第18話 田舎王子と許嫁達の覚悟




しーーーーーん


誰一人手も声もあげない・・・・

「わかりました、この中でみーくん・・・一堂 雅を生涯の伴侶として共に生きる事を望む人はいますか?」

詩織は自分で言いながらも、すぐに手を上げた。

「ま、まぁ雅は気に入ってるし?い、いままでの男とは?つか・・かなり好きかも?だし・・・」

そう言いながら彩羽は手をそっと上げた。

「わ、私は・・いままで誰かに守ってもらった事が無かった・・・雅君の強さにその優しさに惹かれてる・・・」

そういうと、顔を赤くしながら凜も手を挙げる

「私は、男の子に対して怖いとか気持ち悪いとかいう印象しか持てませんでした・・・けども雅君は・・雅君だけは違いましたもっと雅君と一緒にいたいと思いました」

強い瞳で恵美も手を挙げる


俺は皆からの熱い視線をうけて、嬉しいという感情よりも戸惑いの方がつよかった。

「あ、あの・・・皆さんの気持ちは嬉しいのですが・・・僕は同い年の友達も居ませんでしたし、まして若い女性ともこれまで接してきませんでした・・・」

皆の顔がまともに見れない・・・俺は俯き膝の上で強く拳を握ると

「許嫁の話も今初めて聞きました・・・今は・・すいません何も言えません・・・」

自分で言葉にしながら胸が苦しくて息が出来ない・・・こんな事は初めてだ




「いきなりこんな話聞かされたら、驚くし戸惑うよ・・・私もいや多分他の皆も初めて聞かされた時は同じ気持ちだったんじゃないかな?」

そう彩羽がいつになく優しくフォローしてくれた。

「そうそう、雅君はこれから悩んで悩んで・・・決めていけばいいよ」

恵美も自分で言葉にしながらも胸を押さえて、溢れそうな気持ちを押し込んでる様だった。

「そうだぞ、雅君と私たちは出会ったばかりだ、これから私たちの事を知ってもらっていくし、私達も雅君の事を知っていくつもりだ」

凛は横で、その輝くオッドアイから強い意志をのぞかせた


パンと手を叩き詩織が皆を纏める

「という事で、ここに居る私たちはライバルでもあり同志でもあるよねー、みーくんに対するアプローチは遠慮しないけどお互いに困った事は助け合っていこうーー」


テーブルの美女4人は黙って頷いた。


「では!」

詩織はそういうとテーブルの中央に右手を突き出した。

「そうですね・・私達これから同じ男性の許嫁同士ですもんね」

恵美が詩織の上に手を乗せる。

「はん!あんたらが私に勝てるとは思えないけど!まぁ厄介な相手を好きになった同士だし!」

彩羽も恵美の手の上に添える。

「私はもう自分を偽らない、自分の想いに正直に生きると決めた・・だから!」

凛がその上に手を乗せると

「「「「絶対に!負けない!」」」」

そう掛け声と共に一斉に手を挙げると、全員俺を指さし

「雅!」

「雅君」

「雅くん」

「みーくん」


「「「「覚悟してね!」」」」


こうして都会の高校へ転入して、同級生のいる学生生活も初めての経験なのに、いきなり婚約者ができてしまた

しかも・・・・4人も・・・全員それぞれ魅力的で絶世の美人だ

本当ならだれもが羨む嬉しい展開なのだろうが、俺には色んな疑問がのこされておりその事を明らかにしないと前に進めないと漠然と感じている。


何れにしても、今後・・・いや将来おれは彼女らの中の誰かと結婚し夫婦になるのだろうか?それとも未だ顔も知らない残りの2人の内のどちらかだろうか?それとも.....


俺はどうやって決めればいいのか・・・これまで恋愛も友達付き合いも無縁の生活でそれが染みついている・・・

この先の自分の未来が全く見えてこない事に不安を覚えた。


食事会の後半は、言葉も少なくそれぞれが何か考えてるようだった。


最後のドリンクを飲み干すと、自然とその場は解散となった。


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