第14話 田舎王子と三宗 恵実
詩織は自己紹介で自分が大手のIT系の会社を経営するグループ企業の家の娘であること、自身も会社経営のVチューバー会社で配信する演者である事もあわせて話してくれた。
その詩織の自己紹介の次に、恵美が名乗り出た。
恵美回想
三宗 恵美は父親が校長を務める東皇高校に在校している、三宗家は東日本を拠点とした学校法人で小中高大だけでなく幼稚園や保育園、進学塾、予備校、いろんな分野を手掛けている
西には三宗家と同じ規模の教育法人の家がある、六橋家と言うらしいうちの学校と双璧と言われる西王学園を運営している。
私は、三宗の家に生まれて勉学に励み、家の運営する料理学校にも通い趣味として嗜むようになった。
学校の理事長でもあるお爺様にはめったに合う事は無いが、たまに連絡が来て私の事を気にかけてくれていた。
特に年頃になったこの頃は、好きな男の子はいないか?とか好みの男性のタイプは?とか、色恋の話が多くなってきた。
お母さんに訪ねると、お義父様も曾孫の顔が見たいのかしら?と冗談めかして話していた。
お母さんは知らない、私は軽度の男性恐怖症だ、とくに声の大きな下品な男性が苦手だ、私の体をいやらしい目で見るあの目つき私の身体の事を大声で話てる姿に恐怖を感じてしまう。
そんな私に恋人や結婚とか、ましてや子供なんて有りえない。
しかし私は、三宗家の一人娘でいずれ跡を継ぐ必要がある、そのためにいずれは誰かと結婚というのは頭にはあるが想像しただけで寒気がする。
今は学生として勉学に励んで、学生としてやるべき事頑張ると心に決めていた。
そんな私は、中学から高校に上がると同時に生徒会に勧誘され入った。
生徒会と風紀委員の会合のなかで五十嵐 凛という私と違い凛々しい女生徒と友達になった。
私達は直ぐに打ち解け凛ちゃん、恵美と名前で呼ぶ間柄になった。
凛ちゃんは、あの五十嵐フーズの一人娘だと言う私たちは同じような境遇なこともあり学校外でも遊ぶことが多くなった。
そんな高校1年が終わりを迎えようとしていたバレンタインの2/14に私は凛ちゃんに友達チョコを作りプレゼントしようと電話で呼び出した。
学校ちかくのデイズ(五十嵐フーズの経営する最大手ファミレス)で待ち合わせしたら、凛ちゃんが先に座っていた。
おまたせーーと軽く声をかけると凛ちゃんの様子がどこかおかしかった。
私はとりあえず友チョコを渡し、どこか陰りのある笑顔でお礼を言う凛ちゃんに訪ねた
そうすると、どうやら凜ちゃんには婚約者がいたらしくそれを昨日お父さんから聞かされたという事だった。
私は凛ちゃんにお父さんになって言ったの?って聞いたら、突然すぎて何も言えなかったといつもの強気な凛ちゃんからは想像出来ない落ち込みかただった。
そんな凛ちゃんを励ます為、
「私達まだ高校生でこれから好きな人が出来るかもしれないのに、お父さんへの説得を諦めちゃダメ!」といつも励まされる側の私が凛ちゃんを励ました。
凛ちゃんは、まだ落ち込んではいるが少しは気が紛れたのか私のチョコをここで食べてもいいか?と聞いてきたので店員さんに断りだけ入れて了解もらった上で食べてもらう事にした。
私のチョコを一口食べた凛ちゃんは美味しいよと言って頬を緩めた、こういうとこは女の子なんだと少しおかしくなった。
春休みに入って私も凛ちゃんも生徒会、風紀委員として新入生の入学式の準備の為、何度かの会合を行うことになった。
私はお父さんに今年は学校創立以来の転入生が入る事を聞いた、その転入生は頭脳明晰で95点以上が合格の転入試験を満点んで合格しさらに西王学園の転入試験も同じ様に満点で合格していたようだ、そんな天才を色々な事前交渉の末に東皇高校へ引き抜く事が出来たらしい。
何やらそのせいで今の与党が分裂してしまったというのを聞いてびっくりしてしまった。
そんな転校生が転入してくる合同の入学式は絶対に失敗出来ないと生徒会も風紀委員も気合十分だった。
春休みの会合が終わり駅の裏の遊歩道を凛ちゃんと二人で話ながら帰っていると、駐車場に集まる男の子たちがこちらを見てニヤニヤしていた。
私は怖くなり凛ちゃんの陰に隠れるように体を入れ替えた、凛ちゃんは私の方を見ていて男の子に気付いて無かったけど私の態度で元私の居た側を見て状況を把握したみたいだ。
凛ちゃんは小さな声で「大丈夫だしいこ・・」と声をかけてくれたが、そう上手くはいかず駐車場からゆっくり出てきた男の子は私たちの前をふさいだ。
金髪男「ねぇ君たち、今から帰り?僕らいま時間あってさーー、これから一緒にカラオケでもいかない?」
銀髪男「うわー君可愛いね~君の事一目で気に入っちゃったよw」
銅髪男「おお、しかも東皇高のお嬢様じゃないwおれー東皇高の女の子と遊んだ事ないんよなーー燃えるーーー」
男の子の視線を胸に感じて恐怖と悪寒で震えてきた。
勇敢にも3人の男の子を前に私しを守ってくれるそんな凛ちゃんの腕をとると、小刻みに震えていた。
(凛ちゃん・・・・私の為に無理して・・・・)
自分の弱さに情けなくなり、涙が溢れそうになってきた。
「ちょっと、恵美が嫌がってるでしょ!どっか行ってよ!あんたらに興味ないつーのがわかんないの?!」
金髪男は、そんな凛ちゃんを見てニヤニヤしながら
「いやー恵美ちゃん?だけでなくてアンタも勿論一緒に誘っちゃうよ??そんなに寂しがらないでよーーw」
銀色髪は金髪男の肩に手を乗せギラギラした目で私を見てくる
「そそ、僕ら真面目な学生でーー近所でも有名なんだよ?wチョーと有名な東皇高のお嬢様達にお勉強を教わりたいなーーーってねw」
勉強とは無縁そうな3人は凛ちゃんからの言葉にもびくともしないし、やらしい目で私達の体を舐めまわすように見てきた。
そんな中、銅髪男は顔を凛ちゃんに近づけて
「俺はさぁ、恵美ちゃんじゃなくて、きみに教わりたいなw 色々と手取り足取りーーW」
自分の両肩を抱いてクネクネ気持ち悪い、恐怖と悪寒が激しくなり
「う、う・・凛ちゃん・・・こわいよぉー・・どうしょ・・・」
もうどうしたら良いのか分からなくなっていた時、私たちの前に王子様が表れた。
そこからの事は良く覚えてない、凛ちゃんを捕まえていた男をヒョイって放り投げて残りの2人も気付けば地面に倒れていた。
私はこの王子様から目が離せなかった、顔はモデルかアイドルなみに整っているのに武術の心得もある。
そして何より、私達をやらしい目で見てこない、
私はこの王子様の事が知りたくなり、今まで男性に対し消極的だった自分が嘘のように彼に迫っていた。
名前は一堂 雅君という年は私たちと同じくらいか落ち着いているので大学生かもしれない、こんな素敵な人だし、か、か、彼女とかいるのか?
私中で雅君の事をもっともっと知りたいという欲求が大きくなるのを感じた。
そうこの時私は、雅君に生まれて初めての恋・・・・・初恋をした。
入学式前日の夜、私は父に呼び出された。
「恵美、お前に伝える事がある・・・明日転入してくる生徒はお前の婚約者で未来の夫だ」
雅君・・・・・私の王子様・・・もう一度私を助けて・・・・・
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