第31話 田舎王子 映画の主演に決まる

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「え?映画ですか?僕が?主役?」


驚く俺に鳳さんは、ウンウンと電話口で返事をする


「僕なにも聞いて無いんですが?映画の主役に応募とか?してるともなんとも!」


『あーね、これうちの親会社と青葉の所の親会社が雅君のキャスティングを決めちゃってからの話なんだよねーーー』


「へ?鳳さんと竜崎さんの所の親会社?僕なにも面識ありませんよ?」


『うーん、まぁそっちに無くてもこっちには有ったようだし?としか私は言えないよ?しらないもーーーん』


『とにかく伝えたからねーーー来週の土曜に打ち合わせよろーーー』


勝手に話をして電話を切ろうとした鳳さんに


「ちょっと!待ってください!せめても題名を教えてください!映画の」


『あああそうだね!忘れてた!題名は〈君の事を決してわすれない〉って小説が原作なんだよーーー』


え?今タイムリーに読んでる小説じゃないか!?


『ああそれと、監督は小説書いた先生がやるからねーーキャストもほぼ決まって来たし来週の土曜には多分顔合わせ出来んじゃないかな?』


そういうと、電話を切られてしまった。


俺は机に中途半端に開かれた小説を手に取ると、背表紙と作者の欄を見た〈君の事を決してわすれない〉〈亀山 鈴〉作





翌日の学校の昼休み・・・・


俺はいつもの配置で食堂でご飯を食べていた・・・・今日は恵美の作ったお弁当を食べてる


どうやら恵美は凛と契約を結び、週3回凜が週2回は恵美がお弁当を作る事で決着したようだ、見返りとして生徒会に風紀委員からもお目付け役として実行委員を1名選出しても良いという特別枠を用意してもらい、その枠に凜が収まるという事になった。



「どう?雅君?美味しい?」


恵美は生徒会室の一件以降、やたら密着してくる今も至近距離で俺の食べてる顔を覗いている


「う、うん、とても美味しいよ恵美さん・・・少しちかくない?」


「ええええぇ・・私目が悪くて雅君の食べてる所が良く見えないから近くで見てるの~だから気にしないで?ねw」


白い目で恵美を見る3人


「恵美・・・去年健康診断の時は両方とも裸眼で1.5だったじゃない・・・・・」


そんな凜のツッコみなど気にしない恵美は


「えぇ?最近急に悪くなったんだよーー困るよねーー」


凜はうそぶく恵美に半ば呆れていた、ふと前に目をやるといつもなら恵美の暴走を止める二人が不満顔だが、やけに大人しい。


「詩織も彩羽も何かいってやってよ・・」


凜の方をちらっと見た彩羽は


「まぁ良いんじゃない?お弁当の事くらいでジタバタしないわよ(今の内にせいぜい密着してればいいよw)」


同じくニヤッと口元を緩めた詩織は目を瞑った状態でパスタを食べながら


「そうねー、みーくんも美味しいって言ってるし?ま!いいんじゃない?(今のところは、ねw)」


二人の様子に不安を感じる凜は、じっと二人を見ると


「ねぇ、二人とも何か隠してるよね?」


「「さ~~ね~、別に何も隠してないけど~~?」」


お互いに思わせぶりな返事をすると、詩織と彩羽はお互い方をチラッと見ると口元をニヤリして再び食事を再開した。


(絶対なにか仕掛けるつもりだこの二人・・・・私も早く手を打たないと・・・・)





その日の放課後・・・・生徒会室にて・・・


「あ、あの・・・・恵美さん?・・・・」


「ん?なぁに?雅君?」


「えぇーと・・・生徒会室ってこの間来た時・・もっと机と椅子・・・沢山有りましたよね?」


「え?そうだった?前からこんな感じだったよ??確か」


部屋の中には、机が二つに椅子が一つ・・・しかも中途半端な長椅子で密着しないと座れない長さだ・・・


「いやいや!絶対おかしいですよ!こんな広い部屋で長椅子ひとつしか無いとか!」


狼狽える俺に恵美が潤んだ瞳を上目遣いで


「雅君はやっぱり私と二人で実行責任者するの嫌だったんですか?・・・・ぐす・・」


恵美は悲しそうに俯いてしまう


「えぇ、い、いえ!決して恵美さんと一緒が嫌とか、そういう事ではありません!」


「僕は・・ただですね・・「ではっ!これはこれで問題ない!という事で早速打ち合わせ始めましょう!!」


恵美の左に俺は仕方なく座ったが・・・・


「あ、あのぉ・・・恵美さんもう少しそちらに詰めて頂かないと・・・僕座れないです・・」


恵美はグイグイと体を寄せてくるので、俺は既に端っこの半分位しか座れてない・・・


「えぇーもう私の方は余裕ないですよ?それよりもッと雅君がコッチに寄ってくれたら良いんじゃないですか?」


「えぇ・・でもそれだと・・恵美さんに色々触れてしまうというか・・・右利きなんでその・・・すでに・・その・・」


俺がオドオド話す様子に恵美が悪戯な表情で口元に手を充てて


「うーん?それが何か問題あります?私達婚約者で夫婦になるんですから?後か先かの話では?w」


「えぇ・・でも・・・そんな・・これは・・」

(逃げれない様に長椅子ではなく、肘置きのついたベンチ式に変えておかないと・・・)


何やら恵美はブツブツ言っていたが何とか説得して実行委員責任者としての仕事を始めた。





【東皇高校 体育祭】


毎年6月に開催される体育祭で、西の西王学園と合同で開催するのだという。


開催は隔年で持ち回りという事で去年は西王学園にて執り行われたので今年は東皇高校の番というわけだ、お互いの高校の生徒、先生を併せて600人規模の合同体育祭には色々独自のしきたりがあるようだ。


先ず、ライバル校同士ということもあり両校の対決色が強いという事、これまでの戦績は西王学園が優勢らしい、これは両校での色合いに違いがある為だそうだ。


東皇高校はどちらかと言えばインテリ系で西王学園はスポーツ系な色が強い、現に有名スポーツ選手の子息は西王学園に入るケースが多いという。


しかしながら、お互いにレベルの高い生徒を小学校の時から育成しており、生徒の実際の実力は拮抗しているらしい。


しかし、ここ数年は西王学園が連勝しており、祭りとは言え今年は東皇高校の経営陣も本気という話だった。


「まぁ西王学園の方でも、今回負けられない理由がありますけどね」


恵美が西王学園の内情について語った


「というのは?どういう理由ですか?」


恵美は少し呆れたように笑って、ヤレヤレという感じで答える


「雅君、あなたのせいですよw」


「雅君の引き抜きに際し、両校でしのぎ合いが有った事は前にも言った通りです、わだかまりは残ってると考えるべきです」


そうすると、余計俺が実行委員責任者をするのは相手を挑発してる事にならないだろうか?


「雅君の考えてる事はわかりますが、これもお父様・・いえ他の6家の意図範疇なのでしょう、もし重大な不都合があればこちらの決定について妨害してくるはずです」


俺の悩みを恵美は感じ取り、状況を説明してくれた。


「それと、両校の実行責任者同士で5月1日に顔合わせが有りますので、雅君と私ともう一名お目付け役として凛ちゃんの3人で出席します」


えええええぇ!もう来週じゃないか!と驚く俺に新情報が・・





「あと、雅君は出れる種目に全部出てもらう事になってますからw私一杯応援しちゃいます!」







諸々の件・・・・聞いてないよ~~


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