第57話 田舎王子の住む寮が満室となる

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どうやら、許嫁達は全員この寮に引っ越してくるらしい


ちなみに1Fの配置は



【ロビー】  【詩織】  【雅】  【静流】

その2Fが

【凛】    【恵美】  【彩羽】 【空】


となるようだ、どうやら俺の部屋の真上に彩羽が住む事いなったのは、昨日すぐ彩羽のお父さんがこの寮の部屋真上をタッチの差で押さえたからだそうだ。

実際に五十嵐の家が一番で遅れたと言いながら凜が悔しそうにしていた


「でも、心配はいりまへん、各2Fのベランダは繋げて雅さんのベランダへ降りる階段を増設する予定ですぅ」


どうやら俺の知らない所で寮全体のリフォームが進んでるようだ


「し、しかしですね!詩織、彩羽、恵美、凛は分かりますが、空と静流はそもそもコッチに住めないじゃないですか!学校はどうするんですか?!」


空は首を傾げて


「へ?そんなん毎週末に来たらよろしいですわぁ、通い妻みたいでよろしぃおすやろ?」


簡単に言ってのける空に


「イヤイヤ、毎週通うとか時間もかかりますし」


俺の心配する内容を聞いて驚く空は笑い出して


「フフフフ、そんな事ご心配無用ですわぁうちも静流もプライベートジェットで1時間で来れますさかいぃ」


・・・・・・・・・・・・


「まぁそれも、僅かな期間ですぅ、なんせ雅さんは近々うち等の用意したマンションへ越して来られますよってぇなぁ」

そう言うと、流し目で恵美と凛を挑発する

「くっ、西王に空と静流がいても競技は一人ではできないぞ、東皇高は全員で勝ちにいく!」

「そ、そうです!雅君は西王学園に・・空さんと静流さんには渡しません!」


3人のにらみ合いの間で白い目をしてる俺、もはや俺の意見も通りそうにない現状に無の心境へと到達した。



彩羽を加えた4人の引っ越しはゴールデンウイークの翌週土曜になるようだ、と話してる内に外壁へ足場と養生がされて、どこかでくみ上げて来たのか豪勢な階段が設置されていた。

【七星建設】と銘の入った作業着の現場監督さんが緊張した様子で俺の部屋を訪ねてきて名刺を手渡し

「一堂様の生活の邪魔をしないように、キツく厳命されておりますので作業者一同決して一同様お呼び各ご令嬢様方のご迷惑にならない事をお約束させていただきます」

そういうと深々頭を下げて工事着工の挨拶をしてくれた。

「いえいえ、此方こそお構いも出来ないで申訳ございません何か御座いましたら遠慮なく言ってください・・あ!この間、田舎の爺ちゃんから貰ったお菓子がありますので良ければ現場の皆さんで食べて下さい」

そういって、棚に仕舞ったお茶請けの菓子箱を現場監督に渡すと


「え!いや・・お心遣い有難く頂きます!」

そう再び頭を下げて現場の事務所に戻っていった。


奥で見ていた3人は、笑顔でウンウンと頷いていたので少し恥ずかしくなった。



「では、今日は4人でお出かけして晩御飯の材料の買い物ついでに、どこかでお昼を外で食べませんか?空さんも此方に馴れておられない様ですし」

この場から脱出できるので、恵美の提案に思いっきり頷いた

「あらぁ、ええんですぅ?うち、こちらに来てからホテルの食事しか食べてなかったさかいぃ嬉しいわぁ」

「恵美、行くなら事前に連絡しとくけど?」

凛はスマホで近くの店を探し始めた。


「うーん、そうねー雅君はお昼に何か食べたい物ある?」


食べたいものか・・・俺が悩んでいると


「雅さんは、お好み焼きがお好きでしたよねぇ良く近所のおばあ様につくって頂いてたと聞いてますぅ」

空さんの話しで、田舎で年寄向けの健康体操教室してる 海ばあちゃんの事を思い出した。

「良くしってるねぇ、田舎の体操教室してた海ばあちゃんが家にご飯作りに来てくれた時作ってくれたの良く食べてたなーー」


「なに?雅君はビーフシチューが好きなはずだぞ」

「確かに!凛がいう様に、俺の晩御飯を交代で作りにきてくれてた田舎の軽食屋の洋美ばあちゃんがお店のビーフシチューを晩御飯に持ってきてくれていたなー」

懐かしいな、洋美ばあちゃんのお店に何回も通ったもんなー


「なにいってるんですか皆さん、雅君はてんぷら蕎麦が一番好きなんですよね?」

「ああ!田舎の学校通ってた時、校長先生の奥さんの恵子ばあちゃんが給食作りにきてくれて、月一回の天ぷら蕎麦が美味しくて本当に楽しみだったなー」

校長先生と恵子ばあちゃん元気にしてるといいな、あと市役所の要おじさんと織姫おばさん仲良くしてるかな、隣の彩ばあちゃんの作るおはぎもまた食べたいなー


みんなの話しに井の中村の住人みんなの顔が浮かんでぼーっとしてると


「「「ちっと!雅くん(さん)聞いてる?誰の意見に賛成なの!」」」



色々悩んだ末





「ほら、雅君ここビーフシチューの美味しいお店!」


「関西には沢山あんねんけどぉ、お好み焼きの店、近くに無いとは・・」


「フフ、晩御飯はてんぷら蕎麦振舞ますね」


決めたのはビーフシチュー、お好み焼きのお店は近場になかったので来週に空と静流が来た時に引っ越しパーティという事でたこ焼き、お好み焼きを振舞ってくれるそうだ、そして天ぷら蕎麦は本日の夕飯という事になった

凛の案内で連れてこられた店は洒落た雰囲気の洋風レストランで、店内に入ると喫茶店のような雰囲気だった


「いらっしゃいませ、お嬢様本日はようこそ起こし下さいました、よろしければ窓際のテーブルへご案内させていただきます」

そういうと、少しパーマの掛かった茶色い髪が特徴の女性が深々お辞儀して席のほうへ手を差し出して案内を促した。


「ええ、今日は私の大事な許嫁とお友達を連れてきたのよ!」

優しい微笑み女性が俺の方を向いて、軽くお辞儀をすると

「一堂 雅様ですね、凛お嬢様がいつもお世話になってます、お嬢様の作るオムライスを何時も美味しく食べて頂いてるとお聞きしてます、本当に有難うございます」

「いえいえ、凛の・・凜さんの作る料理はどれも美味しいですが中でもオムライスが絶品で僕の好きな味なんです!」

そういうと、凜は横で顔を赤くしてモジモジしていた、後ろの2人はジト目で俺を睨んでいたが気付かないふりをしてスルーした

「えーと、恵美お嬢様は存じてますがもう一人のお嬢様は?」

空は軽くお辞儀をすると

「私は六橋 空と申しますぅ、どうぞよろしゅうぅ」


「空お嬢様ですね、今後とも凛お嬢様と仲良くしていただけると有難いです、ささこちらに」


そう案内されたテーブルに座ると、あんの上横に凛が座り目の前に恵美その横に空の並びになった。

「雅君、色々メニュー有るけど今日の所はビーフシチューを頼むことにするよ」

そういうと凛は店長にビーフシチュー4つ頼んだ、店長は「かしこまりました」とお辞儀し厨房の奥に戻っていった。

「ここの店長は昔私の家の料理人だったんだ、お父様に認められてお店を任されてる凄い料理人なんだぞ!」

凜とご両親が褒めるくらいだし腕に間違いないのだろう


「お待たせしました、特製ビーフシチューです、どうぞお召し上がりください」


出されたビーフシチューは陶器の器にはいっており、その表面は少し焦げ目がついており沸々と煮立っていた

何度も付けたしで作られてるシチューをオーブンで加熱することで表面にかけられたホワイトソースに焦げ目が出来ており香ばしい香りが周囲に漂う


「いっただきますーーす!」


スプーンで一口【パク】


「!?あちちちいち」


熱々のシチューは口の中で火事を起こしていたが、治まって味わうと


「!?おいしいいい、最高においしぃいい」

俺の様子をみていた、恵美と空の2人は慎重に【フーフー】と冷ましてから口に運ぶと、「!?おいしい!」と口々に感嘆の声を上げた。

その様子を見る事なく目を閉じてゆっくりと口に運ぶ凛も口元がゆるんでいた。




美味しいビーフシチューをご馳走になって店長にお礼を言ってからお店を後にすると、目の前に黒いリムジンが停まっており自動で後部座席の扉が開く


「さぁみんなのってくれ、車で【リオン】までいこう」

俺達を乗せたリムジンは以前に行った事のある【リオン】に着くとそこには全従業員?と思われる人数の出迎えを受けて【リオングループ常務取締役】と名札のついた人に案内してもらう事になった、俺もリオンの従業員さんも前以上に気疲れを経験する事になっるのだった。





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