第56話 田舎王子とお約束の展開

---------------------------





あれから3人の話し合いが持たれて、取り合えず今日の俺の料理は3人で分担して作る事になった。

お風呂については、静流が自分の責任である事を悲壮な表情で訴えたので、水着着用の条件にて2人から許可が出た。

・・・ちなみに俺の意見は無視されてる


彩羽も泊まると言って聞かなかったが、家に確認の電話をすると何やら手を打つ算段をする為、今日の所は帰宅するように言われたようだ。


そして今、ご飯の前に風呂に入っている(当然俺は水着を着てない・・)

「だ、旦那さま、ど、どこか、痒い所はありますか?」


緊張と慣れない事で静流の手つきが覚束ない


「いや、大丈夫だよ、静流も無理しなくて良いのに・・」


「い、いや!これはアタイの仕事だ!そ、その、こういう場合は胸使って洗うのが、作法と聞いたんだが・・」

そう言うと自分の胸にボディーソープを付けて泡立て始めた


「い、いや!そんな作法は聞いた事ないよ!ダメだよ!そんなっ


そう振り向いた時、石鹸の泡で足が滑り静流の胸に飛び込んでしまった!


「きゃっ!」


静流は驚いたようで、普段聞けない声で尻餅をついた


「いててぇ、旦那さまだいじょうぶ・・・


【うぐぅぐぅ、ぶふぅ】


何やら柔らかい感触なのだが泡で滑って抜け出せない


「旦那さま、そ、その、アタイこんなんだけど、その、経験なくて、や、やさしくしてくれよ、な」


ジタバタしていて俺は右手が使えないので左手で脱出しようとした瞬間なにか紐のようなものが引っかかって【ブチ】と切れた

「あ、あわ、わわ・・旦那さん、いくらなんでも、いきなり、、、そ、その、め、召し上がれ」


【バン!】


顔を上げると鬼が2匹立っていた


「みーーーーーいーーーくーーん(怒)」

「みーーーやーーーびぃーー(怒)」


ひぃぃぃぃ


その後、二人に浴室で正座させられ延々30分お説教されて、すっかり湯冷めしてしまった。




・・・・・・・・・・・・


「みーくんのせいでご飯冷めちゃったじゃない」

「本当だよ」


「は、はい・・すいません・・」


横を見ると、顔を赤らめてモジモジする静流は話を聞いて無さそうだった。


何とかご飯を4人で食べて片づけが終わると、3人はお互いをけん制してから其々の部屋と家へと帰っていった。

その日も、疲れからベッドに入ると直ぐに眠りについた。


翌日、朝ベッドでまどろんでいると何やら台所がザワついてる・・眠い目をこすりリビングに向かうと

「ちょっと!凛ちゃん、今日は学校休みだけど当番でいえば私のお弁当に日だよね!だから朝は私が作るっていってるでしょ」

「恵美は昼ご飯担当なんだろ!、朝の食材だって私がかってきたんだ!ここは譲れないぞ!」


「まぁまぁ、ここはなかようぅしましょこんな騒がしいのぉ見たら雅さんが驚かはるよぉ?」


「とか言いながら、空さんお吸い物つくってますよね・・」

「まぁええやないのぉ真鯛の粗から出汁取った、鯛汁ですよぉ雅さんのお口に合うといいんやけどぉ」


「ぐぬぬぬぬ、昨日の晩は詩織さんと彩羽さんと静流さんで分担してつくったって聞いたからここは一品づつ作るというのでどうかな?凛ちゃん」

「むう、し、しかたない・・このままでは埒があかない・・恵美、卵焼きは私が作るぞ!」

「それじゃ、私は鮭のムニエルを作るね」



こっそり、キッチンを覗くとエプロンを身に着けた凛と恵美、それと割烹着を着た空がキッチンを所狭しと料理をしていた。

俺は意を決し


「あ、あのぉ・・皆さんこんな早くからどうされたんでしょうか・・」


「「「雅くん(さん)おはようございます!」」」


3人は何事も無かったように朝の挨拶をするので


「あ、え?おはようございます・・?」


「雅君もう少しまっててねー今朝ごはん作るからねー」

「雅さん、うちもう出来てますので、お着換えとお顔洗うのお手伝いさせていただきますぅ」

そういうと、空は割烹着の上に付けたエプロンで軽く手を拭くと俺の背中を押して洗面所に向かった

「「空(さん)くれぐれも、着替えの時に余計な事しないように!」


俺は断ったが、ガンとして譲らない空さんに仕方無く上着のボタンをはずしてもらいながら訪ねる事にした。

「え、皆さんこれはどういう事なのでしょうか・・」

空さんは手を止める事無く答える


「えぇ実は昨晩に各家の方に、昨日の夜この部屋で有った内容が通達されまして、うちらも雅さんのお世話をしたいと申し入れて、こうなりました」


「で、でも・・どうやって・・と、聞くまでも無いです・・ベランダのドアからですよね・・はぁ・」

ニコニコしながら頷く空が着替えを済ませてくれて、歯磨きを手渡してくれたので歯磨きをしてる間に髪の毛を整えてくれた。


「すいません、、何から何まで・・」

「いえいえ、よろしいんですよ、それは良いとしてぇーーなにやら詩織さん、彩羽さん、静流は呼び捨てで呼ぶ事にしはったそうで?」

「え!、はぁ・・静流に強引にですねぇ・・・」

「では、うちらも呼び捨てで宜しいですよねぇ?」

「うぐっ・・・は、はい、空」

空は少し頬を赤らめて、頷いてくれた。


着替えと歯磨きを終えてリビングに戻ると、すでにテーブルには朝食が並んでいた。

「あ、空さん勝手にお椀にお吸い物よそっときましたよ」

「恵美さんおおきにぃ」


4人でテーブルを囲み、恵美の鮭のムニエルと凛の卵焼き、空のお吸い物を堪能している


「はぁー皆さん全部美味しいです!何故か全部僕の好きな味付けです!」

3人はそれぞれ目を細めて喜んでくれた


「ところで、皆さん朝からご飯の用意をしてくれたのに、こんな事聞くのもどうかと思いますが、なにかあったんですか?」


すると3人は顔を見合わせて、頷くと


「「「この度、この部屋の2階に私達(うちら)引っ越す事になりました!」」」













ええええええええええええええええええ


--------------------------

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る