】ドラゴンが大口を開けて喉の奥から炎が噴き出した
















「きゃぁぁぁぁぁぁっ」





急に横のフードの人に左腕を掴まれる



「「なっ!ちょっと!てめぇ(あんた)何してんだ(何してはるのぉ)!!」」





目の前には、大口を開けたドラゴン、後ろにも殺気を纏ったドラゴンが2対これは、ラノベで出てくる勇者でも絶対絶命のピンチというやつか・・



「み、雅っ怖いよぉーぉー」


俺の腕を掴む人のフードがズレてたが暗くて良く見えない、結局フードの人はずっと俺の腕を掴んで離さないままアトラクションは終わった

(アトラクション的には、何やら伝説の魔法使いが現れて光の魔法でドラゴンを打倒して助かるって話だったらしいが、横の人が腕を掴んでるのと後ろからの非難の声で全く頭に入ってこなかった;;)


【皆様お疲れ様です!剣と魔法の世界は如何でしたか?また起こし下さい!】

そのアナウンスと同時に安全バーがスッと持ち上がり、体への圧迫が解かれた


「あ、あのぉもう終わりましたよ?降りないんですか?」

腕にしがみ付いて、ガクガク震えるフードの人はで緑ががかった髪の女性の様だった


「そ、そおぉ失礼しますね」


その女性の脇にそのまま左手を回して、抱えるように抱き上げると女性は俺の首に腕をまわして抱き着いた


「「ちょっと!!」」


後ろの席から降りようとしていた二人は怒り心頭だ


「大丈夫ですか?降りますよ」


そのまま、コースターから降りて出口ゲート付近で腰をかがめて女性を地面に降ろそうとするが、抱き着いた女性は離れない


「こ、腰が・・抜けて・もう少しこのまま・・」


「いい加減、旦那さんから、離れろコラッ!」

しかしそんな状況を二人が許すはずもなく、静流はフードの女性の肩を引き顔を確かめた



















「彩羽?!」「おまえ!?彩羽!」「彩羽さん!?」



どうやらフードの女性は彩羽だったようだ


「あははは、バレちゃたな、で、でも本当に腰が・・」そういうと腰から崩れそうになるのを俺は左手で抱えなおした


「はぁしかたおまへん、もういい時間ですよってぇお昼にしまひょぉ」

「たっくよぉ、そんな怖がるなら最初から乗るんじゃねぇよ・・」


二人は文句を言いながらも、彩羽を気遣ってくれてるようで落ち着いて座れるレストランを空が探して見つけてくれて、俺に背負われてる彩羽が落ちないように後ろで静流が支えてくれた





「ふぅー皆ごめんね、迷惑かけちゃって」テーブルで頭をさげて素直に謝罪する彩羽に安心した俺だが二人は疑いの目を向けていた。


「それでぇ?彩羽さんは何でここに?」

「そ、そうだ!なんでここにいんだ!」

彩羽は目線を泳がせながら

「えぇぇそ、それはさっきも言ったじゃない、そ、そうここへは撮影で・・」

明らかに動揺してる彩羽に

「ここって、確か四葉家が運営してはりましたよね?」

さらに動揺する彩羽に

「なぁ彩羽さん、悪いけどスマホみせてもらえへん?」

「!?な、なんで、かなぁ?そんな個人情報だしぃーー」

誤魔化す彩羽に鋭い目つきで空が言い放つ

「うち等の家の力で、個人情報なんてもんが通用する思うてはるの?ええからみせぇや」

俺の顔をチラッとみると、申訳なさそうにスマホを空に渡す、空は慣れた手つきでスマホをタップすると


「はぁ、やっぱり・・」そういって俺達にもわかりやすくスマホ画面をテーブルに置く

そこには、パーク内の地図が表示されており俺達が今居るレストランに青い〇がついて点滅していた


「ほぉぉ、GPSを使った追跡ツールですかぁ、確か二階さんところの開発商品ですなぁ、とすると・・ちっと雅さんそれかしてぇな」

俺の首から下げたパスを手に取ると、パスの裏を確認する、すると視認できるか出来なか位の大きさのチップが埋め込まれていた。


「はぁこれは又、手が込んでますなぁ」

「?空、アタイはこういうのわかんないんだが、いったいどういう事だ?」


申訳なさそうに、机の下で指をモジモジさせてる彩羽をチラッとみて一つ溜息を吐いて

「そもそも、彩羽はなんでこんなことしたん?」


「そ、それは・・昨日、家に雅がディスティニーランドの予約を3人分してきたって連絡あって、お父さんに「お前が一緒に行くのか?」尋ねられてたから、首を横にふると「そうか、分かった」って」

「へ?それが、ここにおまえがいるのとなんの関係があんだ?」

「静流は黙っときぃ」

静流は空に扇子で口元を隠されて不満顔で頬杖をついてフン!とソッポを向いた

「つまり、彩羽のお父様は、彩羽の残念そうな表情から察して、今回のVIPパスからGPSまで手配して、彩羽にこの位置情報を使ってパーク内で雅君と偶然を装って接触するように言ったというわけですやろぉ?」

彩羽は恥ずかしそうに頷いた

「はぁぇ、空すごいなさっきの会話からそこまで読み取れるなんてよー」


「ああ、それで昨日の晩に電話でどこにいくのか、誰と行くのかって聞いてきたんですね!」


「静流・・あんたねぇ勉強は出来るかもしれへんけど、少しは恋愛に関する本とか読むべきやでぇ、だからあんたは、駆け引きが出来んでストレートな行動になるんやぁ見ててこっちが焼きもきするわぁ」

空の言い分に少し腹が立ったのか、軽くテーブルを叩くと


「はぁ?ストレートの何がわるいんだ!好きな人に好きって言って何が悪いよ!アタイは旦那さんが好きだから一緒に居たいって思ってるから、そう伝えてるだけだ!」

大きな声で、急に好きだとか言うもんで店内の客の視線が俺達に集中する


『ねぇぇあれって修羅場じゃない?』『しかも女の子みんな超美人でスタイルも抜群!』『で、でも男の子も凄いイケメン!ってどっかで見た事あるような?・・』

『美男美女の修羅場とかどんだけメシウマだよw』


周りの声もあるが、今の俺達には気にしてる余裕はないそんな中で彩羽がボソボソと話だす


「・・・もん・」

え?




「・・・・・・もん」












「私だって!雅の事すきなんだもん!」


そう顔を真っ赤にしてテーブルから立ち上がった彩羽が目の前の3人を見つめて大声で言った


「プッ、フフ、なぁに?かたや恋愛のタガの外れた暴走列車に、かたや【ツンデレ】から【ツン】が消えたデレっ子とはなぁ」

空は少し目を瞑り席を立つと、扇子を目の前でパチンと閉じて自分の胸を軽く叩くと

「ただなぁ、うちも、雅さんの事本当に大好きなんでぇ、これから絶対にうちに夢中にさせますさかいなぁ、うちもグイグイ行きますよってぇよろしゅうたのんますぅ」


「フフフ」

「いいじゃねぇか!」

皆がお互いを見ながら笑い出し和やかな雰囲気になってほっとしたのもつかの間、ふと空が思い出したかのような仕草で



「あぁ、これお父さんから聞いたんやけどぉ、どうやらうち等、雅さんとなら婚前交渉許されてるらしいでぇw」


3人が一斉の俺の方を見るが、3人がどんな顔をしていたのか・・ご想像にお任せします。








(・・・・しかし空さん、この話今ここで要ります?)



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